営業マンの熱心な商品説明の姿勢に、K氏が新型パソコンの購入を決め、待ちに待った商品が自宅に届いた時のことです。
楽しみに待っていた商品だっただけに、喜び勇んで梱包を解いてみると、そこには同じ商品名ではあっても、型式の古い商品が入っていたのです。
配送センターに連絡すると、電話に出た出荷担当者は、「営業部門から廃棄の指示がなかったので、出荷しないはずの古い商品が倉庫に残っていたようです。」
K氏は、熱心な営業マンの顔を思い浮かべながらも、<全社的には、お客様の気持ちを少しもわかっていない会社なのだな>と思わざるを得ませんでした。
一つのミスに対して、各部門が責任をなすりつけ合う態度では、お客様から信頼を得るべき企業として、程遠い存在といえます。
それぞれの担当者が、同一の目的のもとに仕事を行なうのが企業です。組織の役割分担を明確にした上で、各部門が業務に取り組むことが大切なのです。
今日の心がけ◆全社的な目的を確認します
詩人で小説家の青木新門【あおきしんもん】氏は、自身の葬式の現場の体験を1993年に『納棺夫日記』として出版し、ベストセラーとなりました。氏が納棺夫の仕事を始めた頃は、妻や親族から反対されるなど、苦悩の日々が続いたと言います。
しかし、何ヵ月も放置されていた一人暮らしの老人の死体を、警察の依頼で棺に納めることが転機となりました。布団をめくった瞬間、ぞっとしました。老人の遺体には、無数の蛆【うじ】が波を打つようにうごめいていたからです。
しかし、蛆を掃き集めている時、「蛆虫も生命なのだ。そう思うと、一匹一匹の蛆が光って見えた」そうです。「蛆虫も、メダカや鮭の卵のように美しく光る生命なのだ」と生命の尊さを自覚したのです。
このことが、青木氏の心の眼を開かせました。生命に対し、死に対し、そして神仏に対し、広く豊かな畏敬の念と確信を持つようになったというのです。
以来、青木氏は納棺夫になったことに感謝をするようになりました。人々に感動を与える仕事ぶりは、仕事の価値の自覚を深めることから生まれるのでしょう。
今日の心がけ◆仕事の意義を見つめてみます
1942年に開業した東京・谷中の「澤の屋旅館」は、8割を外国人客が占めています。「日本人のありのままの生活を見てほしい」という、肩ひじ張らないおもてなしが評判です。
開業40年を過ぎた頃、国内のビジネス客や修学旅行客が激減したため、オーナーの澤功【さわいさお】氏は、外国人を受け入れることを決意しました。
澤氏は、大きなホテルには設備やサービスではかなわないため、谷中の町そのものを楽しんでもらおうと発想を換えました。館内には日本の季節を楽しんでもらう工夫がなされています。
節分には豆まき、雛【ひな】人形や五月人形を飾り、冬至にはゆず湯等の年中行事も忘れません。近所の飲食店や商店の英語の地図を作成したり、花見や餅つきなど地域で行事がある際には、お客様に参加の声かけをしています。
氏の利益優先だけではないサービスが、外国人客の心をつかんだのでしょう。私たちも、お客様の立場でサービスを提供していきたいものです。
今日の心がけ◆オリジナルのサービスをします
「志【こころざし】定まれば、気さかんなり」とは、日本の近代化に力を注いだ吉田松陰の言葉です。志を高く掲【かか】げて邁進【まいしん】する時、気力が湧くという意味です。
筑波記念病院で、整形外科部長を務める生芝幸夫【いくしばゆきお】氏が医者を志したのは、幼い頃、一酸化炭素中毒に陥【おちい】り、医者に助けられたことがきっかけでした。
高校3年時、医学部受験を担任に伝えると「間違っても無理」と返されました。父親に、頑張っても駄目ならどうすべきかを相談すると、「もっと頑張るんだな」と言われ、それでも駄目なら「もっともっと頑張るんだな」と励まされました。
父親の言葉を支えに初志を貫き、五浪を経て医学部へ合格。医師国家試験発表の日、母親から渡された封筒には「ぼくがおおきくなって、いしゃになったら、おかあさんの病気を見てやります」と小学生時に書いた手紙が入れられていました。
