ストレス性胃炎によって体調を崩したJ子さんは、一週間の入院生活を余儀【よぎ】なくされました。医者からは「日々のストレスが最大の要因です。いろいろと楽しみを見つけて、大いに笑うことを心がけてください」と言われました。
しかしJ子さんは、「パート生活は単調で、適当な楽しみもなく、笑う機会がないからストレスを感じているのに・・・」と途方【とほう】に暮れてしまいました。
ある日、退院のお祝いにと、娘が孫を連れてやってきました。孫は「早く元気になってね。でも今のおばあちゃん、すごく恐い顔だよ」と言います。そして「じゃあ、くすぐり攻撃だー」と叫んで、J子さんの腋【わき】の下をくすぐり始めたのです。
J子さんはたまらず、「キャーッハッハッハッ」と身をよじらせて笑い転げました。笑いに笑ってやがて息も収まってくると、これまで感じたことのない高揚感【こうようかん】が湧き起こり、重たい気持ちが晴れる思いがしたのです。
笑いが体に良いとはいっても、笑いを誘う素材がいつも転がっているとは限りません。家族や友人同士で笑わせ合うのも、一つの良法といえるでしょう。
今日の心がけ◆大いに笑って健康を保ちます。
人は呼吸をすることで生きていますが、この「吐く息」と「吸う息」とは、どちらが先と捉【とら】えればいいでしょうか。
通常の場合、「呼吸してください」と言うと、多くの人たちがスーッと息を吸い、その後にハーッと吐き出します。まず酸素を充分に吸った後に、炭酸ガスを吐き出しているのですが、実はそれは反対なのです。
呼吸の「呼【こ】」は「吐く」の意で、「吸【きゅう】」は「吸う」の意です。文字通りに呼吸とは「吐く」「吸う」の順の繰り返しなのです。しっかりと息を吐き出すことによって、吸う息は自然に肺の中に取り込まれていきます。
この呼吸のリズムは、私たちの生活全般にも当てはまるのではないでしょうか。「吐く」は人に施【ほどこ】すことであり、「吸う」は人から得ることと言えます。
「何かを与えれば、それだけ自分のところにも返ってくる」という大きなリズムを意識していれば、人に対して温かい気持ちで接することができるはずです。
人が喜ぶ行為によって、自分も喜びを得たいものです。
今日の心がけ◆人の喜ぶことをします。
接客業に従事【じゅうじ】するSさん。毎日、幅広い年齢層を相手にしています。
ある日、機嫌【きげん】の悪いお客様が来店した際、Sさんは文句を言ってくるその態度に嫌気【いやけ】がさしました。いつも感情がすぐ顔に出るSさんは、さらに相手の怒りを買ってしまいます。
〈なんで自分ばかりに嫌なお客様が来るんだろう〉と思っていたSさん。同じ部署の先輩に相談したところ「機嫌が悪いお客様の立場に立って考えてごらん」と優しく教えてくれました。
Sさんはこの助言を振り返り、相手の立場になって対応できていないことに気づきました。自分の好き嫌いで接客をしていたのです。自分自身の機嫌が悪い時は、お客様にもそれが伝わっていたのでした。
以来、Sさんは誰にでも笑顔で接客するよう心がけました。すると相手も笑顔を返してくれ、Sさんは接客することの楽しさを実感できたのです。
相手の態度に左右されるのではなく、まず自らを改めてみましょう。
今日の心がけ◆笑顔で接します。
皆さんは「自分を励ます言葉」を持っているでしょうか。
ヤフー・リサーチが20~59歳のビジネスパーソン800人を対象に、「自分を励ます言葉」を尋【たず】ねる調査を行ない、次のような言葉が選ばれました。
「何とかなるさ/どうにかなるさ/なるようになるさ」「明日は明日の風が吹く」「必ず朝は来る/明けない夜はない/それでも日は昇る」などです。
言葉というものは、時と場に応じて、私たちに勇気や希望を与えてくれる存在です。それは文章であったり、詩であったり、また歌詞であったりします。ストレスやプレッシャーに負けそうな時、自身の心に届く言葉は強い味方です。
