Kさんの家の近所に、個人経営の小さなスーパーがあります。店長や従業員の様々【さまざま】な心配りが、地域の人たちの信頼を得て繁盛しています。
例えば雨が降ると、商機【しょうき】と捉【とら】えて、ビニール傘を店頭で販売する店が多いでしょう。ところが、このスーパーでは店の入り口に傘を用意し、「ご自由にどうぞ。ついでの時にお返しください」と貼り紙をし、ビニール傘を貸してくれます。
店主は「人の弱みに付け込む商売はしたくない」と言います。お客様を大切にする真心から、傘を無料で貸し出しているというのです。
それでは損をしてしまうと考える人もいるでしょう。しかし店主の思いに感謝をしたお客様は、きちんと傘を返しに来るのです。そして、喜んでまた買い物をして帰るのです。
目先の利益を追わず、どうすればお客様に喜んでもらえるかを考える店主の心に、Kさんは深く感動したのでした。
人に喜ばれる仕事は、巡【めぐ】り巡って我が喜びとなるのです。
今日の心がけ◆人に喜ばれる仕事をしましょう
ある日、Mさんは体調が優【すぐ】れない中で、〈このくらいなら大丈夫だろう〉と無理をして出張先に向かいました。
仕事は最後まで終えることができたものの、宿泊先で体調が悪化し、そのまま救急病院に担ぎ込まれる事態となったのです。結局、翌週の出張には行けず、業務に穴を空けることになってしまいました。
上司に事情を伝えたところ、「なぜ早く報告しない。体調が悪くなるのは仕方ないにしても、もっと細【こま】やかに報告しなさい」と諭されたのです。
業務に対しての報告は、徹底して行なっていたMさんでしたが、体調のことは心配をかけまいと、まったく報告していませんでした。それが逆に、職場へ迷惑をかける結果となってしまったのです。
社会人として、体調管理は必須【ひっす】です。万が一に体調を崩しても、それを隠して押し通したために、結果として業務に支障をきたしては本末転倒【ほんまつてんとう】です。包み隠さず俊敏【しゅんびん】な報告を心がけていきたいものです。
今日の心がけ◆細やかに報告しましょう
街中や駅前で、チラシやティッシュを配っている光景をよく目にします。
その日、仕事が順調にいき、いつになく機嫌【きげん】のよかったルポライターのMさん。駅前でチラシを配っている様子を見て、〈今日は何でも手を出そう〉という思いでいました。しかし次の瞬間、その気が一挙に削【そ】がれてしまったのです。
若い男性が「どうぞ。ハイ、どうぞ」と言いながらチラシを配っています。仕事柄、言葉に敏感なMさんは、〈多少なりとも受け取る側の利益になろう物ならまだしも、自社の宣伝チラシを突き出して『どうぞ』とは何事か〉と思ったのです。
Mさんはこの事柄を引き、「言葉は安直に発するものではありません。状況に応じた言葉を使ってこそ、人に伝えるに足る言葉なのです」と講演で話しました。
そして「もしも彼の『どうぞ』が『お願いします』だったなら、私はそのチラシを受け取っていたでしょう」と続けたのです。
ビジネスシーンで用いる言葉は、いわば外に向けた「武器」の一つです。その場に適切ではない言葉は、返【かえ】り討【う】ちに遭【あ】う可能性があると心したいものです。
今日の心がけ◆適切な言葉を使いましょう
ビジネスで良好な人間関係を築いていても、ちょっとしたマナーを知らないために、信頼を失うことがあります。
マナーとは、相手を尊【とうと】ぶと同時に自分を大切にしつつ、お互いの関係をより豊かにしていくために、先人の知恵により築き上げられました。今日、肘をついて食べるなどの食事マナーの低下が問題視されています。
食事のマナーは、簡単そうでありながら実は最も難しいとされます。その中でも、無頓着【むとんちゃく】になりやすいのが、和食における箸【はし】の使い方です。
箸の使い方にはタブーが多数存在します。どの料理を食べようかと迷って、料理の上で箸をさまよわせる「迷い箸」はその一例です。
また、和食は器を手で持って食べるのが基本です。手を受け皿代わりに口の下に添えながら食べる「手皿【てざら】」も日本ではタブーとされています。
これらのマナーはほんの一端【いったん】です。できる限り、様々なビジネスマナーを身につけておきたいものです。マナーとは、仕事を補う美しい包装紙なのです。
今日の心がけ◆様々なマナーを身につけましょう
人は叱【しか】られることを嫌います。しかし叱る言葉には「今より更によくなってほしい」という思いが込められているものです。
