成功するまで諦めない

| | コメント(0)
稲盛塾長の講話から
成功するまで諦めない*************
第2章第5節「困難に打ち勝つ」

 成功するかしないかは、その人のもっている熱意と執念に強く関わっています。何をやっても成功しない人には熱意と執念が欠けているのです。体裁のいい理由をつけ、自分を慰め、すぐ諦めてしまうのです。
  何かを成し遂げたいときには、狩猟民族が獲物を捕らえるときのような手法をとることです。つまり、獲物の足跡を見つけると、槍一本をもって何日も何日も追 い続け、どんなに雨風が吹こうと、強敵が現れようと、その住処を見つけ、捕まえるまでは決して諦めないというようないき方です。
 成功するには、目標達成に向かって粘って粘って最後まで諦めずにやり抜くということが必要です。
*********************************

  前にもお話をしたことがありますが、京セラでは、研究開発をこのような考え方で進めてきました。私がまだ40代の初めだった頃、ある日本の大手電機メー カーの研究職の方々に、私は京セラの研究のあり方についてお話をする機会がありました。質疑応答になったとき、「私どもの会社ではこれぐらいの確率で研究 を成功させていますが、京セラではどうですか」という質問がありました。「京セラでは手がけた研究は100%成功させています」と答えましたら、そういう ことはありうるわけがないと、皆さん怪訝な顔をされてお笑いになりました。
 「京セラで研究開発をします時には、その研究が成功するまでやりますので、研究開発が失敗に終ったということはそうはございません。成功するまで研究を続けるのが、私どもの研究の仕方なのです」。
  そのように申し上げたことを覚えています。研究開発だけではなく、事業でもそうです。成功するまであきらめないということは非常に単純なことのようです が、たいへん大事なことなのです。もちろん、研究の場合にはそれが成功したか失敗したか、ハッキリ白黒がつきますけれども、事業経営の場合には、潰れれば 別ですが、どこまでが成功で、どこまでが失敗なのか、成功にもいろんな段階があるだけにハッキリしないかもしれません。しかし、いずれにしても我々経営者 は、「私はこういう会社にしたい」という強い願望を抱いて会社を始めるわけですから、その規模になれば成功で、そこに満たない場合には成功していないと考 えればいいと思います。ですから、自分が立てた目標まで、あきらめないで粘って粘って頑張っていく。そういうことがたいへん大事だと思っています。
  この説明のなかに「狩猟民族が獲物を捉えるときのような手法をとることです」という表現がありますが、私が「成功するまであきらめない」ということをフィ ロソフィのなかで強く言っていた当時、テレビか何かでアフリカ原始民族の、腰ひもだけをつけた裸の若い青年が自分の家族のために獲物を獲りにいくシーンが ありました。
 家族を飢えから救うために狩りに出かけるのですが、その中でめざとく獲物である獣の足跡を見つけ、その足跡から獲物がどのくらい前 にそこを通ったのかを鋭く見分けて、その跡を追跡していく。動物はいろいろと行動をしながら、必ず休息をとります。その休息をとっているところにまで追跡 して仕留める。そのようなフィルムでしたが、それを見た時に、私が言っている「成功するまであきらめない」というのは、まさにこのことなんだと思いまし た。つまり、獲物が住処で休息をとり、寝ているところまで辿り着いて、手槍一本で仕留める。そこまで粘って粘っていきさえすれば、必ず成功するはずだと 思ったわけです。
 しかし、その映像を見て、成功するまであきらめないということを考えたのではありません。元々から成功するまであきらめないということがフィロソフィのなかにあって、その一番いい説明の方法として、テレビの映像にヒントを得たわけです。