自分を励ます言葉を持っている人は、他人を励ますことも可能です。職場で共に働く仲間が何かマイナスの状況にある時には、率先【そっせん】して声をかける役割を担【にな】えますし、それが同時に、自分自身に改めて声をかけることにもなるのです。
言葉の持つ力は偉大です。人は言葉によって生き、言葉によってコミュニケーションをとります。その影響力を再確認し、言葉を大切に扱っていきましょう。
今日の心がけ◆言葉を大切にします。
自動車の販売をしているM氏は、アフターケアを疎【おろそ】かにしたことで、ビジネスチャンスを逸【いっ】してしまいました。
M氏は、一年かけて車の買い替えを検討【けんとう】していたお客様と、契約を結ぶことになりました。納車をした際にお客様より、今後の購入の時期について、「今まで乗っていた車が10年だったから、次に購入するのは10年後」と言われました。
そのため、6ヵ月点検までは、サービスとしてお客様宅へ行く機会がありましたが、次第に疎遠【そえん】になってしまいました。〈今日は挨拶に行こう〉と、2週間くらいの間隔で気づくのですが、仕事に忙殺【ぼうさつ】され、年月が過ぎていきました。
ところが、そのお客様は納車した1年後に、知人を通して新車を購入したというのです。その車種は、M氏の代理店でも扱っているものでした。
愕然【がくぜん】としたM氏は、〈気づいた時に訪問していれば〉と後悔するばかりでした。その後、気持ちを切り替え、自分のフォローの甘さを反省し、気づいたらすぐ行動する実践に徹したのでした。
今日の心がけ◆気づいたらすぐ行動します
江戸商人の育成を語る言葉として、次のような言葉があります。
「三つ心、六つ躾【しつけ】、九つ言葉、十二文【ふみ】、十五理【ことわり】で末【すえ】決まる」というものです。
三歳までは心の教育をしました。六歳までには箸の使い方から始まって「傘かしげ」や「肩ひき」など、日常的な躾を繰り返し行ないました。
九歳までにお客様との会話を覚え、十二歳では請求書や苦情処理書【くじょうしょりしょ】まで書けるようになっていました。そして十五歳では物の道理を理解するよう努め、商人として一人前になっていったのです。
現代の職場でも、社員が「お客様に満足してもらえるよう成長を図【はか】る」という点は同じです。その時期その場面での経験を得て、一つひとつの事柄を学んでいく積み重ねが、一人前と呼べる職場人【しょくばじん】をつくります。
そのためには、当人が「一人前の仕事をするんだ」という確かな思いが必要です。周囲から認められるよう、自分を磨く意志があって初めて向上があります。
自己のレベル向上に王道はありません。苦労を重ねて道を歩んでいきましょう。
今日の心がけ◆一歩ずつ成長していきます
1980~90年代に、陸上女子短距離界で一世を風靡【ふうび】した、マリーン・オッティ選手。今年7月にスペインで開催された、欧州選手権の女子400メートルリレーで、アンカーを務めました。
決勝進出は逃しましたが、50歳になる今も走り続けるオッティ選手は、同選手権の最高齢出場記録の47歳を大きく更新。来年夏の世界陸上選手権や、2012年に開催されるロンドン五輪【ごりん】に出場する夢も、捨ててはいません。
年齢が高くなると、とかく体力や気力の衰えを口にして、新しい取り組みや難しい物事にチャレンジするのを尻込みする人が多いものです。
そのような中で、果敢【かかん】に挑戦するオッティ選手の活躍は、同世代のみならず、若い世代にも勇気を与えてくれるでしょう。
「やっておけばよかった」と思うのは、後【あと】の祭りです。年齢を言い訳にせず、気力と迫力を奮【ふる】い立たせ、新しい物事にチャレンジする情熱と姿勢をいつまでも持ち続けましょう。
今日の心がけ◆チャレンジする姿勢を持ち続けます
大きな声が自慢のN氏は、毎日の挨拶も豪快です。営業マンとして顧客や取引き業者に会う際は、相手が数メートル先にいる
段階で「こんにちは!」「お世話になっています、〇〇さん!」と勢いよく声を掛けます。
その挨拶が好評で、社内での氏は「陰の宣伝部長」という異名で通っています。そのせいか、おとなしい人や声の小さい人を
