日本ほど、ものに恵まれている国は珍しいといわれます。
しかし食糧自給率は、40%前後と、先進国で最低の数値です。改めて、食事に対する考え方を見直していかなくてはなりません。
現在、世界の人口は約68億人ですが、全世界の耕作可能面積でお米を栽培すれば、約200億人は食べていくことができるそうです。しかも、数ある食物の中でお米は、栄養の面でも優れた食品です。
我が国の主食はお米です。古来日本人は、お米を大事にしてきた民族です。秋田民謡の中で、「八十八回の手間ひまがかかる」と歌われているように、一粒ひとつぶを慈【いつく】しむように作られてきたのがお米です。
お米は稲で、「いね」は「いのちのね」という意味なのです。お米こそいのちのもとと言えるでしょう。
食事の際、目の前のご飯に向かい、自然の恵みと育ててくれた人々に、感謝の心を持って食【しょく】していきたいものです。
今日の心がけ◆食べ物に感謝をします
慣れた仕事の繰り返しは楽なように見えますが、いつしかマンネリの渦【うず】に呑み込まれ、やがて仕事そのものを劣化【れっか】させてしまうでしょう。
人は生きていく中で、様々な困難に出合います。しかしそれを避けてばかりいては、自身の成長は止まってしまいます。
困難な場面に突きあたると、疑問や反省が生まれます。それらは、いろいろな気づきを提示します。困難な事態は、繰り返しやってくるものと心得て、逃げずに喜んで受け入れましょう。
簡単にはできないものだからこそ、やり遂【と】げようとして知恵が湧【わ】き出て、創意工夫【そういくふう】も生まれます。素直に受け入れることで、明日に向かう一歩を踏み出せます。
A社では、今できることを全員で考え、「真剣な姿勢と誠実な対応をしていけば、必ずお客様に思いが伝わる」を合言葉にしています。「困りごとには万事対応する」という心構えで、スピードを上げたサービスに徹しています。
今日からは、「困難は自己成長のチャンス」と捉えていきましょう。
今日の心がけ◆苦しい時こそ先手で取り組みます
営業の世界などで素晴らしい実績を上げる人は、必ずといっていいほど、人知れず地道な努力を重ねているものです。
営業のAさんは、同僚のBさんがいつも抜群の成績を上げているのを羨【うらや】んでいます。「能力的にそんなに差はないと思うのだが、どこが違うのだろう」と、常々考えていました。ある日の社内研修で、ようやくその要因がわかったのです。
優秀な実績を評価されたBさんが、日頃の取り組みを発表しました。その中に、顧客はもちろんのこと、出会った人に対して、徹底的にハガキを出し続けているという話がありました。
しかもBさんの右手の中指には、ペンだこができるほど、努力のあとが窺【うかが】えたのです。Bさんの取り組みを知ったAさんは、仕事だけでなく、全てのことが中途半端になっていた自身の行動の甘さを、深く反省することができました。
自分では、努力をしていると思ってはいても、「しているつもり」の場合があります。努力に限度はないことを自覚していきましょう。
今日の心がけ◆たゆまぬ努力を重ねます
噺家【はなしか】の間で「楽屋【がくや】名人」という通語【とおりことば】があるそうです。楽屋で喋【しゃべ】っていると実に面白くて、そこにいる先輩も後輩も、大いに笑わせられます。ところが舞台で話し出すと少しも面白くなく、もちろんお客様にもあまり受けません。
「楽屋であんなに面白いのが、どうして客の前へ出るとだめになっちまうんだろう? せめて楽屋で話す三割ぐらい面白ければ・・・」となるそうです。
同じような経験をした人は、多いのではないでしょうか。つまり、練習では良かったのに、いざ本番となると力が発揮できないというものです。上手【うま】くいかない原因は、どこにあるのでしょう。
