Sさんは、スーパーの果物売り場で、店員と客の会話を耳にしました。
「このタイ産のマンゴーは、小ぶりだけど安くて美味しいですね」と客が声を掛けると、店員は「皮を剥【む】くのが面倒だから私は食べません」と答えました。
すると「マンゴーは皮を剥かなくていいのよ。真ん中に種があるから、秋刀魚【さんま】の三枚おろしのように種に沿って切り取って食べるのよ」と客が言いました。店員は「リンゴのように皮を剥くものだと思っていました」と驚いたのです。
マンゴーの食べ方は人それぞれに違いはあるでしょうが、何よりこの会話は店員と客の立場が逆転の様【さま】を見せています。
商品を勧【すす】める側は、知識に精通【せいつう】していなければなりません。自店が扱っている商品が、どこで生産され、どのような特徴【とくちょう】があるのかを十分に研究し調べることは、販売する側にとっては基本中の基本です。
知識があれば商品を説明する言葉にも力が入り、自信を持って勧めることができます。扱う商品について談義【だんぎ】ができるほど、豊かな知識を備えたいものです。
今日の心がけ◆自分の仕事に精通しましょう
サッカー日本代表の長友佑都【ながともゆうと】選手は、世界最高峰のチームの一つであるイタリアのインテルにおいて、今や欠くことのできない存在です。
スピードや持久力などが評価されると同時に、試合の流れを読んで、チームメートを活かす「自己犠牲【じこぎせい】の精神」がクローズアップされているようです。
これまでは他の競技も含めて、海外で通用するためには「自己中心的」「唯我独尊【ゆいがどくそん】タイプ」でないと成功できないという風潮【ふうちょう】がありました。
この風潮は、日本人の持つ「人のよさ」や「気配り」などを否定し、「周囲のことは我関【われかん】せず」という姿勢を増長【ぞうちょう】させる要因ともなった感があります。
しかし長い目で見た場合、信頼を得て本当によい仕事をする人は、周囲に対して心配りのできるタイプです。どんなに〈自分はいい仕事ができる〉と思っても、上司や同僚との連携【れんけい】がなければ、現実的な仕事にはなりません。
人を活かす度量【どりょう】を持ち、かつ人に活かされる素直さを有し、そして自分の能力を存分に発揮することを旨とする職場人でありたいものです。
今日の心がけ◆周囲に気を配りましょう
挨拶は人間関係を円満【えんまん】に築【きず】くための基本です。「挨拶上手は付き合い上手」ともいいます。それでも、自らが率先【そっせん】しての挨拶は、勇気がいるものです。
A子さんは通勤途中の舗道【ほどう】で、ある女性といつも顔を合わせます。全くの他人ですが何となく気まずい感じがして、目を伏せて通り過ぎていました。
ある朝、利用する駅のホームですれ違いざまに「おはようございます」という爽【さわ】やかな声が聞こえました。A子さんは、〈誰に言ったのかしら。きっと私の近くに知り合いの人がいたのね〉と思い、特に確認もせずその場を後【あと】にしました。
翌朝、A子さんは舗道でいつもの女性に会いました。思わず視線をそらすと、すれ違いざまに「おはようございます」と爽やかな声が聞こえたのです。
〈あの声は!〉と驚いて振り向いたA子さんの日に、その女性の姿が飛び込んできました。瞬時【しゅんじ】にA子さんは笑顔になって、大きな声で応【こた】えたのでした。
その日以来二人は顔馴染みとなり、「おはようございます」という爽やかな挨拶を交わしています。挨拶は、明るい人間関係を作り出す絆への架け橋なのです。
今日の心がけ◆自ら進んで挨拶しましょう
Cさんが散歩をしていると、タバコの吸殻【すいがら】や空き缶が至【いた】るところに捨てられているのが目につきました。自分の生まれ育った街が、年々汚【よご】されていく様子に心苦しくなり、Cさんは町内の仲間を募【つの】って清掃活動をすることにしました。
「大勢集めて賑【にぎ】やかにやろう」と第一回目の会合は盛り上がり、具体的に開催期日、清掃場所、役割分担、募集人数などを決めていきました。
