将来に希望を持ち、やる気を起こすにはどうすればよいのでしょうか。脳科学者の茂木健一郎【もぎけんいちろう】氏は、一業【いちぎょう】を成し遂げた真のプロフェッショナルたちの生き方から以下のアドバイスをします。
1.憧【あこが】れの人を持つ・・・「こういう生き方は素晴らしいな」と相手と同じように振る舞い、モチベーションが高まります。
2.脳に小さな「喜び」を与える・・・これをクリアできたらうれしい」と思えることを見つけ、小さな成功体験を積むと、逆境の中でもやる気を出すことができます。
3.自分を褒【ほ】めて自信をつける。
4.「やらされる」のではなく「やる」と思う・・・自分で選択し、自分で決定し、自分の責任で実行することは、脳にやる気を起こさせる条件となります。
5.人の心に届くような思いを込める、です。
人生の充実感を味わった多くの人たちがやる気を高めたのは、「お金」のためではなく、仕事への「喜び」と「達成感」であったといいます。「自らが主役」という自覚を持って、喜んで働きましょう。
2009年12月アーカイブ
落語というと、高座【こうざ】に上る噺家【はなしか】ひとりの世界と思いがちですが、実はお客様を大切にしようと、「連携【れんけい】」を重視しているようです。
三遊亭楽春【さんゆうていらくはる】師匠は「足の不自由なお客様が寄席【よせ】にいらしたとします。すると受付から楽屋に連絡が入り、それをボードなどに残しておきます。私たちがそれを見て、その日一日は足の悪い人が出てくる落語をやらないのです」と言います。
サービスや商品を提供するにしても、売り手は買い手に振り向いてもらって初めて、自社の持つ技術や品質が活かされます。お客様の消費に向けた気分を高め、購買【こうばい】意欲を増進【ぞうしん】させなければ、企業活動が進展【しんてん】することはありません。
企業が部課という単位で仕事を進めるのは、細分化【さいぶんか】された業務を各部署で共有し連携することで、一人ではできないこともうまく運ぶという強みがあります。そのような状況が日常的にある企業こそが、真に強い企業といえます。
お客様や社会のニーズ・状況等【じょうきょうとう】を知ることは、企業の発展に役立ちます。「仕事は一人でやるものではない」という意識を、心に強く留【と】めておきたいものです。
今日の心がけ◆連帯感を大切にします
今年も残りわずかとなり、いよいよ年末の大掃除の時期がやってきました。
Y氏は家の大掃除に取りかかりました。2時間の予定で始めましたが、物が乱雑【らんざつ】に置かれ、ほこりが出てくるばかりで終わりが見えません。
倫理研究所の創始者・丸山敏雄【まるやまとしお】は、大掃除のコツを「動くものは皆一度動かしてみよ、下からチリが出る。ズボラをするな、高い所にはハシゴをかけて登ってチリをはらえ」と述べています。Y氏はその言葉を思い出しました。
まず、タンスの上や照明器具など、高いところから掃除を始め、最後に床などに落ちたホコリを掃除するという「上から下へ」作戦に変更し、実行しました。
また、押入れの中など移動できるものは、移動してから、奥から手前に掃除することで、昨年までとは比べものにならないくらい効率的に進んでいきました。Y氏にとって、大掃除が一年間の自分を見つめなおす貴重な一時となりました。
年末は過去を振り返り、決意を新たにする多くの「きっかけ」に満ちています。大掃除をきっかけに、新年へ望む姿勢を整えていきましょう。
今日の心がけ◆決意を新たにします
自動車で営業先を訪問している若手社員のM君。ある年の暮れに、その年の最後の会社を訪問した直後、思わぬ事故を起こしてしまいました。
駐車場から出る際に、営業先をすべて回ったという安心感から油断が生じ、コンクリートの壁に営業車のボディーをこすり、傷つけてしまったのです。
運転には自信があり、自分は事故など起こさないものと思っていたM君は、動揺【どうよう】を隠しきれない状態で帰社しました。
さっそく、このことを上司に報告したところ、「君は元気はいいが、普段から後始末が悪い。車の中の商品管理や車の清掃もいいかげんだ。事故はそのことを、一年の総決算というこの時期に教えてくれたのだ」と言われました。
M君は上司からズバリ言われ、返す言葉もなく、日頃の自らの後始末の悪さを反省したのでした。