揶揄【やゆ】することが度々【たびたび】ありました。
ある時、N氏が社の研究部門に立ち寄った際のことです。シーンとしている部門に入ると、氏は「やけに静かで活気のない部屋だな。ここに長くいると、こちらの元気まで吸い取られてしまう」と皆を見まわして言ったのです。
対して研究課長は、「人は賑【にぎ】やかであれば活力があるというものでもない。この部署は研究を主とし、全員が集中して業務にあたっている。君のように大声の人間はいない。時と場があることを考慮【こうりょ】したまえ」と返したのです。
世の中は多くは陰と陽、プラスとマイナスの集まりです。一つの「絶対」はありません。職場を共にする仲間を尊重し、お互いに助け合っていきたいものです。
今日の心がけ◆個性と立場を尊重します
父親が経営する部品製造会社に勤務するAさんは、今年、専務取締役となりました。意気揚々【いきようよう】として仕事に励
んでいましたが、社員とのコミュニケーションがうまくいかず、ギクシャクとした職場環境に頭を悩ませていました。
遅刻常習犯、乱れた服装、やる気がみられない態度など、消極的な社員に対して何度となく注意をしても改善されず、いつも
イライラしていました。
そんな時、Aさんの発注ミスが発覚し、大量の在庫品を出してしまいました。Aさんと生産責任者は互いに中傷し合い、一歩も
譲らない状況でした。挽回【ばんかい】しようとAさんは、一人で取引先を回りましたが、納品先は見つかりませんでした。
夜、落胆【らくたん】して社に帰ると、工場内に電気が灯【とも】り、納品先を懸命に探す社員の姿がありました。その時、感謝と申し訳なさが入り混じり、信頼関係を損【そこ】なう原因は、いつも責め心で接していた自分にあったと気づいたのです。
責め心は信頼関係を悪化させるもとです。自己の立場としての仕事に取り組み、チームワーク力に溢【あふ】れる、和やかな
職場環境を創造していきたいものです。
今日の心がけ◆自己の立場に則【のっと】った仕事をします
世界最大のオンライン旅行会社・エクスペリアホールディングス(米国【べいこく】)が、2009年6月に、国別観光客のイメージ
調査を行いました。アンケートの対象者は、27ヵ国のホテルマネージャー・4500人です。
その結果、日本人が3年連続で『世界最良の観光客』に選ばれました。「礼儀正しい」「行儀の良さ」「破屋をきれいに使う」「騒がしくない」「不平不満が少ない」の5項目で一位を獲得し、総合一位に輝いたのです。
ただし、「滞在地の言語を話す」がワースト三位でした。これは観光先の言語が不得手なために、文句も言えないという見方も
できます。
とはいえ、世界一と評価された日本人観光客のイメージを私たちは素直に喜び、それに奢【おご】ることなく、良いマナーを身
につけた人でいたいものです。
この調査が明らかにしていることは、顧客【こきゃく】、従業員に限らず、お互いに節度を持って接する時、いかに心穏やかに
過ごせるかということです。礼儀を感じる心は、万国共通と言えます。お互いに心地よいマナーを心がけていきましょう。
今日の心がけ◆お互いに節度を保ちます
長年、仕事一筋だったM子さんが、初めてのお産を迎えました。初体験【はつたいけん】の陣痛【じんつう】はあまりにも痛く、「休憩させて」と助産師に訴えたほどです。
それでも、「おぎゃー」と赤ちゃんの泣き声が聞こえた瞬間には、付き添ってくれた夫に感謝し、子供を授かった喜びに包まれました。
同時に、これまで薄れていた、自分を産み育ててくれた母と父に対して、〈ありがとう〉と感謝の念が湧【わ】いたのです。
私たちは、両親をはじめ多くの人々の愛情や支えによって、日々を営んでいます。たとえ今、直接的に人と関わっていないとしても、間接的に恩恵を受けていることはたくさんあるはずです。
これまで受けた事柄を振り返り、短い時間でも感謝の時を持ってみましょう。感謝を深めることは、人を受容する力となり、良好な人間関係を生み出します。
