稲盛塾長の講話です。
思い出しますと、アメリカのサンディエゴで初めての海外工場が始まりま した。創業10年も経っていない頃です。フェアチャイルド社が持っていた工場を買い取って製造を始めたんですが、なかなかうまくいきませんでした。日本か ら3人、4人の技術屋を送り出して、アメリカの現場で頑張ってもらうんですけれども、言葉のハンディ、生活習慣の違い、いろいろな要素も絡まり合って、な かなかうまくいきません。ですから私もサンディエゴの現地に飛び、よく現場に出ていきました。ところがその度に、アメリカ人の工場長が私に注意をするわけ です。
なんで現場に出ていくんですか。あなたは現場に出ては作業者の横に座り込み、チョコチョコと一緒に仕事をしている。そんなことをされては困ります。
日 本の親会社の経営者、それもオーナー経営者が来て、作業服みたいなものを着て現場に出ていき、一介の作業者の仕事を手伝っているという。もっと他にしなけ ればならない仕事があるはずなのに、もっと高度なことを考えなければならないのに、1時間3ドル、5ドルしかもらっていない作業者と同じ仕事をやってい る。そのくらいの能力しかないから作業者の仕事を手伝っているのか、遊んでいるのか、どっちなんだいと、みんなが思っています。
言葉もあまり堪能 でないあなたが現場に出ていき、そんなことをしたのでは、作業者は軽蔑してしまうし、仕事にも問題が出てきます。もしあなたが現場のことを知りたいなら、 あなたの部屋に我々を呼んでくれればいいんです。現場の者を連れていって説明もしますから、自分の部屋から出ないでください。でなければ、なんだい、日本 の本社の一番偉い人は、あんな程度なのかい、と言われるのがオチです。
私は憤然としましたね。
ナニを言うとる! 私は現場を重視し、現場でやってきた人間だ。おまえが何と言おうと、オレは現場に出ていく!
工 場長と喧嘩をしては現場に出ていったものですが、現場に出てみると、チンタラ、チンタラやっておるおっさんがおるわけです。そいつを捕まえて怒ったら、そ のおっさんとも喧嘩になってえらい目に遭ったことがありますけれども、そのおっさんはものすごくええ加減な奴なんですよ。戦争中、マリーンに所属してい て、硫黄島作戦で日本軍と戦ったという猛者だったものですから、日本人にこき使われているのがたまらんわけです。挙げ句の果ては日本人のボスが出てきて、 「おまえはアホか」と怒られる。なお頭にきて、私に「このジャップ野郎!」と言う。またそれを工場長が見ていて、「言わんこっちゃないでしょ。そんなこと をするからバカにされるんですよ」と言う。
それでも私は現場主義を変えませんでした。そのために、アメリカのマネージャーは現場を知らない男で、 単に現場から上がってきたデータをそのままホストコンピュータに入れていただけだということがわかりました。しかも彼は、「キーを叩けばデータが全部モニ ターに出てくるんだから、現場に行かなくてもいい」と言うもんですから、「おまえ、現場に行ってみい! ここに入っているデータそのものがデタラメだとい うことがわかるわい!」と喧嘩をしたことがあります。
皆さんは信じられないかもしれませんが、今から30年近く前、アメリカでは計算のできない女 性作業者が半分近くいました。日本の場合には教育程度がみんな揃っていますから、自分がやった仕事の数量を勘定して、伝票に数字を記入して次にまわすこと ができますが、それができない。掛け算をして数量を管理することができないんです。そのために、忙しく走りまわっているスーパーバイザーという職長さん が、時間毎に入ってくる数量をインプットすることができない。または数字を間違えてしまう。そういう数字をまとめたものを「現在の数字です」としているわ けです。
データのインプットが間違っていれば、データは全部狂ってしまいます。なのに、そのデータでやれるんだと思っているし、素晴しいシステム を作っていると言っておるという。モノを作るというだけではなくて、管理にしても現場を知らなきゃいかんわけです。現場主義はたいへん大事だということ を、そのアメリカ工場で痛感したことを思い出します。
やはり現場を見なければなりません。これは製造業であれ、流通業であれ、現場はたいへん大事だと思います。
先般、有名な弁護士の中坊さんにお目にかかったとき、「あなたが弁護士として素晴しい能力を発揮しておられるのはなぜですか」と訊きましたら、「現場主 義」と答えられました。弁護士稼業は頭だけなのかと思っていたんですが、中坊さんの「すべて現場から教わるんです。現場には必ず解決のカギがあります。犯 罪でも何でもすべて現場です」という話を聞いて、職業が違えども同じなんだなと、改めて思わされました。皆さんのお仕事でも、ぜひ現場を重要視して仕事を していただきたいと思います。