若手社員のAさんは、商談の最中に「こちらが大事な話をしているのに、あなたの態度はなんだ!」と、お客様から叱責を受けました。Aさんは腕を組み、脚を大きく開くという、非常に横柄【おうへい】な姿勢で話を聞いていたのです。
Aさんはお客様の言葉を受け、「知らず知らずのうちに心が偉そうになっていた。それが姿勢にまで現われていたのだ」と深く反省しました。そして「申し訳ありませんでした。教えていただき、ありがとうございます」と率直に詫【わ】びたのです。
するとお客様は「私に限らず、客というものは相手をよく見ているものだよ。でも、あなたの素直な態度を見て安心した」という言葉が返ってきたのです。
人は叱られると、思わずその言葉に反発してしまうことがあります。しかし苦言を素直に受ける時、その人は一つ成長するのです。「よくぞ叱っていただきました。心から感謝いたします」という真摯【しんし】な思いで受け止めましょう。
今日の心がけ◆叱責を素直に受け止めましょう
文具会社に勤務するY氏は、新商品の広告制作を命じられました。Y氏は「自分にはセンスがないから無理です」と固辞【こじ】しました。
すると上司は「やってみなければ、何事もわからない。まずやってみて、どうしてもダメだったらまた相談に来なさい」と言ったのです。上司の言葉に奮起【ふんき】したY氏は、苦心しながらもデザイン案を作成しました。
その後、デザイナーの手によって完成した広告は、Y氏が思った以上にお客様からも大好評でした。この一件で、Y氏は広告関連の仕事に自信を持てるようになりました。
人材コンサルタントの田中和彦【たなかかずひこ】氏は、「『向いていない』は、やってから言わないと損」であると言います。苦手に取り組み、成功したという例は少なくないでしょう。苦手と思う仕事の依頼は、新たな自分を発見するチャンスでもあるのです。
苦手とする仕事を依頼されたなら、〈喜んで〉の心で受け入れて、自分の可能性を広げるチャンスに変えていきましょう。
今日の心がけ◆苦手な仕事を喜んで受けましょう
業務用家具の販売担当のSさんは、お客様のニーズに即【そく】したオーダー家具を提案します。しかし近頃は、接客がうまくいかず、商談がまとまりません。
お客様のために必死に考えて提案すればするほど、空回りしてしまいます。悩んだ末に、Sさんはそのことを店長に相談しました。
すると、「君はお客様のための言うが、それは本当にお客様が求めているものだろうか。『お客様のため』と言って、自分の考えを押しつけているだけではないか。常にお客様の視点で、商品を提案しないといけないよ」と促【うなが】されたのです。
そこまで決定的な指摘を受けて、Sさんはハッとしました。「お客様のために」と言っては、自分がよかれと思う商品を強引に薦めていたからです。
「お客様の立場・視点」をよく聞き入れ、それらを踏まえた商品を提案することこそが「お客様のため」なのだと、Sさんは気づいたのです。
自社の製品に自信と誇りを持つことは確かに重要です。しかし、お客様が何を求めているかを知り、それに即した提案をすることはもっと重要です。
今日の心がけ◆お客様の視点で仕事をしましょう
何かいい方法はないものかと焦【あせ】れば焦るほど、解決への道が遠のいてしまうことがよくあります。そのような時は様々な思いを捨て、心を空にすることで解決の糸口が見つかります。
コップの中が水で一杯になっていると、それ以上は水を注いでも入りません。溢【あふ】れるほどの水を捨て、空っぽにすると新しい水が入るように、窮余【きゅうよ】の方策は心を空にして初めて生じるものです。
捨てることは難しいと嘆く人がいます。その場合には、自分自身への過度【かど】な囚【とら】われを、「人のために」「皆のために」という願いへと切り替える努力をするとよいでしょう。その思いが強くなればなるほど、確かな妙案【みょうあん】が閃【ひらめ】きます。
自分への利益を求める思いは、人間であれば次から次へと湧いてきます。利己心は活動の原動力ともなりますが、それが過ぎると活路を塞【ふさ】いでしまうのです。
心を空にすれば必ず活路は拓けるという信念を持って、どんな困難にも臨【のぞ】んでいきましょう。ゼロはすべての物事の第一歩なのです。
今日の心がけ◆心を空にして事に当たりましょう
Kさんは大学を卒業し、地元の物産品【ぶっさんひん】を扱う会社に入社しました。意欲的に仕事に取り組むKさんの姿勢を見た先輩は、書道サークルに誘いました。