それからのM君は、仕事上の後始末や整理整頓に気をつけるようになり、自動車や物品を大切にするようになりました。
今日の心がけ◆後始末を徹底します
昨年の北京オリンピックのフェンシング競技で、日本人初の銀メダルを獲得した太田雄貴【おおたゆうき】氏。学生時代から現在まで、素晴らしい指導者に恵まれましたが、「今の自分がいるのは心の面で厳しく指導してくれた先輩のおかげ」と言います。
太田氏が、母校・平安高校【へいあんこうこう】フェンシング部のOBであるその先輩に初めて会ったのは、小学校3年生の時でした。トップクラスの実力を持つ先輩から熱心な指導を受け、剣を交【まじ】える楽しさを知りました。
太田氏は中学生の時に、団体戦メンバーに選ばれず、試合の応援もしないで他校の先生と話し込んでいました。その姿を見た先輩から、「選手として強ければ何をしてもいいわけじゃない」と、ものすごい勢いで叱られました。
その言葉が、自分本位の甘い考えから目を覚ますきっかけとなり、真剣に競技に取り組むようになったのです。
思い通りに物事が進むと、人としてあるべき姿を忘れ、高慢【こうまん】な態度をとってしまいます。自分を客観的に見つめて、わがままな心を取り除きましょう。
今日の心がけ◆自分本位の考えを捨てます
事業開発や飲食店の運営等をプロデュースする、ソルト・コンソーシアム社長の井上盛夫【いのうえもりお】氏。飲食店経営者らと共に今年3月、「東京をもっと元気にプロジェクト」を立ち上げました。
これからのビジネスは、競争よりも共生【きょうせい】が大切だという思いから、今日の経済低迷【ていめい】をプラスに捉【とら】え、「嘆【なげ】くよりもまず動く」ことからスタートしていきました。
具体的な内容として、500円で購入したオリジナルのバッジを提示すると、プロジェクト参加店舗では、ビールを100円で楽しむことができます。その結果、仕事帰りの会社員が立ち寄るようになり、店に活気が戻ってきました。
その後、飲食店の枠【わく】を超え、ファッションや音楽も巻き込んでのイベント企画が、若手経営者から続々とあがるようになりました。
変化の激しい時代を生き抜いていくには、消費者と企業の接点から考えることが大切なのです。勇気をもって一歩を踏み出す努力をすれば、必ず二歩目につながります。私たちも自【みずか】ら考え、行動に移していきたいものです。
今日の心がけ◆自ら行動していきます
雑踏【ざっとう】の中で肩が触【ふ】れた時に、当事者同士【とうじしゃどうし】が睨【にら】み合って口論【こうろん】となったり、挙句【あげく】の果てにはつかみ合いになる場合を見かけます。
咄嗟【とっさ】の場合、お互いが被害者【ひがいしゃ】だと思ってしまうのか、それとも少しでも謝【あやま】ったほうが負けだと思うのか、責任をなすりつける場合が多くあります。
重大な過【あやま】ちはもちろん、些細【ささい】な出来事でも、素直に謝るのは当たり前の行為です。当たり前のことがスムーズにできれば、人間関係は円滑【えんかつ】に進むのです。先に「ごめんなさい」と謝ることを、カッコ悪いと思ってはいないでしょうか。
「ごめんなさい」という言葉は粋【いき】なものなのです。「ごめん」は、許す意味の「免【めん】」に尊敬の接頭語【せっとうご】の「御【ご】」がついたもので、本来は許す人を敬【うやま】う表現でした。
「許しを求める」言い方から、やがて自分の無礼を詫びる表現となっていき、相手に自分の心の広さを示すことができる言葉なのです。
日頃から「ごめんなさい」と素直に謝罪できる、心の広さを持ち合わせて生きていきたいものです。
今日の心がけ◆思いやりの心を養います
出張先で朝からの長い会議を終えたKさんは、東京までの新幹線の指定席券を買うために、駅の窓口に行きました。
夕方の混雑【こんざつ】した時間帯でしたが、指定席車両は窓側も通路側も座席に余裕がありました。徹夜【てつや】で会議の準備をして疲れ切っていたこともあり、眠って帰りたいと思い、人の出入りのない窓側の座席を取ることにしました。
若い女性の窓口係員は、「お疲れのようですが、進行方向側と左側のどちらがよろしいでしょうか」と尋【たず】ねてきました。どちらでもよい旨【むね】を伝えると、係員は「では左側のお座席にいたしましょう」ときっぱりと言いました。
