M工務店では毎年春先に、ツバメがベランダの下に巣を作ります。昔から「繁盛している家にはツバメが巣を作る」といわれるため、M社長は満足気【まんぞくげ】です。
今年の春もツバメが巣を作りにやってきました。子どもが卵から孵【かえ】ると、親ツバメもけたたましく鳴きますが、その声も心地よく聞こえていました。
ところが、昨年までは側壁【そくへき】は清潔だったのですが、今年のツバメは糞【ふん】で壁をことごとく汚していきます。
ツバメがすべて巣立ったとき、壁の清掃に追われたM社長。<いつもギャーギャー鳴いて騒がしい上に、こんなに手間がかかるのなら、来年からは巣が作れないようにしてしまおうか>と思ってしまいました。
これまでは、ツバメが巣を作りに来ると、<今年も幸せを運んできてくれてありがとう>と迎え入れていた気持ちが、コロッと変わってしまったのです。
清掃を終えてふと、今まで運び続けてくれた幸福に対する感謝の心を忘れてしまった自分に気がつき、「何と情けない・・・」と自嘲気味【じちょうぎみ】に笑ったM社長でした。
今日の心がけ◆感謝の心を継続させます
近年、地球温暖化による環境問題が叫ばれ、社会全体における大きなテーマになっています。エコ対策として、様々な工夫がオフイスでもなされています。
「不要となった資料の裏面をメモ用紙として使う」「昼休みには蛍光灯【けいこうとう】を半分だけ点【つ】ける」などは、各社の取り組みとして目にするようになりました。
また「営業車をハイブリッドカーに切り替える」「自動車を使わず、できる限り電車を利用する」などで、直接的に二酸化炭素を削減している企業もあります。
このようなオフイス・エコを進めるには、
1身の回りのものに感謝の心を持つ。
2「自分さえよければ」という独りよがりな考え方を捨てる。
3何ができるか問題意識を持つ。
以上三点がポイントです。
「利用させてもらっている」と自然に感謝し、「少しは我慢しよう」と思い、「業務上のエコ対策はないか」と考えられるようになるかが重要なのです。
職場の一人ひとりが問題意識を持つことが、まずは第一に越えるべきハードルです。「環境問題の改善は自分から」と銘肝し、業務にあたっていきましょう。
今日の心がけ◆エコに対する意識を高めます
Nさんはドライブが趣味です。ある日、念願の新車を購入しました。納車の日は嬉しくて、家族を乗せて近隣をグルグルと走り回ったほどでした。
次の日、少し離れた姉のところへ、新車に乗って会いに行くことにしました。久しぶりに再会し、食事をしていた時のこと、ちょっとしたことから大喧嘩【おおげんか】になってしまったのです。怒りが収【おさ】まらないまま、Nさんは車に乗り込みました。
レストランの駐車場から出て、右折をしようとした際のことです。信号待ちで停車している車と車の間隔【かんかく】が狭かったのですが、「行ってしまえ」と怒りにまかせて右折しました。するとうまく曲がり切れず、接触してしまったのです。
<しまった>と心の中で叫びながら、姉に対する責め心が正常な判断を狂わせたと、Nさんは瞬時に思い至りました。
相手への謝罪、保険会社への連絡、ディーラーへの修理依頼などに追われたNさん。今回の事故を通し、人を責めることは結局、自分に跳ね返ってくるのだと深く反省しました。以来、姉とは仲良くし、安全運転を心がけているそうです。
今日の心がけ◆怒りを抑えます
建築現場で働いて3年目のTさんは、「高くて危険な所が得意」と公言【こうげん】していました。ベテランでも緊張する現場を、Tさんはスイスイとこなしてしまうのです。
ある日、夕闇【ゆうやみ】が迫り一日の作業が終わろうという時、Tさんは足場を移動する際に足を滑らせ、地面に落下してしまいました。肩を強打してしまい、低いうめき声を上げています。
顔面蒼白【がんめんそうはく】で横たわるTさん。皆が駆け寄り助け起こしましたが、腰が抜けたのか立つことができません。その彼を棟梁【とうりょう】は厳しい顔で見下ろしています。