漢字の「一」「三」など易しい字が中心の、初心者用のお手本が渡されました。しかし、なかなか思うように書けず、しかも単調な作業に飽【あ】きてしまったのです。
〈物心ついて20年近く字を書いてきた。私は自分の字が好きだ。それなのになぜ今さら、お手本の字に似せるように書かなければならないのか〉と思うようにすらなったのです。
そして、「書道サークルを辞めたい」と先輩に伝えました。すると先輩は、「書道で最初に学ぶのは、お手本通りに書くことだ。お手本に心を合わせるんだ。書道は我を取り払う学びだ。新人の君に今、最も求められているのは、先輩やお客様に合わせる謙虚な心なんだよ」と優しく諭【さと】してくれました。
Kさんは、自分の思い上がりを深く反省しました。そして、〈書道も仕事も他人に合わせよう〉と謙虚な姿勢で職務に取り組むようになったのです。
今日の心がけ◆他人に合わせる心を養いましょう
旭化成工業の社長を長年務め、日本の産業界を牽引【けんいん】した故,宮崎輝【みやざきかがやき】氏は、中途半端な人生にしないために、辛抱することの大切さを強調しています。
氏は旧東京帝国大学(現,東京大学)で法律を専門に学びましたが、入社当初はそろばんを弾【はじ】いたりするなど、専門外の事務作業が続きました。会社を辞めて転職を考えたことも度々【たびたび】でした。
しかし、与えられた業務に懸命に取り組み、3年が経過した頃、ようやく仕事の面白さがわかってきました。辛抱することの大切さをこの時期に学んだのです。
日々の業務の中で、苦手意識を持ったり、面白くないと感じたり、嫌々ながら取り組む仕事も」あるでしょう。それを受け止め、どのような仕事でも辛抱して一所懸命に打ち込む時、必ず仕事の面白さが見いだされるものです。
仕事にやりがいや喜びを見いだすことができるのは、自分自身の仕事に取り組む姿勢次第です。どのような仕事でも「一所懸命やれば道は拓ける」という信念を持って、与えられた職務に向き合っていきましょう。
今日の心がけ◆目の前の仕事に懸命に取り組みましょう
超高齢社会の到来【とうらい】といわれます。年齢を重ねた人たちの、元気で若々しく活動する姿が多く見受けられるようになりました。
59~88歳の男女で構成【こうせい】された「いよよ華やぐ倶楽部」のメンバーは、年数回のファッションショーを行なっています。
高齢者は地味な色の服を着がちですが、ここではブルーやピンクなど鮮【あざ】やかな色の服を着ます。それにより、自分だけではなく周囲の人たちをも明るくします。
また、舞台でスポットライトを浴びたり、拍手を受けたりという経験は、様々な効果を上げています。「人前に出ることが苦手ではなくなった」「体調がよくなり自分に自信が持てるようになった」などの声が聞こえます。
「これからが青春」と、全国各地でのショーの他に海外での舞台も計画するなど、活躍の場への意気込みは尽きることがありません。
どこにでも活躍のチャンスはあります。それを見いだすのも受け入れるのも、自分の度量【どりょう】次第です。気持ちを若く保ち、元気に過ごしていきたいものです。
今日の心がけ◆明るく朗らかに過ごしましょう
日々の業務では、複数の事柄【ことがら】を並行【へいこう】して進める場合があります。
私たちはそのすべての業務に尽力できているでしょうか。人は何か障害が生じると、手を抜いたり諦【あきら】めたりしてしまうものです。
新しい部署に異動したYさんは、慣れない仕事と忙しさで、様々な壁にぶつかっています。その都度、ミスを避けるため、「できません」と断ったり、手を抜いたりしていました。ある時、一つの小さなミスが大きな失敗を引き寄せました。
Yさんは上司から「誰しも同時にいくつもの仕事をこなしている。慣れなくて大変だからといって手を抜いてはいけない。要は、今やっている仕事に対して、どれだけ心を込めることができているかが重要だ」と指摘されました。
ミスをした事実に対してだけ反省をしていたYさんは、心から仕事に打ち込んでいなかった自分に初めて気づかされました。
それ以来、Yさんは業務に心を込めて向かうようになりました。心の持ち方ひとつで、仕事の成果が大きく変わってくることを日々実感しています。
今日の心がけ◆仕事に心を込めましょう
Aさんがお中元を持参【じさん】して、得意先へ向かう途中のことでした。後ろから「すみません。ちょっとよろしいかしら」と年配の女性に声を掛けられました。