それから、40余年、氏は母親の手術のためにメスを握り、約束を果たすこととなりました。私たちも社会人になる時、夢や志を掲げたことでしょう。再度、初志を思い起こし、貫き通す決意をし、日々の業務に取り組んでいきましょう。
今日の心がけ◆初志を思い起こします
Aさんは、靴の修理店に出かけました。応対してくれた店主は、作業工程を説明後、どのように靴を補修したいのかを懇切丁寧【こんせつていねい】に確認してくれました。
愛着のある靴でしたが、修理にかかる日数が長く、費用も高額なため、新しい靴を買うか修理をしてもらうか悩みました。しかし、店主の熱意ある応対にAさんは心打たれ、修理を依頼することにしました。
1ヵ月半後、靴の修理が終わったとの連絡を受け、久しぶりに店に行くと、「A様、お久しぶりです」と店主が挨拶をしてくれました。
Aさんが店主に一日の来客数を尋ねると、平均50人くらいだと言います。一週間で350人、一ヵ月で1400人が来店する計算になります。その中の一人として自分を覚えていてくれたことに、Aさんはとても感動しました。
店主によると「靴を見ると自然とお客様の顔が浮かぶ」のだそうです。店主がどれほど仕事を愛し、お客様に感謝をしながら仕事に取り組んでいるのかを知ったAさん。補修されて甦った靴を、今まで以上に愛用しているとのことです。
今日の心がけ◆自分の仕事を尊びます
Mさんの職場では、新年度の4月に机のレイアウトが変更されました。それに伴い、個人用の脇机が撤去されました。
三段の引出しがついた脇机は、書類や文具を収納する容量も大きく、便利なものです。それだけに撤去されると、机についている残りの引出しだけでは容量が足りないと嘆【なげ】くMさんでした。
仕方なくすべての荷物を整理して、不要と思われる物を廃棄し、必要な物はファイリングをしてみました。すると、意外にも、今ある机の四段の引出しにすっぽりと収まったのでした。
<入れる場所があったから、無駄な物まで持っていたのだ>と感じたMさん。「物事は、スペースが決まってしまえば何とかなるものだ」ということを、実体験の中で学びました。
整った環境の中では、良いアイデアが生まれやすいものです。机やロッカーなどの仕事環境を整備し、効率を上げて職務に取り組んでいきたいものです。
今日の心がけ◆不要なものを処分します
厳しい経済状況が続く昨今です。企業にとって大切なのは、生き残るための算段と同時に、将来のため今できることを徹底することでしょう。
半導体製造装置の開発・製造・販売等を行なう東京エレクトロンは、製品受注高が低下していることを受け、余った時間で社員研修を実施しています。
同社の歴史や文化、理念についての研修、生産プロセスといった技術研修とともに、語学教育にも力を入れています。
この研修は全社員が対象で、工場稼働率の低下を逆手にとって、社員の能力を引き上げ、需要回復後の業務に備えています。
不況の波といいますが、波には必ず山と谷があります。人も企業も、苦境の時に何をするべきかが、将来の差となって表われることでしょう。
研修や教育のみならず、清掃、書類整理、お得意先へのケアなど、今だからこそできるものがあるはずです。「今、自分ができること」を常に考え、小さくても新たな変化の波を、職場内に起こしたいものです。
今日の心がけ◆今できることから始めます
活力を推進するための朝礼も、ともするとマンネリ化してしまいます。次の3つのポイントが実行されているかどうか、毎日の朝礼で点検しましょう。
1「明るく」。挨拶実習の発声が、大きいだけではなく、張りのある明るい調子になっているかが大切です。
2「チームワークを高める」。挨拶の発声や動作が、ピタリと揃うように心がけることが、全員の「気を揃える」ことになります。それが、業務の中での<報告・連絡・相談>の疎通をスムーズにします。