それは、「練習と本番を区別している」というところにあるのです。練習は、本番を想定したものでなければ、その効果は十分に発揮されません。緊張感を維持すると共に、本番を想定するならば、失敗した際の事後【じご】対策も必要です。
仕事も同じです。仕事が終わったら「自由」と考えるより、明日の仕事にプラスとなる時間と考えれば、きっと思わぬヒントが出てくるに違いありません。
今日の心がけ◆仕事を楽しみます
「本当は謝りたいけれど、素直に口に出せない」という経験は、誰しも少なからずあるでしょう。
「態度や顔の表情でわかってもらえるだろう」と黙【だま】っていたら、ますます事態が悪化したという場合もあります。言い過ぎて話がこじれたりもしますが、肝心【かんじん】なところは、やはり相手にわかる形で伝えなければ、理解はしてもらえません。
とはいえ、言いにくい言葉はなかなか口にしづらいものです。そのような時に、文字で書き表わすのであれば、行動に移しやすいのではないでしょうか。
高知県南国【なんごく】市後免町【ごめんまち】では、「ごめん」という町名を活かし、「まちづくり委員会」が主催して「ハガキでごめんなさい全国コンクール」を実施しています。言いそびれてしまった「おわび」の気持ちをつづったハガキを募【つの】るものです。
謝罪の文書を手渡しすることに躊躇【ちゅうちょ】するのであれば、ハガキを郵送してみるのもいいかもしれません。伝えきれなかった言葉、時間が経過し蟠【わだかま】りになっている心情を、思い切って直筆【じきひつ】で伝えてみてはいかがでしょう。
今日の心がけ◆あっさりと謝ります
農業を営むTさんは、妻と2人の息子と従業員と共に、楽しく仕事に取り組んでいます。周辺の農家の多くが後継ぎなどの問題で、やむをえず廃業に追い込まれる中、Tさんの農業は元気です。それには、わけがありました。
Tさんは農業が大好きです。23歳で独立した時に、「自分の好きな農業で起業し、多くの仲間と共に末永く農業に関わりたい」と、大きな希望を抱いて働き始めました。その後、「農業が好き」という妻と出会いました。
誕生した二人の子供たちは、成長し地元を離れて東京の大学へ行きました。そして卒業後、「両親と共に農業をやってみたい」と、故郷に帰ってきたのでした。
それは、Tさんの農業を愛する思いが、我が子に伝わったからでしょう。人は暗いところより、明るいところに集まるものです。心を明るくするには、希望を持つことです。未来に向けた明るい希望が、何よりも大きな輝きとなるでしょう。
自分が就【つ】いている仕事を愛し、その未来に大きな希望を抱く時、きっと応援者が現われてくるはずです。
今日の心がけ◆仕事に希望を持ちます
Iさんが勤務する広告会社では、本誌を使った活力朝礼を導入しています。
本誌の輪読リーダーは、読後の感想を述べることになっています。人前で話をするのが苦手なIさんは、週に一度は回ってくる当番が嫌【いや】で、いつも二言【ふたこと】、三言【みこと】で済ませてきました。
しかし、ある日を境に意識が変わりました。課内の新人が、初めて感想を述べた日のことです。新人は次のように言いました。
「新米の私が、自分の思いを話す場をいただけるとは、本当に有難いことだと思います。また、この時間を通して、先輩方の意見や、仕事に対する意識を理解することもできます。自分にとっては大変、有意義な時間となっています」
後輩の話を、目から鱗が落ちる思いで聴いたIさんは、自分のいい加減さが恥ずかしくなりました。
以後、当番がくる日までに、しっかりと文章を読み込み、感想の内容をまとめてから、本番に臨【のぞ】むようになったのです。
今日の心がけ◆準備を万全にします
日本には昔から、言葉には霊魂【れいこん】が宿【やど】っており、良いことを言えば良いことが起き、悪いことを言えば悪いことが起きるという言霊【ことだま】信仰があります。今でも結婚式の「忌【い】み言葉」などに残り、日本人の心の中に確実に存在しています。