人は、愛情をかけてもらったりかけたりすることで、心が成長していくのです。「ありがとう」の気持ちを忘れずに、生活していきたいものです。
今日の心がけ◆感謝する時間をつくります。
連絡や確認の不徹底などが、トラブルの元となるケースがあります。
S氏とM氏との間で進めていた企画が、連絡ミスで期限に間に合わなくなる事態が発生しました。「言った・言わない」の水掛【みずか】け論になった際、上司から「言い争っても仕方がない。どう対処するか考えろ」と指示が飛びました。
そこで先方へ早急に連絡を取り、現況【げんきょう】の確認をしました。さらに先方へ出向き対処した結果、事態【じたい】の収拾【しゅうしゅう】を図【はか】ることができました。上司の指示がなければ対応が遅れたまま、問題はさらに大きくなっていたことでしょう。
「Mさんのせいにし、失敗を認めなかった自分が高慢【こうまん】だった。事態をそれ以上悪化させないよう今できることを分析し、最善策【さいぜんさく】を考えて行動することが先決【せんけつ】だった」とS氏は振り返ります。
失敗は大なり小なり起こりうるものですが、失敗にいつまでもとらわれているのは愚【ぐ】の骨頂【こっちょう】でしょう。トラブルが生じたならば、事実を受け止め、すぐに気持ちを切り替えて行動に移しましょう。
今日の心がけ◆トラブルには即座に対処します
〈いつでも行ける〉と思って、行っていない所があるように、やりたいと思っていることで、先延ばししていることはないでしょうか。
終末期【しゅうまつき】医療の現場で多くの死を見届けてきた、緩和医療医【かんわいりょうい】の大津秀一【おおつしゅういち】氏。自著【じちょ】の中で、人が死ぬ前に後悔することの一つに挙げているのは、「やりたいと思ったことは先延ばしせず、思ったときにすぐ行動しておくべき」ということです。
人はどのようなことを、やり残したと思うのでしょうか。「妻と旅行に行かなかったこと」「会いたい人に会っておかなかったこと」「お世話になった人に『ありがとう』と伝えなかったこと」など、他にも多くあるでしょう。
勤勉な日本人は、家族との時間や遊ぶことに対して、罪悪感を持つ人が多いのではないでしょうか。しかし、死ぬ間際になって、後悔しても間に合いません。
時間は自らつくりだすものです。日頃からやりたいと思っていることを先延ばしせず、〈思いついたらチャンス〉と捉えて即行動に移し、悔いのない人生を送っていきましょう。
今日の心がけ◆思いついた時に行動します
失敗は、マイナスな面だけでなく、受け止め方によってプラスに転じます。
棋士の佐藤康光【さとうやすみつ】氏は、将棋の世界で成功を収めた要因の一つに「負け」を挙【あ】げます。「負けた時は徹底的にその原因を考える。『ここはこう直せるはず』『この場合はどうするか』など、自分にとっての課題を見いだしていく」といいます。
「自分の中に修正できる要素があることはありがたい。それがあるうちは、自分はまだまだ強くなれる」と、前向きに努力を重ねている佐藤氏。次に負けないための修正点を見いだしています。
誰しも、失敗のない人生はないでしょう。失敗した時にまずやるべきことは、いつまでも悩まずに、失敗は失敗として受け止め、原因が何かを考えることです。そして、その原因を他者に求めず、自分自身に見いだすのです。
失敗は、成長の可能性を示してくれる尊い学びのチャンスです。失敗により明らかになった自分の課題を克服していくことで、成功へのステップとなるでしょう。失敗した時こそ明るく、課題改善に向けて努力したいものです。
今日の心がけ◆失敗を成長の糧にします
Kさんが勤める会社で人事異動が行なわれ、Kさんもその対象となりました。
勤続25年のKさんは、これまで3回の異動を経験しています。今回の異動先は、10年前の部署と同じです。この部署は新人の教育に力を入れており、Kさん以外の新人は、「新人研修」を受けることになりました。
Kさんには経験があるため、当然、参加の声はかかりませんでした。しかしKさんは、一度は経験している部署であっても、もう一度原点に返り、明確な仕事をしたいと思い、上司に願い出て研修に参加したのです。