乗車券を受け取る際、「左側のほうが景色がよいのですか」と尋ねてみました。すると、係員は「進行方向右側のお席ですと西日が当たり眩【まぶ】しいと思いましたので、日が当たらない左側のお席にさせていただきました」と答えたのです。
Kさんは、<とっさの中でお客様の状況を把握【はあく】できる心配【こころくば】りが素晴らしいな>と感謝し、ぐっすりと眠りに就【つ】き東京へ戻ることができたのでした。
今日の心がけ◆とっさの事態に備えます
アナウンサーのF氏が、長男が通う幼稚園の授業参観へ行った時のことです。砂場で遊ぶ息子の背中にトンボが止まっていました。
それを見た女の子が「Kちゃんの背中に天使の翼【つばさ】が生えている」と言ったのです。その時、F氏の脳裏【のうり】に、あるドイツの逸話【いつわ】が浮かびました。
バスの停留所で乗客が乗【の】り降【お】りし、運転席横のドアが閉まりかけました。その瞬間、一人の男の子が飛び乗ってきたのです。
乗客の誰もが、運転手に怒鳴【どな】りつけられると思って注目していました。しかし、運転手は「坊や、翼をはさまなかったかい」と優しく一言。男の子がニコリとして首を横に振ると同時に、乗客たちは優しい眼差【まなざ】しになったというのです。
「子供は天使」との思いが生活に根付いているからこそ、このような温かい言葉や眼差しが自然に生まれてくるのでしょう。
子供の存在は、世を輝【て】らす無垢【むく】な光です。F氏は我が子から幸福な時間を受け取ったのでした。
今日の心がけ◆子供の存在に深く感謝します
人間関係のトラブルは、職場人【しょくばじん】に共通した悩みといえるでしょう。
些細【ささい】な誤解が積み重なったり、先入観で相手を見てしまったりと、様々【さまざま】な要因が考えられますが、そこにはまずコミュニケーション不足があります。
コミュニケーション指導のプロとして、年間300回以上のセミナーを行なっている箱田忠昭【はこだただあき】氏。改善のポイントとして、
1丁重に接する
2相手をほめる
3感謝する
4微笑みを忘れない、という四点を挙げています。
中でも特に注意したいのは「感謝」についてです。感謝の一言がサッと言えなかったり、口先だけの感謝になってはいないでしょうか。希薄【きはく】な職場環境を作りあげ、それが連携【れんけい】のない仕事に通じ、トラブルを起こすのです。
心からの感謝の言葉は、自分を変え、周囲の人たちを変え、仕事の推進力や職場環境をも変えていきます。周囲の人たちの働きによって、ありがたく生かされているのが自分です。
多くの支えで仕事が成り立っていることを、深く胸に刻【きざ】みたいものです。
今日の心がけ◆心からの感謝を伝えます
ここ数年の新入社員の特徴【とくちょう】として、「指示【しじ】待ち社員」が増えているといいます。上司が事細【ことこま】かな仕事の指示をしないと動けない社員のことです。
上司は新入社員に対して、組織の一員として最大限の力を発揮することを期待しているため、ジレンマのある課題となっています。
経験や年代の違いから、新入社員に対して「こんなこともわからないのか」「どうせ指示しても理解できないだろう」などという一方的な思惑【おもわく】により、主従【しゅじゅう】の円滑【えんかつ】な人間関係が阻害されてしまうケースもあるようです。
「指示待ちは悪い」と一方的に決めつけてしまう前に、確認すべき事項もあります。たとえば、「両者の間に、仕事の方針や作業手順が共通に認識されているか」などがあるでしょう。
新入社員としても、上司への行き過ぎた遠慮は排【はい】しましょう。必要なことは聞く、発言すべき時は発言するなど、日々の積極的な姿勢が、仕事を追う「気」を養【やしな】ってくれるはずです。
今日の心がけ◆意思を確認し合います
カメラ用レンズの製造、販売を手掛けるタムロンの社長・小野守男【おのもりお】氏は、社員第一主義を掲げ、利益の多くを社員に還元し、社員の士気を高めています。
小野氏は本社社員600名を一人ひとり社長室に招き、面談を4年間継続しています。社員の顔や名前を覚えるのはもちろん、社の将来を背負う人材を見極め、意欲と資質【ししつ】を兼ね備えた人材に目星【めぼし】をつけ、適切な社員教育を促【うなが】します。
同社では以前、全社会議で業績の良い部署が悪い部署を、執拗【しつよう】に責める風潮がありました。そこで小野氏は、そういった状況を払拭【ふっしょく】するために、会社の評価方法そのものを変えました。
