失敗は、その表面だけを見るとマイナスですが、受け止め方ひとつで大きなプラスに転じることが可能です。
失敗をした時に大切なのは、原因に目を向けることです。「失敗した」という事実だけを見て、ただ落胆していても、プラスには転じません。
その原因を他に求めるのではなく、自分自身に見いだし、反省することです。他人のせいにばかりしていては、そこに向上はありません。自分自身を省【かえり】みて原因を探【さぐ】る時、失敗に至る過程での問題点が明確になってくるのです。
株式会社ニトリの似鳥昭雄【にとりあきお】社長は、「失敗の原因は必ず自分にある。そして失敗の原因を追及し、二度と失敗を繰り返さないようにすることで、失敗は絶好の学びのチャンスになる」と語っています。
「何が原因なのか」「どうすれば良くなるのか」など、失敗に対する建設的な反省は、自らをよりよくする大きな原動力となります。失敗から学んだことを活かし、再び喜んで取りかかることで、それが大きな成功につながるのです。
今日の心がけ◆失敗から学びます。
ホテルで客室係として勤務しているA子さん。入社して二年が経過し、仕事にも慣れて、一連の仕事をこなせるようになっていました。
その慣れのせいか、「近頃、少し仕事に緊張感が欠けている」と上司から指摘を受けたA子さんでしたが、<そんなことはない>と反省できないでいました。
ある日のこと、いつものように客室の清掃をしていたところ、ベッドサイドにきれいな絵柄の入った一筆箋【いっぴつせん】が一枚置かれていました。
そこには「客室係の方へ。昨日は気持ちよく休むことができました。ありがとうございました。客室清掃よろしくお願いします」とありました。
それを見たA子さんは、心が熱くなり、その気遣いに感動を覚えて、一段と仕事へのエネルギーが沸いてきました。逆に自分は、このような気遣いをしてきただろうかと、上司から受けた指摘について、心から反省できたのでした。
ちょっとした、プラスアルファの思いやりや気遣いが、心を動かすものです。仕事でも、普段の生活でも、小さな気遣いができるように心がけたいものです。
今日の心がけ◆プラスアルファの気遣いをします。
Kさんは、ことあるごとに、妻の父の服を着ています。10年前に亡くなった父が身につけていたスーツやコート、ワイシャツなどのほとんどを、遺品【いひん】として受け継いだものです。
Kさん以外にも、親類は何人かいたのですが、体にほどよく合う人がいないからでした。父の服は型の古いものもあり、あまりうれしいわけではありませんでしたが、ある日遺品のスーツを着て、妻の実家を訪れました。
その時、スーツ姿のKさんを見た母が、声を上げて泣き出したのです。Kさんは、涙を流しながら喜んでいる母を見て、<体形がほぼ同じだから、お父さんを思い出したのだろう>と、胸が詰まったそうです。
それ以来Kさんは、母に会う際には、父の服を着るようにしています。これをきっかけに、ギクシャクすることのあった母との仲もよくなり、心から「お母さん」と呼べるようになりました。そんな二人を、妻も喜んで見守っています。
「父の服のお蔭で、家庭も仕事も順調です」と、感謝しているKさんです。
今日の心がけ◆家族に感謝します。
生涯学習の通信教育会社・ユーキャンが、20代と60代の子供のいる既婚者【きこんしゃ】400人に、夫婦観について調査をしました。
<夫婦についての思いを漢字一字で表す>との質問には、二十代は「絆【きずな】」「信」「愛」の順で、絆あってこそ成り立つ関係を挙げました。60代は「忍」「愛」「和」で、お互いが我慢しないと続かないという回答でした。
夫婦は、理解し合うという愛情を基本に、お互いの欠点をカバーしつつ、良きパートナーとして歩んでいくものです。また、時には甘えたい存在でもあります。
Aさんは、いつも妻の話の腰を折っていたことに気づき、心から話を聞くようにしています。Bさんは、自分の間違いに気づいても「ごめんなさい」と言えませんでしたが、今は素直に謝るようにしています。