思い出しますと、アメリカのサンディエゴで初めての海外工場が始まりま した。創業10年も経っていない頃です。フェアチャイルド社が持っていた工場を買い取って製造を始めたんですが、なかなかうまくいきませんでした。日本か ら3人、4人の技術屋を送り出して、アメリカの現場で頑張ってもらうんですけれども、言葉のハンディ、生活習慣の違い、いろいろな要素も絡まり合って、な かなかうまくいきません。ですから私もサンディエゴの現地に飛び、よく現場に出ていきました。ところがその度に、アメリカ人の工場長が私に注意をするわけ です。
なんで現場に出ていくんですか。あなたは現場に出ては作業者の横に座り込み、チョコチョコと一緒に仕事をしている。そんなことをされては困ります。
日 本の親会社の経営者、それもオーナー経営者が来て、作業服みたいなものを着て現場に出ていき、一介の作業者の仕事を手伝っているという。もっと他にしなけ ればならない仕事があるはずなのに、もっと高度なことを考えなければならないのに、1時間3ドル、5ドルしかもらっていない作業者と同じ仕事をやってい る。そのくらいの能力しかないから作業者の仕事を手伝っているのか、遊んでいるのか、どっちなんだいと、みんなが思っています。
言葉もあまり堪能 でないあなたが現場に出ていき、そんなことをしたのでは、作業者は軽蔑してしまうし、仕事にも問題が出てきます。もしあなたが現場のことを知りたいなら、 あなたの部屋に我々を呼んでくれればいいんです。現場の者を連れていって説明もしますから、自分の部屋から出ないでください。でなければ、なんだい、日本 の本社の一番偉い人は、あんな程度なのかい、と言われるのがオチです。
私は憤然としましたね。
ナニを言うとる! 私は現場を重視し、現場でやってきた人間だ。おまえが何と言おうと、オレは現場に出ていく!
工 場長と喧嘩をしては現場に出ていったものですが、現場に出てみると、チンタラ、チンタラやっておるおっさんがおるわけです。そいつを捕まえて怒ったら、そ のおっさんとも喧嘩になってえらい目に遭ったことがありますけれども、そのおっさんはものすごくええ加減な奴なんですよ。戦争中、マリーンに所属してい て、硫黄島作戦で日本軍と戦ったという猛者だったものですから、日本人にこき使われているのがたまらんわけです。挙げ句の果ては日本人のボスが出てきて、 「おまえはアホか」と怒られる。なお頭にきて、私に「このジャップ野郎!」と言う。またそれを工場長が見ていて、「言わんこっちゃないでしょ。そんなこと をするからバカにされるんですよ」と言う。
それでも私は現場主義を変えませんでした。そのために、アメリカのマネージャーは現場を知らない男で、 単に現場から上がってきたデータをそのままホストコンピュータに入れていただけだということがわかりました。しかも彼は、「キーを叩けばデータが全部モニ ターに出てくるんだから、現場に行かなくてもいい」と言うもんですから、「おまえ、現場に行ってみい! ここに入っているデータそのものがデタラメだとい うことがわかるわい!」と喧嘩をしたことがあります。
皆さんは信じられないかもしれませんが、今から30年近く前、アメリカでは計算のできない女 性作業者が半分近くいました。日本の場合には教育程度がみんな揃っていますから、自分がやった仕事の数量を勘定して、伝票に数字を記入して次にまわすこと ができますが、それができない。掛け算をして数量を管理することができないんです。そのために、忙しく走りまわっているスーパーバイザーという職長さん が、時間毎に入ってくる数量をインプットすることができない。または数字を間違えてしまう。そういう数字をまとめたものを「現在の数字です」としているわ けです。
データのインプットが間違っていれば、データは全部狂ってしまいます。なのに、そのデータでやれるんだと思っているし、素晴しいシステム を作っていると言っておるという。モノを作るというだけではなくて、管理にしても現場を知らなきゃいかんわけです。現場主義はたいへん大事だということ を、そのアメリカ工場で痛感したことを思い出します。
やはり現場を見なければなりません。これは製造業であれ、流通業であれ、現場はたいへん大事だと思います。
先般、有名な弁護士の中坊さんにお目にかかったとき、「あなたが弁護士として素晴しい能力を発揮しておられるのはなぜですか」と訊きましたら、「現場主 義」と答えられました。弁護士稼業は頭だけなのかと思っていたんですが、中坊さんの「すべて現場から教わるんです。現場には必ず解決のカギがあります。犯 罪でも何でもすべて現場です」という話を聞いて、職業が違えども同じなんだなと、改めて思わされました。皆さんのお仕事でも、ぜひ現場を重要視して仕事を していただきたいと思います。

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