研修を受けたKさんは、仕事に対する考え方が次第に甘くなっていたのを、強く感じました。研修後、曖昧【あいまい】だった業務の意義を明確にしたKさん。現在は、目標を設定し計画に沿って、活き活きとした職場生活を送っています。
不安と希望を持って入社した私たちは、先輩から仕事のイロハを教えてもらって今があります。今一度、入社時を振り返り、「よし、やるぞ」の気構【きがま】えで、職場人としての責任を果たしたいものです。
今日の心がけ◆原点を大切にして更に成長します
昔の人は、三歳、五歳、七歳という年齢を、子供の成長の一段階として重く見ていました。この節目に氏神様に参拝して無事を感謝し、将来の幸福と長寿を祈るのが「七五三【しちごさん】」の行事です。
乳幼児の死亡率の高かった昔は、七歳までの子供は「神の子」とされ、七歳になって初めて社会の一員として認められたそうです。
三歳は男女ともに「髪置【かみお】き・・髪を伸ばし始める」。五歳男子は「袴着【はかまぎ】・・初めて袴をつける」。七歳女子は「帯解【おびと】き・・帯を使い始める」のお祝いが元々でした。宮中【きゅうちゅう】や公家【くげ】の行事でしたが、明治になって現代の七五三として定着しました。
親たちが子供に七五三を祝うように、社内でも先輩たちが新入社員の成長を祝うという試みも考えられるでしょう。
4月の入社時期から半年以上が経過しました。一人前になろうと一所懸命に頑張る後輩の成長を、共に祝う機会を持つのもいいかもしれません。
フレッシュな力が更に飛躍できるよう、皆で盛り立てていきたいものです。
今日の心がけ◆仲間の成長を喜びます
今年の夏、連日の猛暑でグッタリしていたEさん。出張先のある駅で、乗車する特急列車を待っていた時のことです。
その日も、暑さに閉口【へいこう】しながら、汗だくで電車の到着を待っていました。あと10分ほどで電車が到着するとの放送が流れました。
その後に、「特急列車をお待ちのお客様、ホームはとても暑いですから水分を摂【と】って熱中症【ねっちゅうしょう】にお気をつけください。只今、隣のホームに入った各駅停車の電車は、特急列車発車後に出発します。冷房もきいていますので、特急列車到着まで、車内でお待ちください」とのアナウンスがあったのです。
他の乗客と共に電車内に駆け込んだEさんは、冷房のきいた車内で、ひと時、暑さをしのぐことができました。その間、「こんな配慮ができる駅員さんはどんな人だろう」と思いを巡【めぐ】らせ、到着した特急列車に乗車したのでした。
この経験でEさんは、「その時その場で、お客様に必要とされ喜ばれるサービスとは何か」を常に念頭【ねんとう】に置き、仕事に取り組むようになったのでした。
今日の心がけ◆臨機応変に対応します
健康のためにと、ジョギングや散歩を日課にしている人は多いでしょう。
今年、全国高校野球選手権大会で、春夏連覇【はるなつれんぱ】を達成した沖縄・興南【こうなん】高校野球部の選手たちも、朝の散歩を日課としています。
選手たちは、毎朝6時10分に散歩をスタート。一人ひとり、好きなところを歩き、散歩の途中で見たもの感じたことを、帰ってきてから一分間スピーチします。
「毎日のことだから、話の種を見つけようと小さい事にも目や耳がいくようになる。それが野球にも生きてくる」「小さなことに気がつかない人に、大きな事は成し遂げられない」と、散歩を始めた理由を我喜屋優【がきやまさる】監督は語ります。
散歩は、頭と体の老化防止にもつながります。時々コースを変えて新たな発見をする散歩は、とくにその効果があるそうです。
毎日の習慣を漫然【まんぜん】と繰り返すのではなく、身の回りの事柄をじっと見つめ、耳を澄まし感性と直観力を磨きましょう。小さな気づきを大切にして仕事に活かし、小さな感動を積み重ねて、日々の生活を潤【うるお】していきたいものです。
今日の心がけ◆小さなことに目を向けます