T市で住宅の基礎工事をしているMさんは、昨今の不況のあおりを受け、急に仕事が入らなくなりました。2ヵ月続けて全く仕事がありません。
この状況を切り拓くには、営業に回るしかないと頭ではわかっているのですが、人と接するのが苦手なMさんは、出かける時に<嫌【いや】だな>という気分になります。
そこで以前、本で読んだ、ツキを呼ぶ言葉である「ありがとう」を口に出して言うようにしました。落ち込むと、日に何回でも言いました。
雨が降ると、足場が悪くなります。そのような時も、Mさんが「ありがとう」と言うようにすると、心が安らぎ仕事がはかどるようになりました。
営業に回ると「ちょうどいいところだ。うちの仕事、やってもらえない?」ということが重なり、今では仕事も増え、徐々【じょじょ】に安定してきているというのです。
今日の心がけ◆良い言葉を発するよう心がけます
通勤電車に乗るため、Aさんは自宅から最寄【もよ】り駅まで自転車を利用しています。
小雨【こさめ】が降るある朝、支度【したく】に時間がかかり、あわてたAさん。「レインコートを着る時間はないから、傘を差していこう」と自転車に乗り、家を飛び出しました。ところが駅に向かう途中で、路地から出てきた車と接触【せっしょく】をしてしまったのです。
大事には至らなかったものの、病院に担【かつ】ぎ込まれて当日の予定は全てキャンセル。重要な会合に出られず、関連する業者や、上司、同僚たちに迷惑をかけてしまいました。Aさんは事態【じたい】を悔やんで、事故に遭【あ】うまでの行動を振り返りました。
すると、昨夜は遅く帰宅し翌日のための準備が疎【おろそ】かになっていたこと、差してはいけない傘を片手に自転車を運転したため視界が悪かったこと、電車の乗車時間までに余裕がなかったことなどが、次々に思い浮かんできました。
仕事に向かう姿勢に、ゆとりがなかったことを反省したAさん。職場に復帰してからは、準備や確認を怠らず、五分前行動を心がけるようにしました。
Aさんは以前よりも、心と体と時間にゆとりを持って、業務に励んでいます。
今日の心がけ◆ゆとりを持って行動します
M氏は、自宅の駐車場が狭いため、車庫入れに苦労していました。
そんなある日、車の後部座席のドアを、壁にこすってしまいました。そこでM氏は、修理をするためにディーラーへと車を走らせました。
車の受け渡しが終わり、Mさんがホッとしていると、担当者が微笑【ほほえ】みながら、好条件で新車購入の見積もりを出してきました。勧められた車種は、今までの車より全長が数十センチ短いものでした。
M氏は駐車スペースを考慮して、「買い替えるならば小型車」と思っていました。しかし決断ができずにいたところへの強い勧めに、かえって反感を抱いたのです。
一週間後、担当者が、修理した車をMさんの自宅に運んできました。そして車庫を見ると、「これは狭くて大変ですね。車の頭をここまでもってきて、ハンドルを切るタイミングはここがいいですよ」とアドバイスし、帰って行きました。
「新車の購入を迫られるのでは」と不安だったM氏でしたが、<手段を提示【ていじ】してくれたに過ぎなかったのだ>と、冷静ではなかった自分を恥ずかしく思いました。
今日の心がけ◆冷静に対応します
「エコカーやグリーン家電製品」の購入に対するエコポイント制度の導入【どうにゅう】などで、環境への意識も変わりつつあります。
しかし、経済効果を狙【ねら】うのが主体の一時的なムードだけで、環境問題が改善されるわけではありません。国民一人ひとりの環境を思いやる心と、小さな実践の積み重ねが大事なのです。
環境を守るため、これまでの生活スタイルを見直そうとする動きも、広がりつつあるようです。買物をする際に、当たり前のように渡されていた紙袋やレジ袋を貰うのをやめて、エコバッグを使用する人も増えてきました。