「なにが『高くて危険な所が得意』だ。俺たちは恐くて緊張するんじゃあない。ある程度の緊張が、注意力を増すことを知っているんだよ。俺たち現場作業員は、臆病なくらいがちょうどいいんだ」と怒鳴りつけました。
ビジネスの場において、石橋を叩いて渡る慎重さはプラスに作用することが多いはずです。逆に、慎重さを欠いた行動は、思いもよらぬミスを呼びます。
「軽率な思慮【しりょ】・行動は仕事の敵」と、強く肝【きも】に銘じましょう
今日の心がけ◆慎重に事を運びます
東京都世田谷区にある松蔭神社【しょういんじんじゃ】通り商店街では、「バリアフリーやさしい街づくり」と銘【めい】打ち、新たな施策【しさく】を進めています。
平成18年に「東京都福祉のまちづくり特区モデル事業」に指定されて以降、集中的にバリアフリー環境整備を進めているのです。
商店街は小売店が軒【のき】を並べ、車道より一段高くなっているのが通常ですが、フラットな状態に整備されています。また視覚障害者用に音声案内を流すなど、誰もが安心して買い物のできる商店街となるよう取り組んでます。
大型スーパーに向きがちな顧客の足を呼び戻すため、商店街の再生に向けた関係者のやる気が伝わってきます。その根底【こんてい】に息づくのは、「これまでと同じことをやっていたのでは、商店街に明るい未来はない」という危機感でしょう。
現状の顧客サービスに満足している限り、その企業の未来像は見えてきません。「足りないところはないか」「気づかない点はないか」という意識を常に持ち、定期的に「サービスの更新」を図ることで、お客様の足を獲得したいものです。
今日の心がけ◆魅力あるサービスを提供します
岩手県の吉塚公雄【よしづかきみお】さんは、自生する草だけを飼料とした酪農を実施しています。
また、この牧場では極力、人の手をかけない酪農法に徹しています。ある日の明け方、出産の始まった牛がいました。しかし見守るだけで、誰も手伝いません。
ほどなくして、いとも軽々と仔牛【こうし】が生まれました。母親に体を舐【な】められつつ、仔牛は何度もチャレンジした後に自分でしっかりと立ち上がりました。
この牧場の「手をかけない」経営姿勢は、多くの時間と根気が求められます。しかしそこから生み出された新鮮な製品が、多くの消費者の賛同【さんどう】を得ているのです。
見学に来た地元の小学校の生徒が、「こんなにおいしい牛乳は初めて飲んだ」と、新鮮な牛乳の味に歓声をあげました。
仕事の回転は決していいとはいえないだけに、過ぎた利潤は望めませんが、敢【あ】えてそれを貫いています。利潤にも勝る充足感がそこにはあるからです。
今はスピードが重視される時代だけに、かえって堅実で誠実な仕事が強く求められます。手間隙【てまひま】を惜しむことなく、お客様の満足度を追及していきましょう。
今日の心がけ◆手間を惜しまぬ仕事をします
出張に出たM氏は、ホテルを出発した後、携帯電話を忘れたことに気づきました。次の移動が迫【せま】っていたため、慌ててホテルに連絡して事情を説明したのです。
すると「当方が行き届かず、申し訳ありません。今からお届けにあがります。ご乗車の時刻は何分でしょう」と躊躇のない答えが返ってきました。
M氏はこの反応に痛く感動しました。<自分ならどうしただろうか>と考えると、何のためらいもなく同じような対応ができたかどうか、疑問に思ったからです。
「普段、顧客第一【こきゃくだいいち】などと言っていても、実際に何かをしたことがあっただろうか」と、行動が伴っていない日常の自分を振り返ることができました。
結局、M氏は列車を一本遅らせはしたものの、非常に清々【すがすが】しい思いで次の仕事に臨【のぞ】むこととなりました。「これから会うお客様に、自分も誠心誠意対応させていただこう」と静かに誓ったのです。
必要なことを、ためらわずに実行に移す判断力と柔軟性を養うためにも、相手の幸せを願う仕事を心がけていきたいものです。