自分の欠点は、なかなか気づかないものです。夫婦となったら、気づいたことは、お互いにあっさりと指摘し合い、相手のよいところは、できるだけたくさん褒めてあげることが、夫婦円満の第一歩です。
今日の心がけ◆相手の美点を誉【ほ】めます。
春は送別会や歓迎会などで、酒席【しゅせき】が多くなる季節です。今年こそはと健康管理を誓いながらも、ついつい飲み過ぎてしまう人も多いことでしょう。
しかし、飲む前の準備や飲み方の工夫によって、体の負担を減らすことができます。飲酒の始まる2、3時間前に軽く食事をしておくと、胃や腸でアルコール濃度が薄まり、吸収を抑えることができる効果があるといいます。
お酒を飲み始めてからは、豆腐、鳥のささみ、魚など、タンパク質を多く含んだ食品を意識して摂ります。すると、飲酒後のアルコール分解がスムーズになり、二日酔いの防止にもつながります。
ただし、楽しいお酒の席では、飲酒や食事が進み、すぐに摂取カロリー過多【かた】となってしまいがちです。また、お酒を飲むことで内臓に負担がかかり、いつのまにか疲れやすい体質になりがちです。
体調管理をしっかりとして、お酒の飲み方を工夫し、日々の仕事の活力源として上手に活用していきましょう。
今日の心がけ◆体をいたわります
フランスのサッカークラブ「グルノーブル・フット38」は、昨シーズン二部リーグで3位となり、45年ぶりに一部昇格を果たしました。
2007年から監督に就任したバズダレビッチ監督は、プレーの指導だけでなく、練習後に必ず、ピッチの傷んだ芝を踏み固めて修復することや、用具を大事に扱うことを率先して行ない、選手にも浸透【しんとう】させました。
「そういうことがきちんとできるチームでなければ、プレー面の規律も保てない」と監督は強調し、技術や戦術より先に授【さず】けるべき大切な部分を伝えています。
これは職場にも当てはまるでしょう。環境を整備し、作業場を整理整頓し、用具を大切に扱うことは、仕事の流れをよくし、ミスを未然に防ぐことにもなります。逆に、それらが疎【おろそ】かにされた時、思わぬ失敗を招【まね】くものです。
小さな行動でも、自ら本気で物事に取り組む姿は、周囲の人たちにも何かを感じさせることでしょう。状況を変えるには、動くことが重要です。自分にできることから、日々積み重ねていきましょう。
今日の心がけ◆率先して行動します。
心理療法家のミルトン・エリクソンが、重症のうつ病患者を治療したときの話です。
「あなたなら私を治すことができると思ってやってきました」という患者に、エリクソンは答えました。「あなたの治療をしてもいいが、一つ条件がある。近くの岩山の頂上まで登り、戻ってくることができたら、君の治療を始めてもいい」
患者は、治療を受けたい一心で、重い体を引きずるように岩山に向かいました。数時間後、戻ってきた患者は、前とは比較にならないほど、晴れやかな顔になっていたそうです。
山登りで、うつ病が治るわけではありません。しかし、体の変化が心の状態に、大きな影響を及ぼすということを、エリクソンは経験させたかったのでしょう。
心が落ち込んでいる時、たいていの人は、うつむいて歩いています。姿勢は気力を高める大きなポイントです。背筋を伸ばし、前を向いて歩くことで、悩みや憂【うれ】いを吹き飛ばしましょう
今日の心がけ◆姿勢を正します。
毎日多忙な業務をこなすHさんは、周囲から頼りにされています。
「急ぎの仕事は忙しい人に頼め」と言われるのは、忙しい人ほど時間のやりくりが上手く、テキパキと処理をするからでしょう。
仕事の処理が遅く忘れっぽいY君は、Hさんの仕事ぶりを観察してみました。すると、依頼を受けたらすぐに「メモ」に残しておき、処理が終わると処分するという方法をとっていました。
さっそく真似をして、メモに残して処理を始めたY君。しかし、依頼された仕事をまた忘れてしまい、上司から注意されたのです。