リーダーとなったCさんは胸の高鳴りを隠【かく】せず、毎回の会合に嬉々として参加しました。しかし思いとは裏腹【うらはら】に話はまとまらず、時間だけが経過していきます。開催一週間前になっても参加人数は増えず、焦りが募るばかりでした。
ところが開催三日前から申し込み人数が急増し、当日は参加者が200名を超える中で清掃活動をすることができたのです。
後日、メンバーから「Cさんが一所懸命やっているのだから気持ちを合わせよう」とE先輩が一人ひとりに声掛けをしていたことを告げられました。Cさんは心一つに行動する重要性をE先輩から学んだのでした。
今日の心がけ◆心を合わせて行動しましょう
入社2年目のA子さんは、職場で表情が固くなりがちで、「目つきが悪い」と指摘【してき】されるのが悩みでした。
ある日、頼りとする先輩から「A子さん、職場でも自宅でも、笑顔を作る機会を増やすといいよ」と助言され、さっそく試みることにしました。
自宅の鏡だけでなく、職場や駅の化粧室でも、誰もいない時には笑顔を映して、自分の表情を徹底【てってい】してチェックしていきました。
取り組みを始めて1ヵ月後、久しぶりに会った友人から「本当にA子なの?すごく感じが変わったわね」と驚かれたといいます。
友人の一言がA子さんの自信となりました。職場でもリラックスした気持ちで取り組むことができ、同僚や先輩とも笑顔で挨拶を交わせるようになりました。
笑顔が苦手だと感じる人は、朝のスタートと就寝【しゅうしん】前に、鏡の前で自身の笑顔を確認してみましょう。こうした小さな取り組みが、職場内に明るさという大きな花を咲かせるのです。
今日の心がけ◆笑顔のある職場にしましょう
Yさんは朝起きが苦手でした。強烈な電子音の目覚まし時計をセットしても、家族に声を掛けられても、なかなか起きられませんでした。
そこでYさんは、就寝の様子を振り返ってみることにしました。ある日は、会社から遅く帰宅すると、テレビを見ながらうたた寝をして朝を迎えていました。
別の日には、布団に入っても、その日の出来事を後悔しながら寝ていたため、明け方になって寝入ってしまいました。
これらを反省したYさんは、些細【ささい】なことでも一日の締めくくりをしてから就寝するように工夫をしました。
例えば、その日の不安や心配は、寝る前に〈明日に任せる〉と気持ちを切り換えてみました。また家族や自分に対して「おやすみなさい」と声を掛けることで一日の区切りができ、翌朝、すっきり目覚められるようになったのです。
朝一番の目覚めは、一日の行動にも影響します。心の底から〈今日も待っていました〉と朝を迎え入れるような、爽やかな目覚めをしていきましょう。
今日の心がけ◆就寝前に一日の区切りをつけましょう
ある日、Mさんが書店で本を探していた時のことです。目的の本を探し出せずにいたところ、店員に声を掛けられました。
Mさんが書籍名を伝えると、在庫はありませんでした。あきらめて店を出ようとした時、店員から「代わりにこのような本がございますが、ご参考までにご覧ください」と他の書籍を紹介されたのです。
それは仕事上で必要性を感じていて、以前探した時には見つからなかった本でした。あらかじめ本の使用目的を店員に伝えていたため、類似の情報が載っている別の書籍を数冊ピックアップしてくれたのです。
Mさんは感激し、その本を購入しました。これは店員の商品知識の豊富さや謙虚【けんきょ】なセールスの賜【たまもの】といえるでしょう。日頃の仕事への万全な準備が一連の対応に表われ、Mさんに感動を与える結果となったのです。
お客様に最高の満足を感じていただけるように、準備を怠【おこた】りなくする時、素晴らしい対応が生じてくるのです。
今日の心がけ◆準備を万全にしましょう
野球、サッカー、ラグビーなど、スポーツ界において躍進的【やくしんてき】に強くなったチームに共通するのは、規律を守り、人間性を高める力を重視している点です。