Nさんが海外研修に参加した時のことです。研修には全国から参加者があり、日本各地の空港から飛行機で現地の空港へ集合する予定でした。
しかし、A空港から来るはずの飛行機が、トラブルでなかなか到着しません。大幅な遅れとなり、初日の合流はできなくなりました。
一方、Nさんたちは、航空会社の手続きミスで参加者の一人の預けた鞄が、他の空港に間違って送られてしまいました。その上、団体予約していたホテルへ宿泊ができなくなり、別のホテルに急遽【きゅうきょ】宿泊することとなったのです。
Nさんは研修前の思いがけない出来事に、少し不安になりました。しかし、研修担当者が時に声を荒げながらも、懸命に情熱を込めて関係者と対応をしている姿や、「ここは日本と違いアクシデントは付きものなんです。だからNさん、アクシデントを楽しみましょう」との言葉に、心が変わりました。
その後、無事に研修は終了。Nさんは「起きた問題に対し、嫌がらずに情熱を込めて対応していけば、必ず道が開ける」ということを学んだのです。
今日の心がけ◆アクシデントを受け入れて対処します
入社して5年が過ぎたA氏は、創立30周年を迎える周年記念行事の実行委員に選ばれました。
実行委員会は定期的に開かれていましたが、A氏は営業職として外回りがあるとの理由で遅刻や早退が度々【たびたび】あり、本腰を入れて取り組めないでいました。すると、先輩が何のために周年行事を開催するのかを説明してくれました。
「事業の継続発展を祝祭【しゅくさい】するとともに、携【たずさ】わる人々のマンネリを防ぐため、節目の時期に、原点に立ち返って過去の歩みを括【くく】り、新たな意欲をかきたてながら未来に向かうための行事である。竹も節目があるからまっすぐ伸びていけるのだよ」
さらに「木の根っこがしっかり大地に根付いているから、実り多い収穫につながる。周年行事は、本(創業時)の精神を忘れないから、毎年の末(利益)が上がり、未来の発展があるということの確認だ」と付け加えました。
「何ごとも本を忘れて、末は栄えないものだ」と心してAさんは、実行委員の仕事に真剣に取り組むようになりました。初心を忘れず、前に進みたいものです。
今日の心がけ◆原点に立ち返ります
仕事でミスをした後、「良い経験になりました」と思えるような経験はあることでしょう。では、その経験が本当に活【い】かされているでしょうか。
住宅塗装の仕事をしているSさんは、続けざまに違う色を外壁【がいへき】に塗装してしまいました。原因は単純なもので、施工【せこう】指示書に書かれていた色番号を間違えて発注したことでした。
〈二度と繰り返してはいけない〉と心に誓ったSさん。その後は施工指示書をもとに、施主【せしゅ】にも必ず確認を取るようにしました。
同じ過ちを繰り返すということは、これまで培【つちか】ってきた経験が活かされていないのと同じです。せっかくの経験を無駄にしないためにも、しっかりと反省し、失敗の原因を探ることで、Sさんは同じ失敗を繰り返さなくなりました。
同じ失敗をなくすために、工夫することはもちろんですが、以前失敗した経験を次に活かすことが、自己の成長へとつながっていくのです。
過ちに真摯【しんし】に向き合い、検証する癖をつけていきましょう。
今日の心がけ◆失敗を次に活かします
K氏と同僚のN氏が、ビル街を歩いていた時のことです。せっかちなK氏は、赤信号でも自動車が来ないようなら、さっさと横断してしまいます。
そんなことが何度か続いた時、後から追いかけてきたN氏に、「そんなに慌【あわ】ててどうするのですか。一分や二分が惜しいからといって、事故に遭【あ】ったら元も子もないではありませんか」と諫【いさ】められました。
すると、K氏は「確かにそうかもしれない。でも私は、後悔しないだけの決意と覚悟で、命がけで道路を横断している」と言います。
すかさず、N氏は強い口調で次のように反論しました。
「あなたは、たいしたことがないと思っているかもしれない。しかし、信号を守って安全運転を心がけていたドライバーは、非常識な歩行者のせいで、刑事罰に問われるかもしれないのですよ。他人を不幸に陥【おとしい】れる権利はありません」