今日の心がけ◆良いことは躊躇なく行動に移します
今年2月に「侍戦隊【さむらいせんたい】シンケンジャー」で俳優デビューした松坂桃李【まつざかとおり】さん。その名前は、『史記【しき】』の「桃李もの言わざれど下自【したおのずか】ら蹊【みち】を成【な】す」という一節から採られたという由来があります。
桃【もも】や李【すもも】は何も言わなくても花や実に人が集まり、その下に自然に小道ができるという意味があります。彼の名前には「周りの誰からも慕【した】われ、自然に人が寄ってくる人になってほしい」という父親の願いが込められているのです。
「珍しい名前ですね」とよく言われるそうですが、「愛情がこもっていて自分の名前が好きです。いつか名前どおりの人になりたい」と熱く語ります。
親は生まれてきたわが子に対し、未来の幸福を願います。そして、その子にふさわしい最もよい名前を考えに考えぬいて、名づけるものです。
一人ひとりの名前には、父親や母親の思いがこめられています。私たちも名前の由来を知り、自己がどのような人間であるべきかを、感謝の気持ちとともに考えてみることが大切です。
今日の心がけ◆名前の由来を知ります
褒【ほ】め言葉が次々とパソコンの画面いっぱいに広がる、「ほめられサロン」というサイトがあります。
サイトの画面に名前を入力し、最後に「ほめられたいですか?」との言葉に対して、「はい」をクリックします。すると、大小のハートマークと一緒に、約50種類の褒め言葉が、矢継ぎ早【やつぎばや】に飛び出してくるのです。
これは、大分合同新聞社【おおいたごうどうしんぶんしゃ】グループのネットベンチャー「デジタルバンク」が、「大人へのクリスマスプレゼントに」と、平成20年12月24日に開設したものです。以来、一日10万件ものアクセスがあるほどの人気です。
「〇〇さん。頼りになります」「さすが。センスいいよ」など、少々照れくさい言葉ではあっても、褒められるのは心が癒【いや】され、嫌な気はしないものです。
私たちは、プラスの言葉とマイナスの言葉のどちらを発することが多いでしょうか。人間関係が希薄【きはく】になってきた昨今【さっこん】だからこそ、職場内でお互いに心を向け、励ましの言葉や褒め言葉をかけていきましょう。
今日の心がけ◆褒め言葉を発します
S氏は毎朝、家庭ごみを集積所【しゅうせきじょ】まで持って行きます。氏の住んでいる地域は、月曜日と木曜日が可燃物の日となっています。
ごみ集積所がS氏の家から近いため、ごみを出すついでに周辺の清掃も率先して行ない、早朝の運動として習慣化しています。
ある木曜日の朝の出勤時、集積所の前で目を奪われました。カラスが群がり、ネットの隙間から嘴【くちばし】を入れて、生ごみを食い散らかしているのです。
道行く人は眉【まゆ】をひそめ、鼻を押さえながら急ぎ足で通り過ぎて行きます。S氏はいったん家に戻り、散乱物の後始末を始めました。その時、「不精【ぶしょう】をすると、かえって手間がかかる」と言っていた母親の言葉を思い出したのです。
いつもは野菜や魚などの残りものを新聞紙にくるんで出すのを、その日は「まあいいか」と省【はぶ】いてしまったのです。S氏は、カラスを恨めしく思った自分を反省し、逆に「不精はいけない」と教えてくれたことに感謝したのでした。
面倒なことでも手間を惜しまず、丁寧な仕事を心がけたいものです。
今日の心がけ◆丁寧な仕事を心がけます
Kさんが乗車していた通勤時の満員電車が、発車直後に急ブレーキをかけました。発車間際に駆け込み乗車をした人の鞄【かばん】が、ドアに挟まれたまま発進したからです。その勢いでほとんどの乗客が将棋倒しになりました。
Kさんはつり革につかまり、倒れずに済んだので、怪我人がいないかどうか、まわりの乗客の様子を確認しました。大惨事になってもおかしくはない状況でしたが、大きな怪我をした人がいないことがわかり、安心したといいます。