チームに所属する選手は常に「観客に見られている」という意識が大切でしょう。たとえ個人の技術能力が高くとも、身だしなみが悪く、社会人としての基本が身についていなければ、組織的なプレーができるはずはないのです。
監督就任一年目で、チームをラグビー日本選手権優勝に導いた、サントリー監督のエディ・ジョーンズ氏も規律を重んじる一人です。
氏は同チームを任【まか】された際、教員経験から得た「規律を守り、人間性を磨けば、いい選手になれる」との信念で、徹底的に規律を遵守【じゅんしゅ】させました。
食事中の携帯電話を禁止し、ミーティングでの態度を教育することで、選手個々人の意識を変え、規律のある強いチームへと変えていったのです。
規律を守ることは、企業においても大切でしょう。先輩社員が自ら模範【もはん】となって後輩に規律を示し、組織の風土を伝え、自社の礎【いしずえ】を固めていきましょう。
今日の心がけ◆社会人としての基本を身につけましょう
文具会社の営業課に勤務するAさんは、顧客先であるT社を訪問しました。T社のE社長とは数年来の付き合いで、仕事の話以上に昔話に花が咲きました。
話が一段落した頃に、E社長が「これを見てください」と鞄から大切そうに出したものを見て、Aさんは衝撃を受けたのです。
それはAさんの会社の、過去の営業担当者からの礼状でした。どの礼状も字がていねいで、真心が込められていて素晴らしいのです。むしろAさんがショックを受けたのは、過去に自分が出した礼状がそこに一枚もなかったことでした。
Aさんは時間がないという理由で読み手のことを考えず、乱雑に葉書を書いていた自分を思い出し、深く反省したのでした。
Aさんは、愛読書に記されていた「手紙は額に入れられるものと思って、念入りに書け」という一文を思い起こしました。
それからは、真心を込めて礼状を書くことを心がけ、書いた葉書はすぐに投函するようになったのです。
今日の心がけ◆真心を形に表わしましょう
東日本大震災の影響により、一部地域では計画停電が実施されました。
通勤時の交通機関は混乱し、工場や商店は早めの終業を余儀【よぎ】なくされました。そのような目に見える影響により、電力の重要さに皆が気づかされたのです。
その後、企業や店舗では様々な節電を実施しています。通常より照明を落として営業をしたり、生産ラインを減らして稼動【かどう】させるなど、節電へ向けた多様な対応策が施されています。
電気、水、各種資材など、すべての生活資源は有限です。まずは個人レベルにおいて、その利用法について改善していく必要があるでしょう。
〈家族で「節約協定」を結び消費を抑える〉〈職場で「省エネチェック表」を作り管理を徹底する〉というように、皆で妥協【だきょう】なく実践することが肝要【かんよう】です。
家庭や職場での行動は、直接の省エネにつながるだけでなく、お互いのコミュニケーションも深まります。良いことは周囲を巻き込んで行ないたいものです。
限りある資源です。無駄をなくして大切に使いましょう。
今日の心がけ◆節約に努めましょう
人から頼まれごとをされた時の対応には、大別して3つのタイプがあります。
すなわち、依頼した側の期待どおりにやる人、期待以上に仕上げる人、期待に届かない人の三種です。
「これをやっておいて」と頼まれた時、〈自分の直接の仕事ではないし、それなりに形をつければ文句はないだろう〉と考えて、適当に扱【あつか】う人も中にはいます。しかし何かを頼まれた時こそ、実は真価が試されているのです。
頼んだ側の視点に立てば、想定を上回るような迅速【じんそく】な対応を示されれば、驚きと共に好感度はいやが上にも高まるものです。やがてそれは周囲にも伝わって、期待に応えた人の仕事の幅と信頼度は、いよいよ増していくでしょう。
それらを能力や技量の問題とする見方もあるでしょうが、最も必要なことは「相手にいかに喜んでもらうか」という姿勢の有無です。
たとえ小さな仕事であっても、依頼した人のために全力を尽くす姿勢は、人の心に火を点けずにはおきません。そこが重要なポイントです。
今日の心がけ◆些細な事柄にも全力を尽くしましょう