K氏は「自分の身勝手な行動で、誰かを不幸にさせていたかもしれない」と思い返しました。以後、信号を必ず守り、N氏に深く感謝したのでした。
今日の心がけ◆身勝手な行動を慎みます
私たちは現状の自分よりも少しでも成長したいと思う反面、いつの間にか向上心を忘れ、日々の生活も惰性【だせい】に陥【おちい】ってしまうことがよくあります。惰性に陥ることなく、良い緊張感を保ち続けるにはどうしたらよいでしょうか。
Fさんは「実践力チェック表」を作り、具体的な日々の実践がどれだけできているのかを毎日チェックしています。
例えば「気づいたことは気軽に喜んでさっと処理する」に対して、完璧にできたら〇、まあまあだったら△、まったくできなかったら☓というように自己診断を行ない、客観的に自分を見つめて次の成長につなげています。
さらに「誰に対しても先手で挨拶をしている」「両親に対して朝晩挨拶をしている」「お客様には常に笑顔で接している」など具体的な実践項目を設定しています。
良い緊張感を持ちつつ日々の生活や仕事に取り組んでこそ、良い気づきが得られ、また困難な問題にもチャレンジしていこうという意欲が湧いてきます。
日々の生活を常に振り返り、自身を磨き高めていきたいものです。
今日の心がけ◆日々の生活を振り返ります
入社して2年目のYさんは、常にペンとメモ帳を携帯するよう心がけています。
ある日、Yさんはお客様との応対中、ペンがないことに気づきました。〈しまった〉と思い、周【まわ】りを見渡しましたがペンが見当たらないため、失礼を承知の上でお客様から借りることとなりました。
恥ずかしい思いで反省しながら机に戻ると、隣で仕事をする先輩の机上に、Yさんのペンが置いてあるのです。先輩に聞くと「会議室にあったから、使っていただけだよ」との返事に、〈なんて勝手な先輩だ〉とYさんは思いました。
しかし冷静になって考えてみると、これまで会社のペンを私物化して〈仕事で使うのだから使って当たり前〉と感謝の気持ちがなかったことに気づきました。
さらにYさんは自分の机を眺【なが】めると、ペンや付箋【ふせん】など会社の備品が無造作に置かれており、モノを大切にしていないことを思い知らされたのです。
Yさんはペンや小物に名前シールを貼り、一つひとつのモノに感謝の心を向けて、職務に取り組むようになりました。
今日の心がけ◆モノに感謝します
人は失敗をすると、誰しも落ち込むものです。些細【ささい】なことであればまだしも、大きな失敗であればあるほど、立ち直るためには大変な努力を要します。
失敗してもなかなか立ち直れない人は、失敗と成功は別々のものだと考え違いをしている場合が多いようです。失敗と成功は、「裏」と「表」というように表裏一体【ひょうりいったい】の関係であり、別々のものではないのです。
失敗をただ失敗とだけ捉【とら】え、成功と切り離して考える人は、悲観ばかりが先にたって出口が見つからなくなります。
失敗したということは、「その原因をよく研究せよ」という警鐘【けいしょう】であり、「次はうまくやろう」という門灯【もんとう】でもあるのです。
失敗の理由をよく確認してやり直せば、次の成功につながります。それは、自己の欠点を自覚して改善した上での成功であり、確かな成功の基礎が築かれます。
失敗の原因がわからなければ、進んで人に聞くのもよいでしょう。明るく朗らかに、勇気を出してやり直していきましょう。
今日の心がけ◆明るい気持ちでやり直します
N氏は、10年間勤めた部署から新しい部署へ異動し、3日間のオリエンテーションを受けることになりました。
担当したのは、N氏より年下の後輩たちでした。言葉や表現の一つひとつが前の部署とは異なり、初めてのことばかりでした。また、容赦【ようしゃ】なくどんどんリードする後輩の姿勢に、追い詰められていく思いになっていたのです。
N氏は落ち込むと同時に後輩に対して〈偉そうになんだ、あの態度は・・・〉という思いが強くなっていきました。