原因を探ったところ、依頼を受けた時点ではメモに残していたのですが、その後、メモをどこかに置き忘れてしまったのです。
Hさんを再度観察してみると、パソコンの画面など、目立つところにメモを貼っていることを知りました。メモを取ったあとの置き場所を決め、段取りを立ててから仕事を進めるようになると、うっかりミスも次第に無くなったのです。
今日の心がけ◆仕事の手順を決めましょう
ランニングが趣味のNさんは、好きな曲を携帯音楽プレーヤーに入れ、リズムに乗りながら走っています。
ある日のこと、いつものようにランニングをし、汗で濡【ぬ】れたトレーニングウェアを洗濯機に入れました。部屋でストレッチをして間もなく、Nさんは、プレーヤーを一緒に洗濯してしまったことに気づきました。
水浸【みずびた】しになったプレーヤーを、あわてて取り出しましたがすでに遅く、どのボタンを押しても何の反応もありません。
Nさんは、プレーヤーをドライヤーで乾かしながら、<もっと大事に扱えばよかった>と悔やみました。使うだけ使い、無理やりカバンに詰め込んでいたこと、すぐ電池がなくなることに不満を持つなど、日々、大切にしていなかったのです。
Nさんはプレーヤーを手で撫【な】でながら、別れを惜しむかのように、申し訳ない気持ちで眺【なが】めていました。すると、突然プレーヤーが動き出したのです。驚いたNさんは、それ以来、すべての物に愛情を込めて使うようになったそうです。
今日の心がけ◆物に愛情を込めます
民俗学者の神崎宣武【かんざきのりたけ】氏は、言葉の豊かさは感性の豊かさでもあるといいます。日本人の四季感を鈍【にぶ】らせた要因の一つに、日常の食事用語の混乱を挙げています。
たとえば漬物は、古語でいうと、「新香【しんこ】」と「古香【こうこ】」の二つの意味がありました。新香とは、浅漬けのことで、野菜の新鮮な味を残すものを指しました。お客様をもてなすために時々漬けた、ハレ(特別な日)の漬物を示す言葉でした。
古香は、たくあんに代表される保存用の漬物です。一年にわたって小出しに食すケ(日常)の副菜でした。今では、たくあんをお新香と呼ぶ人が多いようです。
ハレの主食が御飯、ヶの主食が飯【めし】(糅飯【かてめし】という少量の米に雑穀や根菜を炊きこんだもの)でした。また、汁ではハレの汁が吸い物やおすましで、ケの汁は実汁食【みつけ】(具だくさんの味噌汁)で、御を冠して呼ぶことはないといいます。
御【お】が頭につくのは、ハレの料理で、かつての日本人は、言葉の使い分けができていたそうです。時代とともに、使われ方が変わった言葉がありますが、本来とは違う意味で理解されている言葉も多いようです。
今日の心がけ◆言葉を見つめ直します
「飲み物や温湿布【おんしっぷ】で手が温まった人は、他人への評価や行動が優しくなる」という実験結果を発表したのは、米国のコロラド大学とエール大学のグループです。
一般の人53人に、温湿布と冷湿布【れいしっぷ】を使用してもらうという商品テストを実施。その後、実験参加のお礼として、<友人への商品券か自分用にプレゼントをもらう>のどちらかを選んでもらいました。
その結果、温湿布を使った人は54%が友人用を選び、冷湿布を使った人で友人用を選んだのは25%でした。ホットコーヒーとアイスコーヒーを使った別の
実験でも、面識のないある人物に関する印象の評価が、ホット組はアイス組に比べて「寛大」「社交的」「おもいやり」などの得点が多いという結果が出ていま
す。
手を温めることで、心も温まる傾向が、すべての人にあてはまるのかどうかは分かりませんが、少なくともこの実験結果からは、よい影響がありそうです。
温かな人間関係を保つことに、少しでも影響があるのであれば、一度手を温めてみて、自分の心の変化を観察する価値はありそうです。
前田の今日の心がけ◆温かな心を築きます。
伝統文化の「能」は、その独特の所作が健康づくりに役立つこともあり、習い始める人も少なくありません。