見覚えのない女性のため、Aさんが困惑【こんわく】していると、「失礼かとは思ったのですが、背広の襟【えり】が立っていらっしゃいます。ご贈答品をお持ちのようですから、直されたほうがよいのではと思わず声を掛けました」と言いました。
Aさんが「ありがとうございます」と応えると、その女性は微笑【ほほえ】んで先を急ぐように去って行ったのです。
この出来事がきっかけとなって、その後、Aさんの態度に変化が表われました。相手を思いやることを心がけて、よりよい職場環境を作る努力をしています。
見知らぬ人に声を掛けるのは勇気がいります。日頃から相手を思う気持ちがなければ、突然の行動はなかなかできません。
誰かが困るような状況を発見した際には、知らない振りをすることなく、一声掛けられる自分でいたいものです。
今日の心がけ◆よりよい職場環境をつくりましょう
今日は旧暦の8月15日で、「中秋の名月」を愛【め】でる十五夜【じゅうごや】です。十五夜の風習は中国から来たもので、日本でも昔から親しまれてきました。
「名月や池をめぐりて夜もすがら」(松尾芭蕉【まつおばしょう】)。「名月を取ってくれろと泣く子かな」(小林一茶【こばやしいっさ】)。どちらも中秋の名月を詠んだ句です。
しかし十五夜の夜の晴天率は、例えば東京地方では、38%しかないといわれています。日本では雨や曇り空のために、なかなか名月を見ることができません。
なぜならば十五夜の時期は、日本列島に秋雨前線が停滞する割合が高いからです。そこで十五夜だけではなく、翌月の旧暦九月十三日の「十三夜【じゅうさんや】」の月も愛でる風習が日本独自に広がりました。
その頃には移動性高気圧が秋雨前線を追いやり、「十三夜に曇【くも】りなし」といわれるほど安定した晴天が続くからです。
十五夜の円熟【えんじゅく】した満月も見事ですが、十三夜の月はまだ少し欠けていて、日本人の謙虚【けんきょ】さと向上心とを感じさせるかのようです。
今日の心がけ◆向上心を持ちましょう
大地震の被害状況をテレビで目にしたY氏は、混沌【こんとん】とした情報に対して、本心から向き合うことができませんでした。
不確実なものでは真実に向き合えないと感じたY氏。「聞くより見る。見るより体験する。それが吸収力を早める」との父親の言葉を思い出し、休暇【きゅうか】を取って災害ボランティア活動に参加しました。
荒れ果てた街並みに言葉を失ったY氏は、現実から目を反【そ】らさず、己が体験したことを必ず役立たせていく決意をしたのです。一時の活動として終えることなく、継続的な支援計画を自分なりに立案しつつあるY氏です。
問題を遠くから見つめ、自分と切り離して考えてしまうと、社会的,人間的な前進は見込めません。それは職場生活においても同様です。
「為すべき役割と至近距離で向き合い、入念な計画のもとに実行する。終わった後は客観的に振り返って改善点を得る。そして再び実行に移す」という繰り返しを徹底することが自身の使命感を高め、大きな力へと昇華させていくのです。
今日の心がけ◆使命感を養いましょう
家庭問題研究所所長の松本光平【まつもとこうへい】氏は、夫婦関係をよりよくするための鍵を、「相手の嫌【いや】がることをしない」「相手の望むことをする」の2点に絞っています。
家庭での関係のみならず、人間関係を円滑【えんかつ】にしていくためにも必要なことだといえます。職場において、上司や同僚が嫌がることをしてはいないか、お客様や取引先が望むことをしているか、改めて確認してみてはいかがでしょう。
Fさんの上司は、報告・連絡・相談を受けると、決まって最後に「ありがとう」と言います。Fさんはそれによって、仕事にやる気が出てくるそうです。
「自分から先手で明るい挨拶をする。自分に非があるときは素直にすぐ詫【わ】びる。何かしてもらったときには『お陰様【かげさま】で』の心を口に出す」など、相手を思いやる言葉とその実行は、良好な人間関係を築いていく源なのです。
思いやりの一言は相手の心をほぐし、やる気を生み出し、人と人との絆を強固にしていきます。些細【ささい】な事柄であっても、積極的に言葉を発していきたいものです。人の和とは、思いを形に表わすことから始まると心しましょう。
今日の心がけ◆思いやりを形にしましょう
早起きが良いことは誰もが知っています。しかし、知っているとおりに行なえるかとなると、なかなか難しいものです。