Y社長もその一人です。それも、エコバッグの元祖ともいえる風呂敷を持ち歩いています。「風呂敷は重宝しますよ。どのような形の物でも包むことができますからね。嵩張らず、持ち運びも便利ですよ」とY社長は語ります。
エコ意識は身近な実践からです。ゴミを出す量を減らすなど、できることから始めてみましょう。
今日の心がけ◆エコ意識を高めます
Mさんは、出勤前のひと時、仏壇の前に座るのが日課です。ある朝、いつものように手を合わせていると、何やら右隣でごそごそと動く気配【けはい】を感じます。
ハッと目を開けると、まだ一歳にならない長女がチョコンと座り、不器用に手を合わせているのです。
<教えていないのに、親の姿を見て子供は素直に真似をするんだ>と、Mさんは我が娘の曇【くも】りのない表情に感動しました。
乳幼児の知能の発達は、大人に比べて数十倍といわれます。それは素直に物事を見聞きして、そのまますんなり受け入れることができるからでしょう。
私たちは、成長するにつれ、様々な知識を身につけていきます。しかし、成長するに従【したが】い理屈ばかりが先行し、素直に実行する気持ちは薄【うす】れ、自分のスタイルを頑【かたく】なに守ることで、多くの向上する機会を逃しています。
学ぶとは、まず「真似ること」です。有意義な学びとなるためにも、謙虚で素直な心でありたいものです。
今日の心がけ◆素直な心で見聞きします
長引く不況により、K子さんが勤めるT会計事務所が顧問【こもん】を務める企業の業績が悪化していました。それを受けて、K子さんの職場の業績も悪化し、職員同士の会話は少なくなり、事務所の雰囲気も冷え切っていました。
例えば、事務所の出入りの際に、「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」と、声をかける人は一人もいません。誰もがデスクの書類とにらみ合い、職場の同僚の行動に無関心な状態なのです。
ある日、K子さんは得意先の一社から「T会計事務所との関係を解消【かいしょう】して、別の会計事務所にしたい」との電話連絡を受けました。理由を尋【たず】ねると、「事務所の職員の対応が冷たくなった」という返事が返ってきました。
K子さんは、<職場の雰囲気がお客様にまで伝わっている>と危惧【きぐ】し、自分だけでも他の職員に明るい言葉をかけていこうと決意したのでした。
数ヵ月後、「昨夜は遅くまでご苦労様でした」「今日もありがとうございます」といった会話が聞こえるようになり、少しずつ職場に活気が戻ってきたのでした。
今日の心がけ◆身近な人に声をかけます
福祉系の大学を卒業後、特別養護老人ホームに就職して一年目のSさんは、二人の職員から教育を受けることになりました。
それぞれの先輩職員の働く姿から、利用者と向き合う心構えや介護技術のノウハウなどを学ぼうと、Sさんは意欲的に動きました。
半年が経過した頃、Sさんはペアを組む相手によって、仕事をした後の疲労感が、まったく違うことに気がついたのです。
A先輩と仕事をすると「こうしなければいけない」「あれはやってはダメ」と、頭ごなしに指示されることが多く、グッタリしてしまうのです。
一方、B先輩は「こうすると利用者の方が喜ぶよ」と、相手の立場での介護指導でした。それを実行すると、利用者の笑顔が見られ充実感が得られたのです。
仕事を義務的に嫌々ながら行なうと、精神的にも肉体的にも疲れがたまります。自分の就いている仕事の意義を知り、働く喜びと心地よい疲労と充実感に満たされるよう、積極的に業務に取り組みましょう。
今日の心がけ◆仕事の意義を知ります
Tさんは、パソコンを購入するために、大型電気店を訪れました。様々な機種を前に、「どのメーカーのものにしよう」と迷っていました。