部門別に評価するのではなく、会社全体に利益をもたらす「全体最適」に重点を置きました。赤字の部門があれば皆で助け合い、会社全体が黒字になった場合は、利益を全社員に分配するという仕組みです。
全部署・全社員が一丸となって仕事に取り組むことは、企業として必須【ひっす】です。「全体最適」の意識を持って、強力な組織を築【きず】いていきたいものです。
今日の心がけ◆連携を密にします
競泳【きょうえい】の萩原智子【はぎわらともこ】さんは、180センチの長身を活【い】かした泳ぎで、2002年の日本選手権では、自由形、背泳ぎなどで史上初の個人4冠を達成しました。
しかし、2年後のアテネオリンピックには出場できず、現役を引退。その後、水泳教室で普及活動に打ち込む一方、水泳を取材する立場として活動しました。
そして昨年、取材者として北京オリンピックを訪れた際、選手たちの泳ぐ姿に、「また戦いたい」という思いが募【つの】ったのでした。
萩原さんは、母校【ぼこう】・山梨学院大学【やまなしがくいんだいがく】の学生らと一緒にウエイトトレーニングによる体づくりと泳ぎ込みを行ない、レース復帰の準備を着々と進めてきました。
現役復帰宣言【げんえきふっきせんげん】後の初の全国大会では、自己ベストをマークした萩原さん。以前はプレッシャーを感じやすく、記者やカメラマンを苦手としていましたが、自身も記者を経験したことで、そうした苦手を克服できるようになりました。
「29歳で再挑戦する姿に勇気をもらったと言われるのが、今一番の褒め言葉です」と語る萩原さんです。
今日の心がけ◆再チャレンジします
ある日の夕方、M子さんは7歳の娘を自家用車に乗せて買い物に行きました。その帰路【きろ】、土手沿いの道の溝【みぞ】に、左側のタイヤを脱輪【だつりん】してしまいました。
突然の出来事に困惑【こんわく】していると、部活動でランニング中の女子中学生たちが通りかかりました。すると、生徒の一人がM子さんに「大丈夫ですか。今、部員が応援を呼んできますので」と声を掛けてくれたのです。
さらに別の生徒たちは、「大丈夫だから、心配しないでね」と娘の面倒を見てくれたのです。やがて応援に駆けつけた大人たちと共に、生徒たちは車の救出に成功しました。
ホッとしたM子さんの横で、生徒たちは、協力してくれた大人たちに「ありがとうございました」と爽【さわ】やかな笑顔でお礼を言って立ち去りました。
「今の若者は自分勝手だ」という意見を聞いたりします。しかし、困っている人を見かけても知らない振りをして通り過ぎてしまうのは、私たち大人のほうです。彼女たちの爽やかな勇気ある行動に、心から声援を送りたいものです。
今日の心がけ◆困っている人を助けます
オフィス用品を扱うA社で、営業職として勤続【きんぞく】7年目のKさん。多くのお得意【とくい】様に支えられ、仕事にやりがいを持って充実した毎日を送っていました。
しかし、競合会社【きょうごうがいしゃ】が近くに進出し、A社の経営に陰【かげ】りが見え始め、不安を抱【いだ】くようになりました。そのような折、今後の方針を見極【みきわ】めるために、全社員に向けて業務改善の提案書を提出するようにとの命令が下りました。
締切【しめきり】は一ヵ月後だったため、安心しきっていたKさんでしたが、その後、仕事が忙しくなり締切日を過ぎてしまいました。結局、熟考【じゅっこう】する時間もなく、思いつきを並べただけの提案書を、Kさんはあわてて出したのです。
内容の薄さを上司に叱責【しっせき】される中で、Kさんは自己を振り返りました。すると、取引先が止【や】むを得【え】ず約束した時間に遅れた時に、心の中で相手を責めていた自分がいることに気づかされたのでした。
「人の振り見て我が振り直せ」とは、まさに自分のことだと深く反省をしたKさん。「期日や時間を徹底して守る」と決意を新たに職務に邁進【まいしん】しています。
今日の心がけ◆期日や時間を守ります
初めて訪【おとず】れた出張先で、Kさんがタクシーを利用した時のことです。トンネルをくぐり、主要道路から外【はず】れた複雑な裏街道【うらかいどう】を進みますが、運転手は装備【そうび】されているカーナビゲーションを使用しません。