3「元気に」。<よし、今日も一日やるぞ!>という気持ちで、元気に朝礼を終了します。そのためには、経営理念や職場のスローガンの斉唱などで「目指す方向」を確認します。力を込めて言葉を発しましょう。
自分がよりよい一日のスタートを切るためには、何がベストの手段かを普段から意識することが大切です。「明るく、チームワークのよい、元気な朝礼」を通じて、職場にパワーを生み出していきましょう。
今日の心がけ◆元気のよい朝礼をします
H氏は目標に対して業績が上げられずに苦慮していました。その上、H氏の担当部署の雰囲気は、最近暗いのです。<数字が停滞【ていたい】している上にムードも悪い>と思い悩んでいた時、同期の友人と夕食を共にしました。
その際、友人から次のようなアドバイスを受けました。「さっきから聞いていると、泣き言や言い訳、愚痴ばかりだけれど、まずは、明るい言葉を多く使うように心がけたらいい。プラスの言葉を意識しているうちに、自然とマイナスの言葉が減っていくよ」
H氏が明るい言葉の基本「ハイ」「ありがとう」を積極的に使い始めると、職場の雰囲気は少しずつ明るくなり、業績も上向いていったのでした。
環境や性格によって様々ですが、私たちが一日に発する言葉が一定であれば、プラスの言葉を発する分だけマイナスの言葉は減ることになります。
明るい言葉を多く発することで「マイナスの言葉」を減らし、「プラスの言葉」に溢れる明るい雰囲気の職場にしたいものです。
今日の心がけ●明るい言葉を積極的に発します。
人は、悩みを抱えている時、その内容を人に打ち明けたくなるものです。悩んでいる問題が解決しなくても、悩みを人に打ち明けることで、一瞬でも心が解放されるからでしょう。
悩みを持ちかけられた側は、<何とかその悩みを軽くしてあげたい>との思いから、様々なアドバイスをするものです。
それは、その人の心の豊かさや優しさ、あるいは思いやりの一面が垣間見える瞬間でもあります。
しかし、悩みを打ち明けた側にとって、アドバイスを受けたことで、心の重みが軽くなるばかりか重くなってしまうこともあります。
むしろ、励まされるよりは悩みをじっくり聞いてもらうだけで、心の重みが軽減されるケースも多いのです。
悩みを打ち明けられた場合、即座にアドバイスをする前に、話を親身になって聞き、安心感を与えることも、時には必要といえそうです。
今日の心がけ◆話をじっくりと聞きます
来客の多い店の共通点は、ストア・イメージが非常に高いということです。ストア・イメージは、店や会社が実行してきた接客態度、品揃えと品質、安さなどによって決まると言われています。
その店で取り扱っている商品や設備などが、どの店も大差がないとしたら、お客様は好感の持てる店に足を運ぶでしょう。
そこで、誠意あるサービスやマナーといった、接客態度が重要になってくるのです。わざわざ来店していただいたお客様に対して、ストア・イメージを低くする、絶対にとってはいけない五つの態度があります。
それは、
1知らんふりをする、
2面倒そうな応対をする、
3お客様の外見で態度を変える、
4足元から頭までじろじろと見つめる、
5お客様に体の正面を向けない、です。これら五つの態度を出さないように、心がけることが大切です。
お客様に悪い印象を与えずに、ストア・イメージを高めて、固定客となってもらえるような接客を励行しましょう。
今日の心がけ◆接客態度を高めます
食品会社で事務を担当している女性社員のYさんが、部長の指示で取引先の会社に資料を届けに行った時のことです。
「いらっしゃいませ!」という元気な出迎えの声に、彼女は一瞬びっくりしてしまいました。ふだん総務部員としてパソコン業務が主のYさんは、たまに来客があっても、めったに挨拶をすることはありませんでした。
しかし先ほどの声は、間違いなく自分と同じ女性の声です。<この元気はどこから来るのだろう>と興味が湧き、ソファーで担当者が来るのを待っている間、女性社員たちを観察することにしました。