そこで、店員の説明を聞いてから購入しようと思い、店員に「あれはいらない」「この機能は欲しい」とわがままな要求を伝えました。そして、ようやく自分に適した商品を見つけてもらいました。
長い時間、懇切【こんせつ】丁寧【ていねい】に対応してくれた店員は、最後に「このパソコンはA社の商品ですが、実は私はB社から出向しているんです」と言いました。
店員は、Tさんの要求に合致【がっち】しているからと、他社の商品であるにもかかわらず一所懸命説明し、勧めてくれたのです。その誠実さに感動したTさんは、感謝の気持ちが芽生え、周辺機器はB社の商品を購入することにしたのでした。
企業は利益を上げなければ存続できません。しかし、利益だけを追い求めているようでは、お客様に本当の満足を与えることはできないでしょう。数字では計れない「まごころ」を付加価値とした、商品やサービスを届けたいものです。
今日の心がけ◆お客様に感動を届けます
Aさんが、会議の開始直前に部屋へ飛び込むと、上司から「もっと余裕を持って来なさい」と注意をされました。
その日の終業後、挨拶に行くと「机の上を整理しなさい」と言われました。「仕事はちゃんとしているのに、なぜそこまで言われるのか」と憤【いきどお】りを感じたAさんでしたが、後日、上司が若い頃の話をしてくれました。
「かつて先輩から『微差【びさ】が大差を生む。習慣は第二の天性【てんせい】』と言われた。最初はわからなかったけれど、経験を重ねて私はその言葉を実感できるようになった。だから、君たちにも基本を徹底してほしいんだ」と言うのです。
5分前行動、整理整頓などは職場生活の基本です。「基本の徹底は、仕事に直接関係がない」と軽【かろ】んじる人は、職場人【しょくばじん】としての土台が甘くなっていくのです。土台が安定しなくては、完成直前に思わぬ事態に遭遇【そうぐう】することもあります。
Aさんは、仕事と勤務態度を切り離して考えていました。それからは、準備や後始末の徹底を心がけるようになったのです。
今日の心がけ職場◆人としての基本を徹底します
普段何気なく使っている文房具、携帯電話、パソコンなどが生産され、私たちの手元に届くまでには、計【はか】り知れない努力や経緯【けいい】があります。
「金属繰【く】り出し鉛筆」としてシャープペンシルを発明した、故・早川徳次【はやかわとくじ】氏は「他社が真似するような商品をつくれ」という製品開発への理念を遺【のこ】しました。
また、「先発メーカーは常にあとから追いかけられているわけだから、すぐに次を考えなければならないし、勉強を怠【おこた】ってはならない」と、元祖【がんそ】であっても一層の工夫と努力する姿勢が、新製品を世に送る原動力となることを説きました。
現状に甘んじ、努力、工夫、改善を怠れば、すぐに追いつき追い越されてしまいます。「このままでよいのか」という危機感と、「もっとよくするためにはどうすればよいのか」という意欲が、仕事への取り組みには必須【ひっす】なのです。
今日【こんにち】までの技術や情報が、近い将来通用しないこともあるほど、社会の変化は急速です。企業も製品もサービスも、日々進化しています。現状の業務に向き合いながら、常に見直しや創意工夫を念頭【ねんとう】に置きたいものです。
今日の心がけ◆創意工夫をします
昼食時間、新婚のT氏が妻の手作り弁当を食べていました。嬉しそうにオムライスを食べる姿に、後輩のY君は思わず聞きました。
「先輩、オムライス美味【おい】しいですか」。すると先輩は、「美味しいに決まっているじゃないか」と満面【まんめん】の笑みで答えたのです。
Y君は子供の頃、父が休暇で家にいる時に作ってくれたオムライスが大好物でした。上京して、両親に連絡をあまりとっていないことに気がつき、さっそく両親に自分の近況を手紙に書くことにしました。