「カーナビは使用しないのですか」と尋ね【たず】ると、「私は使用しません。新人と交代で車を使うので、彼らのためのものなんです」と運転手は答えました。
その運転手はカーナビを使わなくても、地元の道路がすべて頭に入っているといいます。お客様に行き先を告【つ】げられて「わかりません」では許されないため、新人に対しては、カーナビを活用させているとのことでした。
運転手は、「当社は新人もベテランも、お客様を安心して目的地にご案内するというのが信条です」と言いました。私たち職場人【しょくばじん】は、新人もベテランも関係なく、お客様に対して一貫【いっかん】したサービスを提供するプロに徹しなければなりません。
Kさんは、職場で先輩に依存【いぞん】しすぎている自身を反省し、運転手から教わった「プロとしての心得【こころえ】」を肝【きも】に銘【めい】じ、仕事に打ち込んでいこうと決意したのでした。
今日の心がけ◆プロとしての心得を肝に銘じます
職場人【しょくばじん】として仕事に携【たずさ】わる中で、後輩社員は上司や先輩から細【こま】かな注意や指摘【してき】を受ける場合があるものです。
注意や指摘が、自分の能力不足によるもので、納得せざるをえないとしても、注意を受けることは多くの人にとって心地よいものではありません。
人は機械のように正確には動けない面が多くあります。ちょっとした不注意が原因で間違いは発生してしまうのです。
それに対処するには、仕事の区切りごとに確認をする習慣をつけることが重要でしょう。「やったつもり」ですませていないかどうか、振り返る余裕を持つことも大事です。
「やったつもり」による失敗を減らすためには、念には念を入れ、仕事の詰【つ】めを誤【あやま】らないようにするという心構えが必要です。
注意や指摘を受けないよう、「詰めの甘さ」がないか確認し、「もう一度見直す」という習慣をつけて、職務【しょくむ】に取り組んでいきましょう。
今日の心がけ◆念には念を入れます
「はしたない」という言葉があります。礼儀に外れたり、品格に欠けるなど、人として見苦しいことを指して使う場合が多いようです。
かつての日本人は「はしたない」ことは恥【はじ】として嫌い、厳しく戒【いまし】め合ったといいます。しかし、昨今の日本人はそうした部分への感性が鈍くなったのか、この言葉自体を使う人が少なくなってきました。
名ジャーナリストとして名高い櫻井【さくらい】よしこ氏は、自著【じちょ】の中で「人前での化粧はなぜ駄目なのか。簡単明瞭【かんたんめいりょう】です。はしたないからです。はしたないことはしてはいけないのです。これ自体が、日本人の基本的な価値観の一つです」と明言【めいげん】しています。
職場においても間違いを間違いとして放置せず、直ちに改めることは基本中の基本といえます。それはまた部下を育成する上司の大切な役割でもあります。
「間違ったことは直【ただ】ちに改めていく」といった取り組みが職場の雰囲気を高め、そうした中で一人ひとりの感性や能力も磨かれていくのです。
今日の心がけ◆恐れず改善に取り組みます
冨永愛【とみながあい】さんは、世界中のファッションショーに出演し、トップモデルとして活躍をしています。そのような彼女にも失敗はありました。
ファッションモデルは、晴れやかな衣装を身にまとい、輝かしい舞台【ぶたい】を歩き回ります。イタリア・ミラノで行なわれたショーでのことでした。衣装を身にまとい、さっそうと舞台を歩いている時に、片方の靴が脱【ぬ】げてしまったのです。
咄嗟【とっさ】の判断で、もう一方の靴も脱ぎ、何事も無かったかのように最後まで歩き続けました。プロとしてやってはいけない失敗に対して自分を恥じた富永さんは、二度と同じ失敗を繰り返さぬよう歩行の研究をして訓練を重ねました。
そして、上手に歩く技術を身につけていったのです。「ステージで靴が脱げてしまった」という「猿【さる】も木から落ちる」ほどの経験が、自身を成長させたのです。
失敗は誰にでもあるでしょう。しかし、それで終わらせては進歩はありません。その原因は何か、どうすればよいのかを考え、失敗をただの失敗として終わらせず、自身の成長の糧にしていきましょう。
今日の心がけ◆失敗を活かします
ある日の朝礼で、S氏は不思議な感覚を味わいました。
朝礼リーダーになっていたS氏は、普段以上に大きな声を出し、参加者がスローガンを発する声が一つになるよう、氏から声を合わせるようにしました。