いかに良い話でも、実行が伴【ともな】わなければ「絵に描いた餅」のように、実際の生活には役立ちません。
A君は朝起きが苦手でした。ある時、社内のSさんに早く起きるコツを尋ねました。Sさんは、「目が覚めたらサッと起きるといい。ただし、目が覚めなかったら起きなくてもいい」と言ったのです。
寝坊を心配していたA君でしたが、「心配していても始まらない。よし、やってみよう」と決心をつけました。すると翌朝は目覚まし時計なしで、予定の時間に起床【きしょう】することができたのです。
目覚めは起きるか寝ているかの分かれ道です。「起きよう!」という踏ん切りが肝要です。起床の瞬間は、決断力を養成する練習を毎朝しているようなものです。明日の早朝から、さっそくやってみてはいかがでしょう。
今日の心がけ◆目が覚めたらサッと起きましょう
組織のリーダーは、物事を判断したり決断する際、自分の中に一定の基準や指針【ししん】を持っていることが大切です。
「これは絶対に譲れない」「こういうことは決してしない」など、考え方や生き方の指針が確立されていれば、瞬時の判断にも迷うことはありません。発言や行動がブレないため、周囲から寄せられる信頼も自然に高くなっていきます。
ある人は「みっともないことをしない」という指針を、仕事でも生き方でも自分の信条として貫き通しました。
「言ったことを実行しないのはみっともない」「他人に迷惑をかけたり恥をかかすのはみっともない」といった毅然【きぜん】としたブレない生き方に、部下たちの多くが惹【ひ】き付けられ、「この人についていきたい」という気持ちにさせたというのです。
一種の美学であり、哲学といってもいいでしょう。人間としてこうありたい、組織人としてこういう生き方をしたいという思いを持つことがその原点です。
人生を創造的に生きるために、ぜひ、揺るがぬ指針を持ちたいものです。
今日の心がけ◆志の高い哲学を持ちましょう
自動車の運転免許の更新期限が近づいていたY氏は、妻に同乗してもらい、運転免許センターに行くことになりました。
引越【ひっこ】して間がなく、場所が把握【はあく】できなかったため、カーナビゲーションを頼【たよ】りに目的地へ向かいましたが、途中でカーナビが故障してしまいました。
不安になったY氏は近くの駐車場に車を止め、自分で修理を試【こころ】みましたが、回復しませんでした。何としてでも修理しようとしていたところ、妻から「他【ほか】の方法を考えてみては?あなたはいつも機械任【まか】せね」とズバリ言われました。
妻の言葉にハッとしたY氏は、これまで機械に依存し過ぎていたために、機械なしでは何もできない自分に気づきました。
Y氏には、自分で考えるという意思【いし】がなくなっていました。そのため経験したことのない場面に直面すると混乱してしまい、スタートが遅れていたのです。
大量の情報が入り混じっている昨今【さっこん】です。的確に自分の意思で情報を見抜き、自分でできることは、まず自分でやってみることが大切なのです。
今日の心がけ◆判断力を鍛えましょう
人を見た目で判断してはならないといいます。また、人はみかけによらないともいいます。しかし、私たちは初対面で、<あの人は感じがいいな><何となく嫌な感じだな>と、様々【さまざま】な印象を瞬時【しゅんじ】に得【え】ます。
多くの場合、第一印象で人を判断してしまいます。最初に悪いイメージを持ってしまうと、その悪いイメージを払拭【ふっしょく】するのは、なかなか難しいものです。
では、どのようにすれば第一印象をよくすることができるでしょうか。その一つは「表情」です。表情はその人の心を表わします。習慣的な心の持ち方や性格が、その人の表情を作ります。顔は生まれつきではなく、変わるのです。
嬉しくて幸せな時の表情と、不愉快で怒っている時の顔の表情は違います。いつも不平不満を持っている人の顔は、皆に不快な感じを与えるものです。
いつも人に対して優しく親切で明るい心を持っていれば、表情は変わっていきます。また、意識して微笑みを湛【たた】えていると、気持ちも穏やかになってきます。
毎朝、鏡を見ながら微笑【ほほえ】んで、一日をスタートさせましょう。
今日の心がけ◆表情を明るくしましょう
暑かった今年の夏。水分補給【ほきゅう】などをして熱中症【ねっちゅうしょう】対策をした人は多かったでしょう。外回り仕事の多いTさんも、暑さには気をつけて過ごしていました。