身近な人から受けた恩は、「当たり前」になりがちです。しかし、恩の連鎖【れんさ】が血縁、親族、家族との仲を育【はぐく】み、自分が存在していることも事実なのです。
中には、諸事情【しょじじょう】で不遇【ふぐう】な環境に育った人がいるかもしれません。それでも、これまで、友人、先生、近所の人など、お世話になった人は少なくないはずです。
お世話になった人たちの笑顔を思い浮かべながら、電話や手紙などで連絡を密にとって、自己の活力に変えてみてはいかがでしょう。
今日の心がけ◆受けた恩に報【むく】います
長年住んだ自宅を解体【かいたい】して、家を建て替えることにしたTさん。完成が楽しみで、解体中から何度も様子を見に行っていました。
Tさんが、内部を初めて見た時のことでした。玄関のドアを開けると、上棟式【じょうとうしき】当日に撮ったTさん一家の集合写真が飾られていたのです。
その写真の下には「お客様の思いが詰まったお家です。一所懸命良い家を建てましょう」と書いてありました。現場で作業する全ての人たちが、その写真を見て<お客様のために良い仕事をする>という思いを込めていたのです。
また、作業現場では、一工程ごとに整理、整頓、清掃に取り組んでいたこともわかり、清潔感が保たれていることにTさんは好感を持ちました。
これらは、プロとして当たり前の作業かもしれませんが、Tさんは職人の真摯【しんし】な姿勢を感じることができ、感謝でいっぱいの気持ちになりました。
見えないところにも心を尽くす誠意あふれる仕事ぶりに、お客様は安心と信頼を寄せるものです。
今日の心がけ◆喜ばれる仕事をします
私たちが仕事をする上での価値基準として、「利益がなければ意味がない」と考えがちです。しかし、中国の春秋時代・斉【せい】の宰相【さいしょう】であった晏嬰【あんえい】(晏子【あんし】)は、「益はなくとも意味はある」という内容の格言【かくげん】を遺【のこ】しました。
確かに、職場においては、利益や効率を追求することが不可欠【ふかけつ】です。しかし、人として心の鍛錬【たんれん】を図【はか】り、人間性の向上を得ることも益の一つなのです。
この人間性の向上は、一朝一夕【いっちょういっせき】にかなうものではありません。それだけに、すぐには益につながらなくても「挨拶をする、返事をする、後始末をする、小さな約束や時間を守る、姿勢を正す」などを恒常的【こうじょうてき】に行なうのは意義があります。
一つひとつの行為は些細【ささい】な事柄【ことがら】でしょう。しかしそれらが積み重なり、また合わさることによって、大きな益となり得ます。
<日常の些細なことに心を向け、それを実際の行動に移す。行動に移したならば、日々の習慣として継続的に行なう>。それは個人の人間性を高めるだけでなく、潤滑【じゅんかつ】な職場環境を形成するための礎【いしずえ】です。
今日の心がけ◆些細なことに心を向けます
始めは注意深く仕事に取り組んでも、終わりが近づくと、<これくらいでいいだろう>と気が緩【ゆる】み、詰めが甘くなる人がいます。このような人たちの働きぶりを見ると、最後に大きな失敗を招【まね】くことがあります。
「家づくりはチームワーク」を推進【すいしん】する住宅建築業のY社は、大工や協力会社とコミュニケーションを密【みつ】にしながら、家を建てることで定評がありました。
ある日、戸建【こだ】ての家を注文した依頼主から、Y社に突然クレームが入りました。完成間際の家を見に行った際、休憩中の複数の職人が建物内【たてものない】で喫煙をし、しかも吸殻【すいがら】を庭に捨てていたというのです。
依頼主は煙草を吸わず、新しい家に煙草の臭いがつくことを不快に感じたのでした。ちょっとした個人の気の緩みが、それまで築いてきた会社全体の信頼を崩【くず】してしまったのです。
有終【ゆうしゅう】の美を飾るには、最初から最後まで気を引き締めて取り組むことが、何よりも大切であると心しましょう。