ところが、休憩の合間に次の準備をしている後輩の姿を目にしたN氏は、ハッと我に返りました。後輩たちは、〈一日でも早く慣れてもらいたいとの思いで、一所懸命にリードしてくれているんだ〉とN氏は気づいたのでした。
気持ちを落ち着かせたN氏は、新しい部署で自分の気持ちに余裕がないために、責める気持ちを出してしまったことを反省したのです。
N氏は後輩に感謝し、集中してオリエンテーションを受講しました。
今日の心がけ◆謙虚な姿勢を持ちます
長く取り扱ってきた商品やサービスに対して、既成概念【きせいがいねん】に捉われないアイデアが生まれることがあります。顧客のニーズ、気候、流行の状況変化を読みとったり、自由な発想の見直しなどから編み出されるのです。
今年、春から夏にかけて大手の衣料品・肌着メーカーが次々とステテコを販売し、一部の百貨店では売り場面積が増やされるほどの賑わいでした。
ステテコは、着物や袴【はかま】の下に履く下着として、明治時代以降に全国的に普及し、現在では中年以上の年齢の男性が履くというイメージが強くなっています。
ところが、今年売れているステテコは快適性に加え、多彩なデザインを取り入れたことで、若者世代の新しいファッションアイテムになっているといいます。
もともと、薄手で通気性が良く、蒸し暑くなるにつれて活躍度が増すステテコですが、猛暑が続いた今年の夏の気候が各メーカーに追い風となったようです。
自社製品が「過去の商品」とならないように、時代のニーズに照らしながら改良店を見いだす新鮮な視点を持って、将来的な業務に取り組みたいものです。
今日の心がけ◆新鮮な視点を持ちます
Sさんが高速道路の休憩所の公衆トイレを利用した時のことです。
連休のため大混雑しており、出入口付近には長蛇【ちょうだ】の列ができていました。Sさんも列に並んで順番を待っていましたが、先を急ぐ人が列を乱す様子に苛立【いらだ】っていました。その時、一人の高齢の男性が目に入りました。
その男性はトイレの前に立つと、深々とお辞儀をしたのです。用が済んだ後もお辞儀をし、手を洗うため洗面台に行く途中、列の方へと近寄ってきました。
そして、列に並んでいる人たちに向かって、「お先に失礼しました」とお辞儀をしたのです。その男性は手洗い場にも同様にお辞儀をしていました。
一連の所作【しょさ】を見ていたSさんは、先程までの苛立ちが消え、清々【すがすが】しい気持ちになりました。男性の物や人に対する所作が美しかったのは、その心の謙虚【けんきょ】さや純粋さの現われなのだということに気がつきました。
日々の職務で慌【あわ】ただしく、同僚への配慮ができていないことを思い出したSさんは、「男性の所作から学ばせてもらった」と自己の生活ぶりを反省したのでした。
今日の心がけ◆謙虚な心で行動します
「菓匠Shimizu【かしょうしみず】」の清水慎一【しみずしんいち】さんは、子供たちが描いた想像のケーキを現実化し、無料でプレゼントしようと「夢ケーキの日」のイベントを始めました。
「ケーキには人を幸せにする力がある。だから家族で夢を語り合う時間を作ってほしい」と「夢ケーキ」の募集を行ない、昨年は850件の応募がありました。それらの絵をもとに、数十人の職人が形にするのだそうです。
人は何かを求めて商品やサービスを買います。それは実用的な機能だったり、おいしい味だったり、または楽しいイベントだったりします。そのすべてに共通するのは、「誰かが幸せになるためにお金を出す」というものです。
自分の嫌【いや】なものに、わざわざお金を出す人はいません。あらゆる商品やサービスに求められるコンセプトは、「幸せになれるモノかどうか」と言えるでしょう。常にそれを念頭に置くことで、質の良い仕事につながるのです。
私たちが手がけるモノには、人を幸せにする力が備わっているはずです。消費者の満足した笑顔を思い浮かべつつ、業務を推進【すいしん】していきましょう。
今日の心がけ◆幸せを提供する企業になります