  「余裕のある経営」を前提とする
  私は会社をつくってから今日まで、研究開発にしろ新規事業の立ち上げにしろ、多角化で新しい仕事をするにしろ、すべてこの「成功するまで諦めない」という 姿勢でやってきました。言ってみれば簡単なことで、京セラでは成功するまで諦めずに粘ってやりますから、全部成功するわけです。
 しかしそのなかで非常に重要なことは、「土俵の真ん中で相撲をとる」「余裕のある経営をする」ということです。つまり、余裕のある経営が要るということなのです。
  余裕のある経営ということでは、ある講演会で松下幸之助さんが仰った言葉に、私が非常に感銘を受けたという話をしたことがあります。それは松下幸之助さん の「ダム式経営」の話ですが、いっぱい雨が降って、それがそのまま川に流れ込めば洪水になり、川が氾濫し、たいへんな災害を招く。それをダムで一度堰き止 めて、そのダムにいっぱい水を溜めて、それを適当な量ずつ川へ放流していけば、川の水は絶えることもないし、雨がたくさん降ったときに水を貯めたことが余 裕となって、非常にいい河川の運営ができる。事業経営の場合でも景気の変動がありますから、ダムをつくり、一定の必要量だけずつ放流をしていく。そういう ダム式経営というものが要りますよ、余裕のある経営をすべきですよというお話を聞いて、私はたいへんな感銘を受けました。
 つまり、余裕のある経営をしていないと、成功するまで諦めないという手法は使えないのです。成功するまで諦めないということを実行しようと思えば、必ずその裏側には、余裕のある経営をしているということが前提として必要になってくるのです。
  それは、たとえば先ほど言いましたアフリカの原始狩猟民族の場合でも同じです。その民族の男性が軽い狩をしに行くとしましょう。家族を当面養うだけの小さ な獲物でも獲りに行こうと、何も準備をしないで出ていったとします。飲まず食わずでは精々1日か1日半ぐらいしか行動はできないでしょう。せっかく獲物の 足跡を見つけて辿っていったけれども、結局はその住処に辿り着けないまま、自分の村にまで帰らざるをえなくなります。
 そのときに、たとえば水を 入れた竹筒を腰に巻き、一方、以前獲った獲物の干し肉を腰にぶら下げていれば、それをかじりながら3日も4日も獲物の足跡を追っかけていくことができま す。どんな獲物でも3日、4日、ほんの昨日通った獲物の足跡を辿っていきさえすれば、獲物も不眠不休で動くわけはありません。必ず住処で寝込んでいるとこ ろに辿り着きます。つまり、3日4日、執拗に獲物を獲るまで追いかけていける余裕をつけていきさえすれば、必ず獲物は仕留められるわけです。
 研 究開発をするにしても、成功するまで諦めないとは言うものの、やはり研究開発にはお金が要ります。そして余裕がなければ、何年も何年も研究開発に資金を投 ずることはできません。そういう意味では、研究開発を維持していく為には本業で稼いで利益を出し、研究開発費用を使っても十分にやっていけるという余裕が なければ、この成功するまで諦めないという項目はなしえないわけです。
 「成功するまで諦めない」という項目は非常に単純なことですが、これは成功するためのエッセンスなのです。誰でもできるので、みんなが成功者になりうるのですが、成功するまで粘ってやれる余裕が要るということです。

 余裕がなくても、身体さえあれば
 では、元からそういう余裕がなければやれないのかというと、そうでもありません。
 たとえば、ある人が私のところに相談に来られて、こうこうこうやって一生懸命頑張ってきたけれども、資金繰りその他がつかなくなって、いよいよもうあきらめざるをえません、という話をされたとしましょう。
 「持っている物も全部売りました。乗っていた車も自分の家も売りました。今は家族と共にアパートに引っ越しています。そこまでになってしまったので、もう諦めざるを得ません」
 私はそういう話を黙って聞いておって、いや、まだあるのにな、と思うのです。
  「あなたのお商売ぐらいでしたら、車に乗らなければ商売ができないということではないではありませんか。自転車があるではありませんか。自転車で朝から晩 までこぎまわって、注文取りに歩けばいい。あなたは商社みたいな仕事をしていらっしゃるのだから、何もそれで最後ではないではありませんか」
  今、余裕がなければならんということを言いましたけれども、同時に身体だけあれば、まだ諦めないで頑張れる仕事だっていくらもあるわけです。最後まで諦め ないというのは、どういう状態なのかによってそれぞれ違ってくるのです。もう家も売った、自動車も売った、もうダメだと思うのか。それとも、まだ自転車が あるではないか、いや、電車に乗ってでも注文取りに行こうかと考えるのか。諦めないということは、個人によっていろいろ違ってくるのです。成功する為にこ の項目は大変大事で、ぜひ心していただきたい項目です。

コメントする

このブログ記事について

このページは、前田が2008年8月 3日 22:54に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「京セラフィロソフィの壮大なる実験」です。

次のブログ記事は「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。