ある80歳代の能楽師は、10キロ近い装束を着て1~2時間の舞台をこなしても動きによどみがありません。助走なしで高々と飛び上がり、スケートのように360度回転して着地するなど、かなりの身体能力の高さを持ちます。
能の基本のすり足が、深層筋【しんそうきん】である大腰筋【だいようきん】を活性化させ、また、大腰筋とつながる横隔膜【おうかくまく】を刺激し、深い呼吸や通りの良い声づくりにも作用しています。
大腰筋は腿【もも】を持ち上げる筋肉で、足腰の要【かなめ】です。年齢とともに表層筋は弱くなりますが、深層筋を上手く使えば補うことが可能です。膝を高く上げた「その場足踏み」をすることでも、すり足と同じ効果が期待できます。
身軽に、気軽に体を動かせるためにも、筋力の強化は大切です。そして何より、「はい、喜んでいたします」といった、心のトレーニングも日々積み重ねて、自身の潜在能力を高めたいものです。
前田の今日の心がけ◆フットワークよく動きます。
Kさんは、ショルダーバッグが古くなったので、新しいバッグを買うために、妻とデパートへ行きました。色々と見た中で、ある専門店の商品が気に入り、また店員の応対がとても感じが良かったので、その店でバッグを買いました。
バッグを気に入ったKさんは、大切に使っていました。しばらくして、その店員から直筆の礼状が届きました。
「先日はご来店いただき、ありがとうございました。ご購入いただきましたバッグは、お役に立っていますでしょうか? K様はとてもお洒落ですので、きっと格好良くお持ちいただけると思います。また是非奥様とご来店ください」
直筆の手紙が届くとは、まったく思ってもいなかっただけに、Kさんは驚き、その店のお客様一人ひとりへの、細やかな心配りに感心しました。Kさんは、いつかまた、その店の商品を購入したいと思いました。
「お客様あっての我が社、我が店」とよく言います。しかし、大事なことは、それをいかに実際の行動に移すかなのです。
前田の今日の心がけ◆一人ひとりを大切にします。
住宅設備メーカーの「INAX」が、昨年、日本人の入浴に関する調査を、全国の既婚者【きこんしゃ】1030人に行ないました。
夫婦で入浴するのを「よい」と答えた男性は73.6%、女性は57.4%と、男性の方が肯定【こうてい】的でした。
よいと答えた理由は、「リラックスして会話が楽しめる」「二人だけの時間が持てる」というものでした。60歳以上では、「お互いの健康チェックができる」と、健康上の利点が重視されていました。
S氏は、「妻と仲良くなる五ヵ条」を掲げ、以下を心がけています。
1.一日一回、妻の美点を褒【ほ】める、
2.妻以外の女性を絶対に褒めない。ただし、7歳以下と70歳以上は例外、
3.入浴時には妻の背中を先に流す、
4.出張する時は必ず妻に土産を買う、
5.妻が外出する時は必ず小遣いをあげる、
です。夫婦が仲良くすることは、家庭生活の基盤です。
夫婦円満の策として、入浴を活用してみてはいかがでしょう。
前田の今日の心がけ◆夫婦の絆を深めます。
サッカー・J1の鹿島アントラーズは、昨年、2年連続の優勝を果たしました。優勝の要因には、オズワルド・オリベイラ監督の独特の指導方法があります。
氏はプロ選手としての実績はなく、母国ブラジルの大学で運動生理学や心理学を学び、24歳でコーチ業をはじめたという異色の監督です。
カタールやジャマイカなどで経験を積み、2000年に、ブラジルの名門コリンチャンスを率いて世界クラブ選手権を制しました。
鹿島の監督には、2007年に就任。公の場で選手批判は一切せず、先発を外す時も、必ず一対一で理由を説明するなど、選手一人ひとりを大切にします。
昨年の優勝をかけた、試合前夜のミーティングでは、選手に内緒で録画した「家族からの応援ビデオレター」を放映しました。そして「支えてくれる人たちのためにも勝とう」と鼓舞【こぶ】し、結束を高めました。