全員の声がピッタリ一致して声を出していた時でした。S氏はこれまで味わったことのなかった心地よさを感じ、心が明るく元気になったのです。
この現象は、脳の研究でも解明されています。東邦【とうほう】大学医学部教授の有田秀穂【ありたしゅうほ】氏は、自分以外の誰かとコミュニケーションが密になると、脳の前方に「共感脳」とよばれる部位が活性化され、癒しの効果につながるといいます。
自分の行為が人に感謝されることで、自身も幸せな気持ちになれます。これが、人間が発達させてきた「脳」が選んだ幸せの形なのです。したがって、「共感脳」を適度に刺激するきっかけが、S氏の参加する朝礼にはあったといえるでしょう。
声を合わせて挨拶をしたり、相手の話にうなずくなど、自分から相手に共感する働きかけをして、幸福感あふれる職場を築いていきたいものです。
今日の心がけ◆人との触れ合いを大切にします
文化庁が、全国の16歳以上の男女・3480人を対象に「国語に関する世論調査」を行ないました。この10年で、「言葉で伝えるより、察し合って心を通わせることを重んじる」人が、1.4倍に増えたという結果が出ました。
調査は面接方式で、「人と付き合う時、互いの考えをできるだけ言葉にして伝えるか、全部は言わなくても互いに察し合うことを重視するか」と問いました。
回答は、「言葉にする」は38%で、前回の調査(1999年度)から12ポイントも減少したのに対し、「察し合う」は10ポイント増えて34%でした。
この結果について同庁では、「KY(空気が読めない)と言われることを恐れ、場の空気に合わせようとする風潮の表われでは」と指摘しています。
人付き合いでは、お互いの気持ちを察し合う能力に欠けると自分勝手になり、場の空気に合わせるだけでは、自分の意志はいつまでも相手に伝えられません。
空気を読む受信能力と、言葉による思いの適切な発信が必要です。言葉と察し合いのバランスをとって、心地よい職場の空気をつくりたいものです。
今日の心がけ◆上手に気持ちを伝えます
外科医のA氏は、救急外来で宿直勤務をし、仮眠を取ってから近くの喫茶店へ朝食を摂りに行きました。
すると、コーヒーとサンドイッチを運んでくれたウエイトレスから、笑顔で「いつもご利用ありがとうございます。たいへんお疲れのご様子ですが、お加減はいかがですか」と思わぬ一言をかけられたのです。
このところ勤務状態がハードで、疲れを感じながら仕事を終えたA氏。ウエイトレスの言葉と笑顔に、それまでの疲れが吹き飛んだようで、うれしくなりました。
同時に、<;よく気がついたな>と感心させられました。お客様を丹念に観察し、日々真心で接しているからこそ、食事を運ぶ短い時間の中で、このような温かな言葉が出るのだと思いました。
以来、A氏は患者さんに接する際には、病気以外にも「その人自身を見よう」と気持ちを新たにし、気配りを忘れずに診察をしています。
今日の心がけ◆気配りを忘れずに仕事をします
どのような仕事でも、実務に取り組み成功体験を積み重ねていく中で、実力が養われていきます。実力と共に、プロとしての意識も高まっていくものです。
加えて、理想と目標を多面的に捉【とら】え、合理的に処理する能力を向上させるためには、集合教育が有効です。時には、社外研修を受ける必要性もあります。
しかし、研修の効果は短くて一週間、長くて1ヵ月続くかというところでしょう。研修での決意と計画が、いつの間にか日常の業務に流され、現実の壁に阻【はば】まれてしまうのです。
挫折【ざせつ】の要因は、楽観的な現状分析、単純な実行手段、高すぎる目標設定、無理な時間設定など、計画の甘さにあります。それにも増して、<研修の決意だからまあいいや>とプロの誇【ほこ】りを投げ捨てることが影響します。
プロとしての誇りを取り戻して、再び実践計画を修正しながら、目標に喰らいついていく意志の強さが必要なのです。
社外研修の後には、実はプロとしての誇りこそが、最も問われているのです。
今日の心がけ◆決意を実行します
国内外で60店舗を展開する、お好み焼きチェーン店の「千房【ちぼう】」は、経営者と社員の「共育」を理念に掲げて成長してきました。