電話の応対も挨拶と同様に歯切れがよく、しかも非常に丁寧です。商品の注文に対して、<ありがたい>という思いが、発する言葉に素直に表われています。その上、机に向かう姿勢が、実にキリッとしています。
自分にないものを見せられた気がして、Yさんは心が動かされたと言います。人の振りを見て気がつくところがあれば、素直に倣【なら】っていきたいものです。
今日の心がけ◆他人の良いところを観ます
人気イラストレーターのIさんは、何社ものクライアントと付き合いがあり、同時に数本の仕事を進めることも少なくありません。ある時、2社の求めるイラスト内容が、偶然にも同じ内容になってしまいました。
両社は同じ業界で、イラストを商品カタログに使うところまで一緒。「面倒なことになった」と思ったIさんは、双方に「別のイメージで勝負しませんか」と逆提案する作戦に出ました。どちらかが現状を回避してくれればという狙いです。
すると、A社の担当者から電話がありました。「この仕事は、当社の企画部門が以前から練ってきた案であり、こちらを尊重したい。Iさんが乗り気でないのであれば、別のイラストレーターに頼むことにします」と言います。
その翌日、今度はもうひとつのB社から「今回は写真を使うことになりました。申し訳ありませんがキャンセルさせてください」と連絡が入ったのです。
結局、両方の仕事が消滅したIさんは、「駆け引きなどせず、アイデア本位で勝負すべきだった。自分の傲慢さが仕事と信用を失くした」と反省しきりです。
今日の心がけ◆誠実な仕事をします
営業マンのKさんは、社内で行なわれたセミナーで、最近顕著【けんちょ】な実績を上げている後輩のAさんの報告を聞き、手紙の大切さを教えられました。
Aさんは800人以上の顧客に、常日頃から年賀状や暑中見舞い等を、指にペンだこができるぐらい出し続けていると言います。
パソコンによるメールのやりとりが当たり前になった今日【こんにち】、改めて手書きの手紙が見直されています。手書きの温かい文字に、感謝の気持ちが表われていたり励まされたりと、心の絆【きずな】が深められる良さがあります。
そのためには、
1すぐに書く、
2分かりやすく書く(文字は読みやすく、簡単明瞭に)、
3礼儀正しく書く(真心を込めて、相手に適するように)、
4書き終えたらすぐポストに入れる、などに配慮することが大切です。
対話や電話での言葉は、記憶に残っても形として残ることはありません。しかし、手紙の文字はいつまでも手元に残ります。送った手紙が後々に繰り返し読まれた際にも、相手を励ましたり心温かくなる手紙を届けたいものです。
今日の心がけ◆心を込めた手紙を書きます
消費者の財布の紐【ひも】が固い中、自社の商品を購入してもらうためには、消費者のニーズを的確につかめるかがカギと言えます。
トーア建設の青山徹【あおやまとおる】社長は、顧客【こきゃく】主義に徹し「顧客の想いをカタチにする住宅会社を全国に創りたい」と、昨年8月に特色のある工務店を全国ネットで結んだ「印象住宅ユニバーサルプロジェクト」を立ち上げました。
その特徴は、
1経験値の少ない顧客の想いをカタチにする、
2住まいは「創る」ものであるという文化を呼びさます、
3きめ細かい定期点検を実施する、です。
工務店を核に設計会社、ライフスタイルショップを地域ごとにネットワーク化し、共有するしくみで体質強化を図ります。また、地産地消【ちさんちしょう】をテーマに、インターネット上で、加盟工務店の特長や地域独特の建築資材なども紹介しています。
消費者が必要とするものの他に、それに付随【ふずい】するものなどへの発想を広げ、総合的にライフワークを充実させるという手もあるようです。自社だけではなく、地域内の他社と連携していくなど、いろいろな方策が、必須な時代でしょう。
今日の心がけ◆地域発展に目を向けます