あの手この手を駆使【くし】することから、「オズの魔法使い」との愛称を持つ同監督。その根本にある、一人ひとりを愛する心を、私たちも意識したいものです。
前田の今日の心がけ◆人を愛する心を持ちます。
イベント企画会社に勤務するMさんは、上司から「すぐにメモを取る癖をつけなさい」と、アドバイスをもらいました。そこで、メモ帳とボールペンを携帯し、用件に加えて気づいたことを、歩きながらでもメモするように努めました。
すると、用件を忘れなくなったうえに、メモを読み返してみると、今までならば気にも止めないほど些細【ささい】な情報が、じつは役立つことを知りました。
また、メモを続けているうちに、一日にやるべき仕事を、勤務前に書き出すようになりました。仕事の分量や目安を、素早く把握できるようになり、仕事の優先順位を間違えることもなくなっていったのです。
さらに、急な仕事が入っても、予定の変更を書き入れ、上司の指示を仰ぎ、慌てることなく適切に処理できるようになりました。
メモをすることで、小さな気づきも逃さず、仕事に反映させることができます。スムーズに仕事に取り組むためにも、いつでも、どこでも、メモを活用していきましょう。
今日の心がけ◆メモをします。
商品の陳列場所を尋ねた客に、素っ気なく「そこです」と答える店員、商品を購入する際に、無愛想にレジで支払いをする人。このような光景は、よく見かけるものです。
商品を売る側としては<売ってやっている>、買う側としては<買ってやっている>というような心持ちなのでしょうか。
特に、買う立場になった場合、<自分が働いて得たお金で、満足を得るのは当然だ>という気持ちが、強く働いてしまうようです。
需要(求めること)と供給(与えること)の相互関係で、経済は成立します。私たちは、職場人【しょくばじん】として商品やサービスを提供し、消費者として商品やサービスを求めます。つまり、売り手にもなり、買い手にもなるのです。
物事は心が先行するといいます。売る側も買う側もお互いに、<買っていただきます><売っていただきます>という謙虚さを持てば、人間関係も円滑になるのではないでしょうか。気持ちよく、明るく生活をしていきたいものです。
今日の心がけ◆謙虚な心を保ちます。
Aさんは休暇を利用して、家族で温泉旅館を訪れました。
その旅館は、受付の応対、案内する係員の接客態度など、お客様を迎える姿勢がていねいで、とても好感が持てました。さらに、館内は清潔感にあふれ、「この旅館を選んでよかった」と、家族一同が大満足でした。
Aさん一家が大浴場の脇にある、くつろぎのスペースで休んでいると、年配の夫婦が車椅子を押しながら歩いてきました。そして、何かを探しているような動作をしている時に、車椅子の一部をソファーに軽くぶつけてしまったのです。
瞬時に、フロア係の女性が、「傷つけないでくださいね!」と、きつい言葉をその夫婦に投げつけました。
温泉で心も体も温まったAさん一家でしたが、思わぬ言葉に心が冷えてしまい、せっかくの家族旅行も、後味の悪いものとなってしまったのです。
見える部分は演出できますが、見えにくい裏の部分にこそ、企業の体質が表われるものです。理念を細部にまで浸透させ、本物の企業を目指したいものです。
今日の心がけ◆温かく接します。
Aさんは、会社の近くに駐車場を借りています。毎朝、駐車場に到着するたびに、管理人が明るく「おはようございます」と声をかけてきます。
出勤途中に雨が降った日には、駐車場に車を入れているところへ管理人がやってきて、「傘、ないでしょう。これ持っていきなさい」と貸してくれます。時間
貸し用のスペースが一杯になると、入り口でドライバー一人ひとりに「申し訳ありませんが満車です」と頭を下げ、その車が見えなくなるまで見送っていまし
た。
徹底して利用者を大切にする管理人の態度に、「何もそこまでしなくてもいいのに・・・」と思っていたAさんでした。
その管理人が、都合で辞めることになった最後の日、管理人室の周りは、たくさんの人で溢れていました。管理人にお礼を言ったり、握手をしたり、写真を一緒に撮ったりしている場面を、Aさんは目の当たりにしたのです。