「発車間際の駆け込み乗車は、危険ですからお止めください」と注意を呼びかけるアナウンスは日々、耳にするところです。しかし、ほとんどの人は無関心に聞き流しているのではないでしょうか。
何気ない小さな行ないが、大きな事故を誘発【ゆうはつ】することがあります。<自身の行為が他人や公の迷惑になることのないよう、自己を律していく必要があるな>とKさんは痛感したのでした。
良きも悪きも、小事【しょうじ】から始まります。「小事を軽んずるなかれ」です。
今日の心がけ◆小さな行ないにも注意を傾けます
職場内の不要なものを処分して整理することは、情報の整理や心の整理につながります。
1整理
2整頓
3清掃
4清潔
5躾【しつけ】
といった「5S」の活動を実行して、実績を上げている企業が増えています。
Eさんが所属する経理部では、「不要なものは捨てよう」というスローガンを徹底することで、「綺麗【きれい】な職場環境である」と他部署から評価されています。
そのような中で、一人だけ「捨てない」と頑張っているMさんがいます。彼は、物を捨てないかわりに、書棚もロッカーも、きっちり整頓されているのです。
Eさんは、Mさんの整頓の仕方を見習うようになってから、不要な物品の購入が減ったと同時に、捨てるものも減少していきました。
今ではEさんに、部署内で不明な物の在りかを聞くと、即座に解決することもあって、同僚から尊敬される存在となっています。
「物」なくして業務は進行しません。必要な物が必要な時に取り出せるよう、整理の励行は大切です。仕事に対する「ゆとり」にもつながっていくのです。
今日の心がけ◆物を整理して心のゆとりを広げます
世界的ピアニストを多く輩出している「ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール」で、上野学園大学3年の辻井伸行【つじいのぶゆき】さんが6月に優勝したニュースは、私たちに爽やかな感動を与えてくれました。
辻井さんは生まれつき全盲【ぜんもう】でした。しかし音の感覚が鋭敏で、4歳から本格的なピアノのレッスンを始めました。7歳で全日本盲学生音楽コンクール・ピアノの部で一位になり、10歳でオーケストラと競演してプロデビューを果たしました。
多くの曲は耳で聴いてすべてを覚えるという辻井さん。「ピアノを弾くのが楽しくて仕方がない」という彼のピアノの音色を、指揮者の佐渡裕【さどゆたか】さんは「天から降ってくるようだ」と高く評価しています。
授賞式直後のインタビューで、「今はなによりも両親に感謝している。プロとしてスタートラインに立ったばかりなので、自分の音楽にさらに磨きをかけたい」と語るように、感謝の心が辻井さんの努力の源になっています。
私たちも感謝の心を努力という音色に変え、職場の中で奏【かな】でたいものです。
今日の心がけ◆感謝の心で仕事に磨きをかけます
会話をするときは、いかに相手に納得をさせるかが重要です。
老人デイサービスに通ってくるAさんに「トイレに行きましょうか」と聞くと、「さっき行ったばかりよ」と答えます。Bさんに「お風呂に入りましょう」と促【うなが】すと、「うちで入ってきたからいいわよ」と断られます。二人は認知症【にんちしょう】のために、言っていることと事実とが違うのです。
介護福祉士【かいごふくしし】の和田行男【わだゆきお】さんは、そのような時、言葉に工夫をします。まず、「お手伝いをお願いします」と声をかけ、トイレや風呂場まで移動してもらいます。Aさんには「お出かけするのでトイレを済ませておきましょう」と促します。
Bさんには「娘さんが、お客さんが来るからきれいにしてねと言っていましたよ」と声をかけます。すると、納得して求めに応じてくれるようになりました。
職場でも、お客様や取引先の立場にたって会話を成立させることがポイントです。どのようなお客様にも納得していただけることを第一に考え、その時その場の状況に応じた言葉遣いや環境作りを心がけたいものです。