ノンフィクション作家の柳田邦男【やなぎだくにお】氏が参加した、乳幼児の心の発達にかかわるシンポジウムでのことです。氏は、今時の母親の実態に唖然【あぜん】としたと言います。
それは、小児科医が発表した、ある母子休憩所で母乳を与えていた10人ほどの若い母親たちについてでした。母親全員が、我が子の顔を見ずに黙々と携帯電話のメールに没頭していたというのです。
そうせざるを得ない理由があったり、この事象【じしょう】が現代の母親すべてに当てはまるものではないかもしれません。しかし、乳幼児期は心と体を育てる上で大切な時期です。母親が子供の目を見、抱きしめ、声をかけることが必要なのです。
柳田氏は、母親に絵本の「読み聞かせ」を提唱【ていしょう】しています。時には涙を流し、時にはとびきりの笑顔で、読み聞かせを重ねることが豊かな心を育みます。
自分の都合だけを優先して、目を背【そむ】けていては大切なものが伝えきれず、良好な心も関係も作り上げられません。大事な家族、仲間、助け合うべき周りの人たちに、笑顔を向け声をかけ、ふれあえる環境を築いていきましょう。
今日の心がけ◆ふれあいを大切にします
将棋の第67期名人戦C級2組で、現役最年長棋士の有吉道夫【ありよしみちお】九段(七十三歳)が高﨑一生【たかざきいっせい】四段に勝ち、順位戦残留を決めました。
戦績と年齢の規定により、負ければ引退を余儀なくされる中で、有吉九段は「どこまで頑張り抜けるか、人体実験のつもりでボロボロになるまでやる」との覚
悟で現役にこだわりました。最後の対局となるかもしれない前夜には、妻に「明日は僕の葬式だから・・・」と涙を流したといいます。
背水の陣で臨んだ結果、有吉九段に勝利の女神が微笑みました。同九段は「これまでで一番うれしい。また将棋が指せるから」という熱い思いを隠しません。
経営者でも社員でも、時として「ここが正念場」という状況に追い込まれることがあります。そのような時、自分にある力の全てをもって立ち向かい、<負けてたまるか>という強い気持ちを自身の内に秘めることが大切です。
気力が高まった時、道が拓かれる可能性が大きくなります。ここぞという時に心と体を充実させて、難局を乗り切っていきたいものです。
今日の心がけ◆強い気力を持ちます
小笠原流礼法宗家【そうけ】の小笠原敬承齋【おがさわらけいしょうさい】氏は、学校や企業でビジネスマナー研修を行なっています。氏は、短い時間で相手に好印象を与え、好ましいコミュニケーションを育【はぐく】むためのポイントとして次の3点を挙げています。
一つは、身だしなみや姿勢です。身だしなみの基本として清潔感を保ち、姿勢を整えることを意識して肩の力を抜き、真っ直ぐに美しく立つようにします。
二つ目は、お辞儀などの基本動作です。感謝の気持ちをしっかりと伝えるために、体を戻すまで意識を保ち、相手に感謝と敬意が伝わるように心がけます。
三つ目は、言葉遣いです。「さようでございますか」を「なるほどですね」などと誤用せず、相手に合わせて美しく正しい敬語を使うことで、好印象を与えます。
挨拶や姿勢などの基本動作を身につけるには、普段から意識して取り組むことが肝要です。
マナーとは「心のこもった行動」です。日頃から敬意あふれる姿勢で、人と接していきたいものです。
今日の心がけ◆基本的なマナーを身につけます
輸入商社のK社では、月曜日の朝の何となく沈滞した空気を吹き飛ばすために、小さなイベントを行なっています。
朝礼前に全社員がクジを引き、5、6人のグループに分かれます。そのグループごとに、各人が「先週の自分に起こった良いこと」を、一分間にまとめて披露し合うのです。
個々の内容がたとえ他愛のないことであっても、メンバーがそれを嬉しそうに話すのを聞いているうちに、不思議と自分もいい気持ちになって、やる気も漲【みなぎ】ってくるといいます。