外食産業は、慢性【まんせい】的な人材不足に悩んでいるといわれています。社員の定着率の低さなど、開業時から千房を取り巻く環境も厳しいものでした。入社を求めて来る若者は、やる気がなかったり、挨拶もできない人たちばかりでした。
社長の中井政嗣【なかいまさつぐ】氏は、学歴も成績も一切問わずに採用し、そのような若者たちに本音で向き合いました。「挨拶や返事すらできなかった子が成長してくれたら、自ずと自分も成長する」と、実体験から氏は語ります。
「社員のやる気を引き出せる環境がつくれないのは、トップが悪い。どんな人間でも、しっかり見てもらってきちんと褒【ほ】められれば、何事にも自信がつき、前を向いて頑張れる」と、中井氏はやる気を伸ばす「共育」を実践します。
人に本気で向き合うには、一緒に向上していくという心構えが大切です。経営者は社員を、上司は部下を、愛情を持って育てたいものです。
今日の心がけ◆愛情を持って部下を育てます
大実業家アンドリュー・カーネギーは、常に新しいことを学び、いつでも「代理」として仕事ができるよう、準備を万全にしてチャンスをつかみとりました。
貧しさのため学校に通えず、工場で働き始めたカーネギーは、雇い主の代筆を引き受けたことをきっかけに出世しました。以来、様々な仕事の代理を任されては、自信がつくまで練習を繰り返しました。その結果、類まれなるステップアップを成し遂げ、鉄鋼王と呼ばれるまでに上りつめたのです。
常に変化を遂げているビジネスシーンにおいて、指示されたことだけをこなしているだけでは、大きな自己成長は望めません。チャンスへの対応も自然と鈍くなり、消費者が求めている部分も気づきにくくなります。
また社員の欠員などにより、管轄外【かんかつがい】の仕事が急に飛び込む可能性もあります。常に代理役ができる人員体制が整っているかが、会社の安定度に影響します。
自分が任された仕事だけに満足するのではなく、いつでも代理が務まるよう周囲の仕事に目を向け、自己の幅を広げていきましょう。
今日の心がけ◆周囲の仕事にも目を向けます
20年ほど前は見渡す限り不毛の沙漠【さばく】だった、中国・内モンゴルのクブチ沙漠に、緑の森が広がりつつあります。クブチ沙漠の緑化は、日本沙漠緑化実践協会初代会長の故・遠山正瑛【とおやませいえい】氏が、86歳の時に一人で挑【いど】んだことが始まりでした。
氏の活動に賛同した倫理研究所は1999年、クブチ沙漠の一角に「地球倫理の森」を創成し、毎年、緑化隊を派遣して植林活動を続けています。
10年の間に、第一次緑化隊から第四十四次隊まで約1500人を派遣し、地元の中国の人たちとの共同作業で、30万本のポプラの苗木を植えました。
この緑化活動は、沙漠を緑に変えたばかりでなく、中国人関係者の感情を変えました。緑化隊の明朗【めいろう】・愛和【あいわ】・喜働【きどう】の実践や人柄、態度に接するうちに、<これが本当の日本人の姿だ>と感じ、尊敬する気持ちが湧いてきたというのです。
沙漠の緑化は、乾いた沙【すな】だけでなく心にも潤いを与えたのでしょう。「継続は力なり」といいます。十年間の地道な実践の積み重ねが、「地球倫理の森」を「沙漠緑化のモデル」「日中友好のシンボル」に育てたのです。
今日の心がけ◆地道な努力を続けます
毒舌【どくぜつ】を売りものとするファッション評論家のピーコさんは、44歳の時、左目に異常を感じました。
網膜【もうまく】に皮膚ガンの一種が見つかり、転移して命に関わる危険性から、眼球摘出【てきしゅつ】を勧められました。手術を受け義眼の生活となり、今年で20年だそうです。
当時、人気急上昇中での不測の事態でしたが、それまでの「一人で生きてきた」という気負いが消え、「みんなに支えられている」ことを発見したといいます。
作家の永六輔【えいろくすけ】氏は「手紙は片目でも読めるように大きな字で書くよ」と言い、友人たちは「おしゃれ目の会」を結成し、義眼をプレゼントしてくれたのです。
ガン再発の可能性は皆無でなく、体力も落ちてきているという現在、「中年からの人生を前向きに考えるようになったのは、これもガンのおかげかな」と言うピーコさん。病によって得るものは多くあったと強く語ります。
苦難を経た結果、大きな宝物を得ることがあります。苦しみを苦しみと捉えるだけではなく、「このおかげで」という心で、人生に幅を持たせたいものです。
今日の心がけ◆日々の生活に感謝します