今日の心がけ◆最後まで気を引き締めます
人は、失敗をした時には反省をするものです。しかし、何事もなく一日の仕事が終わると、その日の反省や後始末をしないまま終わることが多いようです。
一日を振り返ってみると、充実している時間もあれば、何となく過ぎてしまう時間もあります。
何となく過ごせるのは、何も問題がなく順調のように思えます。しかし、自分だけが問題の有無をわかっていなかったというケースが、往々【おうおう】にしてあるものです。人に言われて初めて気がつき、身が縮【ちぢ】む思いをしたことはないでしょうか。
仕事の準備が「ウォーミングアップ」ならば、一日の仕事の後始末は「クールダウン」です。大事なのは、一日の自身の仕事を振り返る時間を、少しでも持つことなのです。
「何をしたのか、何か足りないことはなかったか」と振り返るだけでなく、その日の気づきを手帳に書き留めることも一つの方法です。職場においての日々の後始末は、将来の成長に向けての大きな財産となることでしょう。
今日の心がけ◆一日を振り返る時間を持ちます
Aさんが休日に買い物に出かけた際、駅周辺を散策【さんさく】していると、一軒の陶器店【とうきてん】が目に入りました。
遠慮【えんりょ】気味に店内を覗【のぞ】くと、店主の男性がAさんに「お茶でも一杯お入れしますよ」と、笑顔で対応してくれました。穏やかな表情に安心したAさんは、お茶をご馳走【ちそう】してもらうことにしました。
店主が入れてくれたお茶を一口飲んだAさんは、<えっ、これがお茶なの>と、その味わいに驚かされました。器の優しい口当たりに加えて、今まで味わったことがないほどの甘味に溢【あふ】れていたのです。
Aさんは、感激した旨【むね】を店主に告げました。すると店主は笑顔で「ありがとうございます。私共の器で、美味しくお茶を味わっていただけますよう、お湯の温度や蒸らし方などを勉強させていただいております」と答えました。
本来備わっている機能を活かすには、物の本質を知ることです。普段、何気なく使っている用具を十二分に働かせているか、振り返ってみましょう。
今日の心がけ◆物の本質を活かします
帰宅ラッシュ時の電車に乗ったT氏は、運よく席に座ることができました。「ツイているな」と喜んでいると、次の駅で一組の老夫婦が乗ってきました。
すると、T氏から一人置いて座っていた女性が「どうぞ」と言って立ち上がり、婦人に席を譲りました。しかし、夫は座れないでいました。
仕事の疲れがあったT氏でしたが、老夫婦の姿に、氏の両親が所用で電車に乗るたびに、「今日も席を譲ってもらったよ」と言っていた姿が重なったのです。
そこで、T氏は「両親が受けた恩をお返ししよう」と考えました。そして、氏の隣に座っていた男性に、「私の席に移動していただけませんか」とお願いし、夫が婦人の隣に座れるように配慮をしてあげたのです。
<良いことをしたな>と、ほんのり嬉しくなったT氏は、自宅までの小一時間、立っていても不思議なことに疲れを感じなかったといいます。
「人が喜ぶことをすると、その喜びは返ってくる」と言っていた会社の先輩の言葉を思い出し、「その通りだな」とT氏は実感したのでした。
今日の心がけ◆良いことはすぐに実行します
精密【せいみつ】小型モーターで、世界一のシェアを誇る日本電産【にほんでんさん】。社長の永守重信【ながもりしげのぶ】氏は、経営哲学の一つに「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」を掲【かか】げています。
Aさんはその理念に倣【なら】い、「お礼の手紙やメールの返事は、すべての仕事に優先する」ことを実行し始めました。すると、自己の業務全体の流れが良くなってきたことから、「すぐやる」ことの大切さを痛感したのです。