「仕事をする醍醐味【だいごみ】は、お客様を大切にするこの管理人さんのような姿勢から生まれるのだな」と、Aさんは教えられたそうです。
前田の今日の心がけ◆お客様を大切にします。
「厳しい」「大変だ」「この先一体どうなるのやら・・・」。マスコミから流れてくる経済事情に、庶民【しょみん】の気分はますます滅入【めい】ってしまいます。確かに現在が大不況であることには違いないでしょう。
しかし、不安におののき、震えてばかりいては、この難関を切り抜け、生き残っていくことはできません。
いま大事なのは、気力です。気力とは、困難に耐え抜く強い精神力です。言い換えれば「逃げない」ことです。グッと歯を食いしばり、しっかりと前を見据え
て、踏ん張る。〈ここで押しつぶされてたまるか〉と奮い立ち、〈こうやるぞ〉と決めたら、トコトンやり抜き、貫き通す。己【おのれ】を信じる力、これが気
力です。
そして、この気力を支えている土台が、他者から信じられているという自覚なのです。共に働く会社の同僚、上司、部下から信じられているという自覚です。
信が欠けてしまえば、たちまち気力が萎【な】え、物事は崩れ去ってしまいます。「信じてくれる人を裏切ることはできない」と思うとき、「信は力」となるのです。
前田の今日の心がけ◆気力を奮い立たせます!
人は悲しい時、嬉しい時に涙を流しますが、それは時として、心と体の極度の緊張を取り除く「薬」以上の役目を果たすことがあります。
千葉県に住むOさんは、54歳の時、嘔吐【おうと】と下血【げけつ】で都内の大学病院に緊急入院しました。検査の結果、胃に穴があいていることがわかりました。
翌朝早く、Oさんはベッドの中で、改めて自分を見つめ直す時間を持ちました。これまでの人生で、父親・母親にしてもらったことを思い出し、<その愛情に私は何をお返しできたか>と思うと、Oさんは涙が止まりませんでした。
シーツがあまりに濡れてしまったので、交換してもらったほどです。そして朝の回診で、医者から「Oさん、ずいぶん気分がよさそうですね」と言われました。
その後に実施した詳しい検査で、なんと胃の穴が、きれいに塞がっているというのです。「輸血をして一ヵ月は入院しなければ」と言われていたのですが、二泊三日で退院できたのです。
号泣によりストレスが発散され、潰瘍を涙が洗い流した出来事です。
前田の今日の心がけ◆泣きたい時には思いきり泣きます。
Nさん親子が、電車に乗っていた時のことです。
途中の駅から乗車した若い男性が、Nさんたちの前に立ち、携帯ゲームを始めました。車内は満員ではありませんでしたが、男性は両手がふさがっていたため、電車の発着時に体がゆれて、座っているNさんにぶつかってきます。
はじめはNさんが「すみません」と謝っていましたが、悪いという素振りも見せない男性に、心穏やかでいられなくなりました。<何で、自分の家のような態度で乗っているんだ!>と顔をしかめ、苛立ちが隠せなくなっていきました。
すると、隣に座っていた息子に「パパ、顔が怖い」と言われ、Nさんは、我に返りました。その時、息子の前に、杖を突いたおばあさんが立っていることに気
づいたのです。そしてNさんは、子供を膝の上に座らせていたら、一人分の席が空くことを、あらためて思い知らされたのです。
自分だけという心は、相手を責める気持ちを強くし、周りが見えなくなると感じたNさん。人を思いやることの大切さを痛感したのでした。
今日の心がけ◆相手を責める心を捨てます
人の第一印象は、0・6秒で決まるといわれます。初対面の人と会うときには、特に身だしなみや態度が重要なポイントになります。
営業職のA君は、仕事はバリバリとよくこなすのですが、最後の詰めが甘いのか、契約成立まで行き着きません。思い悩んで先輩のSさんに尋ねたところ、ニコニコと笑いながら答えてくれました。