「ハインリッヒの法則」とは、危険な事故を予知するのに役立つ経験則【けいけんそく】です。
今から70年以上前に、アメリカの保険会社の技師をしていたハインリッヒ氏が発見し、「1対29対300」という数字で知られています。これは、労働災害の発生確率を分析した結果、導き出された数字です。
重大事故が1件起きた場合、それ以前に中規模の事故が29件は起きていて、さらに危うく事故になりかけた出来事が、300件は起きているというものです。
この法則は、労働災害のみならず、交通事故や公園遊具による子供のケガなど、あらゆる場面に当てはまると言われています。
職場や身の回りで、些細【ささい】なミスが目立つようになったら、注意を払うことが大切です。重大な過ちの予兆として受け止め、すぐさま対策を立てることで、致命的な過ちを未然に防げる可能性が高まります。
失敗を少なくし、完成度の高い仕事を実現させるためにも、こうした生活の知恵を普段から意識して実践してみてはいかがでしょうか。
今日の心がけ◆ミスを見逃さないようにします
感謝の心は、仕事を進める上で大切な要件です。また普段の生活においても、「ありがとう」と言える心境のもたらす効用は計り知れません。
よく目を向けやすい親祖先や家族、周囲の方々以外にも、感謝の対象として改めてその存在を考えてみましょう。
例えば、お手洗いで用を足した時には、便器、トイレットペーパー、水洗用の水、そして排泄物【はいせつぶつ】に頭を下げたいものです。これらがなければ日々の生活を維持することができないからです。
会社内ではどうでしょう。社員という人間同士においては欠かさない挨拶も、社屋【しゃおく】、施設、備品、そして自分が働くことができるという環境に対して、果たして感謝の意を表【ひょう】しているでしょうか。
そして、自分自身に対してです。私そのものに対しても、感謝の挨拶を心がけたいものです。「胃さん、腸さん、肝臓さん、ありがとう」と言葉にして、胸からお腹を撫【な】で下ろすことも大事です。感謝の対象は、尽きることがありません。
今日の心がけ◆忘れがちな対象にも感謝を捧げます
大阪市にある大阪第一ホテルは、市内の主要ホテルの平均稼働率【かどうりつ】を上回る高稼働率を維持しています。その秘訣は、「当たり前」のサービスの徹底にあります。
同ホテルの副総支配人・筒井紀彦【つついのりひこ】氏は、従業員に対する徹底したモチベーション管理を重要視しています。
毎朝の朝礼では、前日の稼働状況や当日の目標を確認。スタッフは、前日のお客様とのエピソードを語り、当日の自己目標を皆の前で宣言します。昼番【ひるばん】、夜番【よるばん】とシフトが交代する前には、朝礼と同様の形式で、昼礼、夜礼を行ないます。
トップが自ら『本気』を示すと社員の士気も上がるという視点から毎回、吉本晴之【よしもとはるゆき】社長が参加し、モチベーション向上につなげます。
当たり前のことを当たり前に行なうことは、難しいのだと認識させるために、「凡事徹底【ぼんじてってい】」という理念の下、様々な教育制度を取り入れています。
企業の財産である「人の力」の向上は、サービス向上に直結します。笑顔や接客対応の基本を徹底し、お客様に選ばれる企業を目指していきましょう。
今日の心がけ◆モチベーションを向上させます
Kさんは連休を利用して、久しぶりに実家へ帰省することにしました。その際、何よりもまず、祖母が入院している病院へ足を運ぼうと決めていました。
幼い頃、母親が仕事で多忙だったため、祖母に食事を作ってもらっていたKさんは、味付けやメニューの少なさに不満を漏【も】らしてばかりでした。好き嫌いも多く、よく食事を残しましたが、雑炊だけはおかわりをするほどの大好物でした。
Kさんは大好物だった雑炊を自ら作り、祖母のもとに持って行くことにしました。馴れない料理に苦戦をしたものの、愛情と真心のこもった雑炊ができあがりました。
祖母はその雑炊を、「こんなに美味しいもの、今まで食べたことがない」と涙を流し、体を震わせながら大事そうに口へと運びました。体力も弱まり、思うように食事も摂れなかった祖母が、久し振りに口にした食事でした。
私たちは今年一年、家族や友人にどのような恩返しができたでしょうか。年末年始はお世話になった人たちへ、感謝を形に表わしたいものです。
今日の心がけ◆感謝の気持ちを届けます