以前は自分なりの優先順位で仕事を進め、小さな後始末【あとしまつ】を先送りにしていたAさん。小さな仕事が積み重なり、常に後始末に追われている気分が抜けきれず、毎日の働きがスムーズではありませんでした。
お礼の手紙やメールを、すぐに出すようになったことで、仕事の流れにも変化が見られるようになりました。今までは何時【いつ】でも、<やり残したことを仕上げなければ>という思いが頭から離れず、全体的な業務の流れを鈍【にぶ】くしていたのです。
後回しにしがちな仕事を見直し、「すぐやる」ことを意識してみましょう。そして、職場やお客様との関係をさらに濃密なものにしていきたいものです。
今日の心がけ◆仕事の優先順位を見直します
文部科学省は、「早寝、早起き、朝ごはん」運動を推進【すいしん】しています。子供たちの生活リズムを整えることで、学力・体力・気力を向上させようという狙いです。
「よく体を動かし、よく食べ、よく眠る」という成長期の子供にとって、当たり前で必要不可欠な基本的生活習慣が大きく乱れています。それらが、学力などの低下の要因の一つとして指摘されているからです。
しかし、子供の力だけで生活習慣を変えるのは不可能に近く、家族の協力が求められます。子供たちの生活習慣の乱れは、裏返せば、大人の生活習慣の乱れが影響しているといえます。
遅い時間に摂【と】る夕食、遅い就寝【しゅうしん】のため寝坊をしてしまい朝食を抜く、という生活が日常になってはいないでしょうか。親も早寝・早起きに挑戦する心構えを持ちたいものです。
爽【さわ】やかな目覚めや仕事への集中力を養うためにも、「早寝 早起き 朝ごはん」を心がけていきましょう。
今日の心がけ◆生活習慣を改善します
「勝って兜【かぶと】の緒【お】をしめよ」といいます。勝ったと思って、驕【おご】り高ぶることが一瞬のスキを生み、思わぬ逆襲【ぎゃくしゅう】を招いてしまうのは、勝負の世界ではよくあることです。「驕る平家は久しからず」という譬【たと】えもあります。
いい気になりすぎて、成功の要因を正しく把握【はあく】することができなければ、次のステージで転落することにもなりかねません。
逆に、失敗しても、学習を重ねて謙虚【けんきょ】に取り組み直せば、次のステージでは勝利を手中【しゅちゅう】にできるかもしれません。
物事をやり始めたからには、「あとの態度」が大切なのです。勝てばいい気になり、負ければついつい落ち込んでしまうのが人の常【つね】といえます。そのような姿を、自分が気がつかないところで、誰かが見ているものです。
周りの人たちが応援したくなるのは、勝っても有頂天【うちょうてん】にならず、負けてもへこたれず、常に謙虚に、笑って取り組む人でしょう。
勝利の女神が微笑みかけるのも、そのような人なのでしょう。
今日の心がけ◆快い緊張を保ちます
人が生活をする上で、なくてはならないアイテムと言えば、洋服、下着、タオルなど、衣食住の衣の要素が大部分を占めるでしょう。
中でも、靴は、職場人【しょくばじん】には欠くことのできない必需品です。毎日使用し、私たちの足を守ってくれる存在であるにもかかわらず、その手入れはずさんなものになってはいないでしょうか。
顧客先回りの多いNさんは、上司から「印象の良い身だしなみは足元から」と教えられて以来、靴の手入れには気持ちを向けてきました。しかしどうしても、黒い革靴のツヤが消えてしまうので、プロの靴磨きを頼ってみたのです。
年配の靴磨き職人は「リキッド系オイルばかり使うと、靴がこうして痛むんですよ。乳化性クリームをよく擦【す】りこんでやらないとね」と、靴の状態を見ただけで、Nさんの手抜きによる手入れの改善を促【うなが】したのでした。
物には働きという「いのち」があります。その物の特質を生かした手入れを励行【れいこう】することで、より優れた機能を発揮してくれるのです。
今日の心がけ◆道具の手入れに気持ちを込めます