ある日、家族で夕食をとっている時、熱中症の話題になりました。Tさんは「仕事中も気をつけて水やお茶を飲んでいるけれど、なぜか夕方近くになると軽い頭痛がしてくる」と、最近気になっている状態を伝えました。
すると妻が「それは熱中症の一歩手前よ」と言いました。Tさんが「水分補給はしているよ」と答えると、「塩分が足りないの。水やお茶だけでなく、スポーツドリンクなども組み合わせた水分補給を考えて」とアドバイスしたのです。
本人としては、塩分の摂取【せっしゅ】は普段の食事で足りていると思っていました。しかし、それ以上に大量の汗をかいているのだと知り、独りよがりの考えは危険だと思い知らされたのです。
残暑厳しい中、<暑さ対策をしっかり行ない、周囲の助言も参考にしながら体調管理を万全にしていこう>と、Tさんは気を引き締めたのです。
今日の心がけ◆体調管理に留意しましょう
仕事の「仕」と「事」の両文字には、「つかえる」という意味があります。
これまで多くの人は、より高い報酬を得るために、よりよい知識や技術を習得しようと努力をしてきました。まず自分ありきという意識だったのです。
現在は、「誰のために何ができるか」という面も加味【かみ】されるようになってきました。自分だけでなく、周囲を幸せにするための働きをしようというものです。
仕事とは「つかえる」の意味のごとく、公【おおやけ】のためにするものです。ある外食産業の現場では、「仕事は料理を運ぶことではなく、お客様に喜んでもらうこと」を徹底しています。その精神は製造、サービス等の職種によらないでしょう。
「つかえる」を実現させるための基本は、報告・連絡・相談で成り立っています。この基本的な対話がうまく回らなければ、仕事は円滑に進みません。
「報告は確実に、連絡はスピーディーに、相談は身軽に」を旨【むね】に、仕事の流れを鮮明にして、お客様に尽くしていきたいものです。
仕事に精魂を込め、業務の向上と共に自身の成長を促【うなが】していきましょう。
今日の心がけ◆仕事の基本を徹底しましょう
東日本大震災の影響で、ある工場の製品搬出用【はんしゅつよう】エレベーターが故障しました。
製造ラインが直ったとしても、出荷ができない事態【じたい】が起きかねない状況を、製造ラインの設計や補修を担当する一人のベテラン社員が打破【だは】しました。
彼はエレベーターの仕組みを見たことはありませんでしたが、「できないことはない」と言い聞かせ、試行錯誤の末に修理を完遂【かんすい】したのです。壊れたり無くなった部品の形を推測【すいそく】し、工場内の金属片【きんぞくへん】を加工して取り付けました。
逼迫【ひっぱく】した状況下【じょうきょうか】に直面すると〈何とかしなければ〉という使命感の下【もと】に、それを成【な】し遂【と】げようとする人が現れます。仕上げた成果を無にすることなく、〈何とかしたい〉という思いに駆り立てられるのでしょう。
同社では全社員が想像を超える力を発揮して、工場復旧に漕【こ】ぎつけました。誰かに何とかしてもらうのではなく、自ら何とかできないかという強い思いが、発想や行動を変えて協力者をも招【まね】くのです。
「できる」という強い信念を持って、苦境を乗り越えていきましょう。
今日の心がけ◆どうしたらできるかを考えましょう
効率とスピードを求める現代人にとって、「待ち時間」は無駄な時間と感じる場合が多いようです。そうしたイライラを解消【かいしょう】するために、病院などでは診療科【しんりょうか】ごとの待ち時間をモニター表示するなどの工夫がなされています。
また街中【まちなか】では、待ち時間がわかる信号機が増【ふ】えたことで、無理な横断が少なくなり、事故を未然【みぜん】に防ぐ効果も実証されています。
1日24時間は、すべての人に平等に与えられています。そしてその限られた時間の使い方は、各人の意思【いし】に任【まか】せられています。時間の使い方によって人生は変わるといえますが、大切なことは自分自身が「時間を守る」ということです。
約束の時間に遅れて、相手を10分間待たせたとするならば、その人の人生の中の10分間を奪【うば】い取ったということにもなります。
「時の刻みは命の刻み」といわれます。寝ても覚めても休むことなく、時は刻まれていき、一瞬一瞬に命がかかっているのです。限られた時間を大切にしていくという自覚こそが、充実した人生を送ることに通じるのです。
今日の心がけ◆時間を大切に使いましょう