嬉しさと楽しさを共有し、気が上昇したところで仕事をスタートさせると、何となく始めるよりもプラスの効果が現われます。一人ひとりの気の高まりは、相乗効果により部署や会社全体を力強く押し上げていきます。
笑顔や明るい会話は活力の源です。社内の空気を張りのあるものにしていくためにも、「明るさ」をキーワードに独自の趣向を凝らしてみてはいかがでしょう。
今日の心がけ◆元気にスタートを切ります
道を歩いている時、携帯電話でメールを打ちながら歩行する人と、ぶつかりそうになったことはないでしょうか。
携帯電話での話やメールに夢中になり、周囲に注意がいっていないかのような歩行者は、見ていて危険に思えるものです。
携帯電話は、いつでもどこでも相手と連絡がとれる便利なものですが、夢中になり過ぎてしまうと、周囲への配慮が疎【おろそ】かになってしまいます。そのためにトラブルを起こしてしまっては、自分勝手と思われても仕方がありません。
周りのことが目に入らないほど、本人にとっては魅力あるものなのでしょう。しかし利便性の高いものは、プラス面も多くありますが、それらにとらわれるあまり、失ってしまう部分も出てくるものです。
社会を構成する一員として、何より失ってはならないのは、公共の場におけるルールやマナーです。<何をしようと自分の勝手だ>という考えには、それらを逸【いっ】する危うさがあります。公の時と場では、周囲を意識する心を持ちたいものです。
今日の心がけ◆ルールやマナーを再確認します
60歳で生涯に幕を降ろした高畠導宏【たかばたけみちひろ】氏は、プロ野球の打撃コーチとして30年間、選手の指導に当たりました。7つの球団を渡り歩き、30人以上のタイトルホルダーを育て上げた伝説の打撃コーチといわれています。
高畠氏は、選手の心理面の支援にと、大学の通信課程で心理学を学びました。それがきっかけで、50代半ばに一念発起し、通信教育で5年かかって教員免許を取得。最期の1年は、高校教師として教壇に立ち、「甲子園」を目指しました。
選手の育成に長け、また教師としても生徒の心をグッとつかみ離さなかったといわれる高畠氏が、伸びる人物の共通点を次のように述べています。
1素直であること
2好奇心旺盛であること
3忍耐力があり、あきらめないこと
4準備を怠らないこと
5几帳面であること
6気配りができること
7夢を持ち、目標を高く設定することができること、以上の7つです。
中でも、素直であることが、伸びる要素の根底になるでしょう。どんな状況下でも「これが良い」と受け切ることで、素直な心が養われるのです。
今日の心がけ◆「ハイ」と受け切ってみます
講演会のスタッフであるM氏は、受講者に資料を配布するよう講師に頼まれました。資料は講義が始まる前と途中の二回に分けて、配ることとなっていました。
ところがM氏は、後から配る資料を先に受講者に渡してしまったのです。講師からの指摘で間違いだとわかったのは、講義が始まる直前でした。M氏は、すでに行き渡ってしまった、百部ほどの資料を慌てて回収しました。
受講者の協力により、差し替えは順調に進んだものの、結果的に開始時間を数分遅らせてしまうことになりました。会場内がざわつく中で、講師は話を始めるタイミングとテンポを外されてしまったのです。
講演会終了後、M氏は講師より、「君は私の伝えたことを素直に聞いていない。自分本位に曲げて聞いている」と厳しく注意を受けました。
M氏は、<資料配布だけ>と安易に考え、話しを上の空で聞いていたこと、配布する順番を自分勝手に解釈していたことを省【かえり】みました。今後は、相手に正対し素直に話しを聞き入れ、まっすぐ仕事に臨もうと思いを新たにしました。
今日の心がけ●正確な仕事をします
毎日新聞社が主要100社への新卒採用調査を行ないました。選考の最重視点として、「コミュニケーション能力」とした企業が80社でトップとなっています。