今日の心がけ◆相手に伝わる言葉遣いをします
四月に新社会人となった皆さんも半年近くが経過し、社会人としての言葉づかい、お客様との接し方などを学んできたことでしょう。職場の上司や先輩を見習うことで、仕事のしくみを理解して基礎となるものが身に付きつつある頃です。
職場人【しょくばじん】は、その道のプロフェッショナルである自覚が必要です。昨今【さっこん】の、厳しい経済状況の中をたくましく生き抜いていくためには、自己の限界に挑戦していく気概【きがい】をも持つことが重要です。
自己の所属する部や課の目標を理解し、その達成に向かって積極的にチャレンジするのです。<なんとしても社会の役に立ちたい、誰にも負けないぞ>という「高い志」で前進して初めて、自身の限界点も見えてきます。
自己の限界を見据【す】えて仕事に打ち込んでいる皆さんを、周囲の先輩は常に応援してくれるはずです。そのようにして、自己の仕事のスタイルを確立した人は、困難に直面した場合でも、余裕を持って対処できるようになります。
チャレンジなきところに、成果や成長がないことを知りましょう。
今日の心がけ◆自分の限界に挑みます
脚本家の小山薫堂【こやまくんどう】氏は、「人間のやる気の源は、未熟な自分がこれからどれだけ伸びていけるかという"伸びしろ"にある」と言います。
小山氏の多彩な業績に対し、人から「運がいい」と言われるそうですが、もちろん他人には見えない努力あっての結果です。周囲にアンテナを張り、まずは小さなチャンスを自分に引き寄せる意識を持つことから始めているといいます。
私たちは「自分はもう限界だ」「時代に取り残された」と感じた瞬間、伸ばすべき点が明確になったと前向きに考えるべきでしょう。
「限界を超えよう」「時代に追いつこう」という努力の方向性が明らかになるのは、わかりやすい道行きができたと捉えるべきです。
自分の「伸びしろ」は、他人が決めるものではありません。本人の努力に比例してその幅が柔軟に変化するものなのです。
それには自分の可能性を信じることが何より不可欠です。そして自分の周囲に鋭敏【えいびん】なアンテナを張り、チャンスを自分に引き寄せる姿勢を保っていきましょう。
今日の心がけ◆自分を信じて努力を重ねましょう
会社は、自社に利益をもたらし、社員やユーザーに満足感を与える組織です。それに伴い、社員は経営理念など、自社の意志を共有することが大切です。
K氏が営業先のA社を訪問した際、「御社の理念の意味を教えて下さい」と尋ねると、「うちの会社、こういう固いの好きなんですよ」という曖昧【あいまい】な返答を受けました。氏は、<社内の意志統一は大丈夫かな>と心配になったといいます。
後日、B社を訪ねて同様の質問をすると、「その訳はですね!」と、若手社員が自分の言葉で一所懸命に語ってくれました。説明が上手とはいえませんでしたが、<B社の熱意が伝わった>と強く共鳴できたとK氏は言います。
経営理念や社是・社訓は、自分の言葉で説明できるようにすることが、仕事に取り組む姿勢にも現われると実感したK氏でした。
朝礼などで経営理念や社是・社訓を唱和し、会社の意志を全社的に共有することは大切です。さらに、経営者自らが研修等を通して、会社の「意志」と社員の「意志」を一体化させる工夫をしていくことが、社の発展につながるのです。
今日の心がけ◆会社の意志を共有しましょう
嬉しい時には笑い、悲しい時には泣く。それが人としての自然な感情表現ですが、人間の歴史はさらにそれを上回る表現の仕方を身に付けました。
例えば、ドイツには「にもかかわらずの笑い」という言葉があります。<厳しいにもかかわらず><嫌であるにもかかわらず>笑うことが大切だというのです。
新しい職場に異動したAさんは、早く仕事を覚えなければと、張り切って仕事に臨んでいました。しかし叱責【しっせき】続きの毎日に、いつしか気力も萎【な】え始めたのです。