「似たような商品を二人が持ってきたら、君ならどちらと契約する?身だしなみが清潔で、適度な笑みを湛【たた】えているほうを取るんじゃないか。頭がボサボサで表情が硬かったら、それだけで契約の確率はガクッと下がるよ」
A君はハッとしました。人から言われて初めて、自分の無愛想な姿が思い浮かんできたのでした。人と会うことが第一の仕事である営業マンとして、その自覚が足りなかったことに恥ずかしさを覚えたのです。
清潔感を保つことはもちろん、必要であれば無理にでも笑顔をつくるのも、プロとしての姿勢です。まず為すべきことは何なのかを、自身に問いましょう。
前田の今日の心がけ◆プロとしての自覚を深めます
中国の歴史書『史記』の中に、「韓信【かんしん】の股くぐり」という有名な故事があります。漢の時代に活躍した猛将・韓信にまつわる逸話【いつわ】です。
韓信は若い頃に家が貧しく、他人からご飯を恵んでもらっていました。ある時、町の無頼漢が「お前の剣で俺を斬ってみよ。それができないのなら、俺の股の
下をくぐってみよ」と韓信をからかったのです。韓信はしばらく相手をにらんでいましたが、やがて這いつくばって股の下をくぐったのです。
なぜ、韓信はその場を堪えたのでしょうか。それは、将来へ向けた明確なビジョンと大志が、彼自身にあったからです。「その希望を叶えるためには、小事に関わってはいられない」という自戒の念を強く持って生活していたのです。
職場でも家庭でも、トラブルやハプニングはつきものです。「ならぬ堪忍、するが堪忍」で、いったんは引き下がる。後日、冷静な判断によって、最善の解決策を講じていくことが大切です。
日頃から小事【しょうじ】にとらわれることなく、冷静な対応を心がけたいものです。
前田の今日の心がけ◆冷静な対応をします
M氏は、ここ数年、年末は仕事に忙殺され、障子の張替えまで手が回らない状況が続きました。そのため、春先が障子の張替えの時期になっていました。
プロ並みに仕上げるのは無理としても、氏は性格的に、ムラができたりゆがんだりすることが許せず、毎回、逃げたい気持ちでいっぱいでした。
仕方なしに今年も障子の張替えを始めたM氏ですが、思うように仕上がらず、不満は増すばかりでした。〈所詮【しょせん】、素人がすることだから〉と、自分で限界を決めようとするのですが、それに反してイライラ感が募ってきました。
しかし、ある講習で習った「物は生きている」の言葉を思い出し、M氏はそれを実行することにしました。うまく張れないのは、イヤイヤやっているからだと感じたM氏は、〈きれいに張替えれば、人と同じように障子も喜んでくれる〉というイメージを持つようにしたのです。
すると、先程の逃げたいという邪心【じゃしん】は消え、心が穏やかになりました。そして、これまでとは違う、きれいに紙が張られた障子が、目の前に現われたのです。
前田の今日の心がけ◆喜んで行ないます。
「アメリカの歴史の新たな1ページは、たった3つの言葉で始まる。それは大陸を横断し輝く海へと響き渡るだろう。『YES WE CAN』」
この「YES WE CAN!(私たちにはできる)」とは、1月にアメリカの大統領に就任したバラク・オバマ氏が、選挙戦の際に使用した言葉です。
歴史的な世界同時不況に加え、社会全体に不信感が蔓延【まんえん】している今の時代は、何もかもが行き詰まっているような空気に覆【おお】われています。
しかし、いつの時代でも「すべてがダメ」ということは絶対にありません。必ず良いことがあるのが世の中です。今を生きる私たちに大事なことは、どのような環境にあっても、その中に明るさを見いだす努力です。
「無理だ」と言い切ってしまえば、可能なことさえもできない環境に支配されます。無理と結論づける前に、「私にはできる」と言って諦めずに努力を重ねれば、きっとプラスの環境に変わるのです。
言葉の持つ力を信じ、「自分にはできる」と言い聞かせましょう。
前田の今日の心がけ◆自信を持って生きます。