企業が伸びるためには、コミュニケーションを図り、風通しをよくしなければなりません。伸びない企業は、そのパイプが詰まっているのです。
ある調査では、コミュニケーションに必要なポイントは、話すが22%に対し、聞く63%とされ、「聴く能力」が最も大切と考えられていることがわかります。
一般に、「聞く」は耳で「きく」ことで、知ることです。「聴く」は耳と目と心を合わせ、全身で相手の発する情報を「きく」ことだと言えます。
仕事の場においては、ただ漫然【まんぜん】と聞くのではなく、「よし聴くぞ」と心を決め、全身を耳にして「聴く」ことが大切です。聴くために集中を高めれば、相手への共感の度合いも増し、うなずきや相槌【あいづち】も自然と出てくるでしょう。
コミュニケーション能力を高めるために、人に対する時には「聴く」意識を強め、それを話すことにも活かしていきましょう。
今日の心がけ◆聴き上手になります
「いらっしゃいませ」「こちらへどうぞ!」。出張中に、駅構内の蕎麦【そば】店に入ったH氏は、笑顔で感じの良い受け答えをする店員に感心しました。
蕎麦の味も接客態度も大変良く、気持ちが晴れやかになったH氏は、出張の疲れも飛んでいくような気分になりました。
そんな中、厨房の奥から店員同士の話し声が聞こえてきました。会話の内容は、同僚の悪口でした。聞き耳を立てたつもりはなかったH氏ですが、自然に聞こえてしまったのです。
その発言の中心となる声の主は、H氏に笑顔で対応をしてくれた店員でした。心地よい接客に感激していただけに、H氏の気落ちは大きなものでした。
お互いに姿は見えなくても、時として、話し声は漏【も】れ聞こえてきます。お客様の前で素晴らしい応対をするように、見えないところでもお客様への配慮を忘れないようにしたいものです。
いつも緊張している必要はありませんが、裏表のない行動に努めましょう。
今日の心がけ◆裏表のない応対をします
経理部門で働くA子さんは新人時代、目前【もくぜん】の事務処理に追われている間に、予定していた入金をすっかり忘れ、15時を過ぎてしまったことがありました。
「どれほど厳しい叱責【しっせき】を受けるだろう」と、恐る恐る報告したA子さんでしたが、上司は「早く気づいてよかったわね。一緒に行きましょう」と言って、外出の準備を手早く始めたのです。二人で銀行へ行くと、窓口担当者の協力もあって事なきを得ました。
A子さんは当時を振り返って、「勇気を出してすぐ報告してよかった。『早く気づいてよかったわね』の一言にどれほど救われたことか」と語ります。
失敗やクレームなどの報告は口が重くなりがちですが、その停滞【ていたい】の末に大きな事故に至ることがあります。スムーズな報告・連絡・相談は、どのような組織にも当てはまる活動推進の要【かなめ】です。
その後、A子さんは悪い情報ほど早めに伝えるよう努めました。先輩となった現在は後輩の報告に受容力を発揮するよう心がけています。
今日の心がけ◆報告は早めにします
「満足したお客様は、最高のセールスパーソンである」といわれます。
企業の商品やサービス、接客などを気に入った人は、そのメリットを、他人にも知らせたいという欲求にかられるそうです。いわゆる「口コミ」です。
口コミは、店や商品を評価する生きた情報源です。消費者からすると、売主【うりぬし】側のPRよりも説得力があり、購買意欲が高められるものでしょう。
繁栄している店や企業には、従業員以外にも、損得抜きに商品などのPRをしてくれる、贔屓【ひいき】のお客様の存在があります。店や企業にとっては最強の味方であり、頼もしいセールスパーソンといえます。
お客様に満足してもらうには、良質の商品を提供することが第一です。加えて、思いがけないサービスや印象に残る対応など、他社・他店にはないプラスアルファも必要でしょう。
一人でも多くのお客様に支援してもらえるよう、「お客様の満足こそ、我が社の繁栄」と心して、日々の業務に励みましょう。
今日の心がけ◆印象に残る対応をします