日本は今、欧米の金融危機による輸出急減が原因で、ひどい「経済危機」に陥っています。株価は下落し、中小企業においては、資金繰りに行き詰まる状態にあります。当然、経営に不安を覚える経営者も、少なくはないでしょう。
しかし、いかに未曾有の経済危機とはいえ、すべての企業が倒産するというものではありません。もともと経済は生き物であり、好・不況を繰り返すものなのです。そこで忘れてならないのが、今ある企業はどこも、様々な危機を乗り越えてきた過去があるということです。経営とは変化対応業とも言われます。社長を中心に、幹部社員から一般社員に至るまで一丸となって、これまでの経営環境の変化に対応してきたからこそ、今日があるわけです。
企業の危機は、経営環境の変化といった外圧によって生じるというより、内部のまとまりに欠けた結果、変化に対応できなくなって起こると言われます。それだけに、経営者の誰もが、組織に緩みが出ないように気をつかっているものです。
しかしそれでも、経営が順調に伸びていたり、あるいは好況時には、社員の働く意識は緩慢になりがちになるようです。社長がこれを引き締めようと、いくら激をとばしても、なかなか思うようにはならないというのが実情です。
これが不況時になると、社員にも危機感が出てきて、不況克服のために、自らの働きに真剣に取り組むようになってくるものです。このときこそが、「課題を発見し、自分の能力を最大限に発揮してそれを解決し、しかも自分の目標を自発的に達成しようとする社員」を育てることができるのです。
ある地方で製造業を営むM社長は、昨今の世界同時不況や円高、台頭する中国の影響などに翻弄されて、業況は厳しい状態に陥っていました。
そのような時に誘われたセミナーで、「社長が一人で悩まないで、全社員に実情を伝え、会社の存在意義とは何かを考えさせることが大切だ。そしてそれを達成するためには、組織のあり方から製造機械の設置の仕方に至るまで、話し合わせること」と学んだのでした。
M社長はさっそく、社員の全員を召集して、話し合いに取りかかったのです。この話し合いは、社長も一般社員も同じ立場で進めました。仕事が少ない分、話し合いの時間が多くなっていきました。
話し合いを始めて二カ月が過ぎたころ、社員の表情はすっかり変わっていたと言います。これに比例するかのように、社風が変わり、注文も予想外のところから、持ち込まれるようになったのです。
「不況をこわがってはいけない。不況から逃げてはいけない。むしろこれに立ち向かい、社内のゆるみを引き締め、改善すべき点を徹底的に改善していくことが大事だ。不況のときこそ、身にしみてほんとうの勉強ができるいい機ある」
会だということで(『松翁論語』)
また「苦難は幸福の門」との教えもあります。今回の不況に、経営者としての在り方を学び、社員とともに次の繁栄のステージに踏み込んでいきましょう。
脳科学の研究で「セレンディピティ」という言葉が注目されています。「思わぬ幸運に偶然出会う能力」と訳されますが、最近では「偶然による幸運の出会い」という意味でも使われています。
人は出会いによって成長し、人生を大きく変えることがありますが、偶然の出会いをどう活かすかも、自己の能力なのです。
偶然の出会いは、人との出会いだけではありません。脳科学者の茂木健一郎【もぎけんいちろう】博士【はくし】は、「最近の日本人ノーベル賞受賞者のうち、少なくとも三人の発見には、明らかに『セレンデイピテイ』と呼べる偶然が介在しています」と言います。
Aというものを見つけるつもりが、ある偶然によってBに出会ってしまう。想定外のBに出会い、その発見でノーベル賞を受賞したということです。
2002年にノーベル化学賞を受賞した、島津製作所の田中耕一【たなかせいいち】氏も、試薬の配合を間違えたことがきっかけで、タンパク質の分析装置の原理を発見しました。
追求する努力が、偶然の出会いを呼び寄せるともいえそうです。
前田の今日の心がけ◆偶然の出会いに感謝します。