そんな時、上司から「無理にでも笑顔を作ることが、仕事を早く覚えるコツだ」と教えられました。「暗く沈んだ顔でいては、『こんな人間とは一緒にやっていられない』と、仕事のほうから逃げていくぞ」と脅かされたのです。
自分の表情から笑顔が消えていたことに気づいたAさん。それからは、きつい時ほど笑うことを心がけました。すると仕事への意欲や集中力が高まっていったのです。Aさんは笑いの必要性を身をもって実感しました。
苦しい時や辛い時こそ、「にもかかわらず」笑ってみようではありませんか。
今日の心がけ◆困難な時こそ笑いましょう
アメリカに「亭主を早死にさせる十カ条」という格言があります。
1.亭主はできる限り肥らせなさい。
2.家では手伝いなどさせず、じっと座らせていなさい。
3.酒をドンドン飲ませなさい。
4.塩辛いものを食べさせなさい。
5.動物性脂肪が含まれた食品は好きなだけ食べさせなさい。
6.コーヒーや甘い物はいくらでも与えなさい。
7.煙草を好きなだけ吸わせなさい。
8.夜遅くまでテレビを観させなさい。
9.休暇旅行など計画させないようにしなさい。
10.絶えず夫への愚痴や文句を言い聞かせ続けなさい。
想像するだけで空恐ろしい十カ条です。もちろん逆説的に述べており、「これらを行なわなければ、夫はいつまでも元気でいられますよ」という警句です。
私たち社会人には、長い人生の中で染みついてしまった、負の「生活習慣」があります。しかしそれらは、油断していると「生活習慣病」となり、病に転化する恐れがあります。そうなってから元に差し戻すのは、大変なことです。
自身の毎日を振り返り、悪しき習慣は病気に変ずる前に除去したいものです。
今日の心がけ◆悪しき生活からの脱却を図ります
何か新しいことをスタートさせる時は、自然と心躍ります。仕事でも趣味でも、最初の頃はただひたむきに没頭【ぼっとう】できるものです。
この"ひたむきに"という心の持ち方は、ややもすると忘れてしまいがちな思いではないでしょうか。
たとえば職場で、「この仕事は自分に向いていない」「会社の体制が自分には合わない」と嘆【なげ】いている人がいます。しかし、そのような生き方に対して、日本を代表する鮨【すし】職人の小野二郎【おのじろう】氏は言います。
「自分に合う仕事なんかないですよ。仕事に自分が合わせなきゃいけないでしょう。だって、まるで経験のない人が、あれもダメ、これもできないと言っていたら、やる仕事なんてありませんよ」
氏は「与えられた仕事が天職だと思って一生懸命修行すれば、誰でも一人前になれる」と檄【げき】を飛ばします。
自分の仕事に取り組む姿勢を、改めて見つめなおしてみようではありませんか。
今日の心がけ◆懸命に仕事をしましょう
かつて将棋界初の七冠を達成し、勝率7割を誇る羽生善治【はぶよしはる】名人。来年のバンクーバー五輪を目指すアスリートたちに、「羽生流・勝利の掟」を講義しました。
テーマは「決断力」です。以下の勝つための五ヵ条を、選手たちに贈りました。
1直感力―長く考えた答えが正しいとは限らない。これまでの経験などを基に、直感を最優先する。
2大局観―先入観にとらわれず、広い視野で物事を判断する。
3見切り力―必要かどうか分からないものは思い切って捨ててみる。
4忘却力―失敗したら原因を反省するが、その後は切り替える。
5裏切らない―自分自身や周囲を裏切っていないか。やれることは全部やったという自信があれば、胸を張って決断し、期待に応えられる。
「気づいた時は、その事を成し遂げる最高のチャンス」です。そして、その一瞬にこそ、自身の決断力が試されることとなるでしょう。
"ここぞ"という場面で、しっかりと決断できる心を育んでいきたいものです。
今日の心がけ◆気づきを大切にしましょう
Kさんが九州に出張した時のことです。残暑が厳しく、最寄り駅からホテルまではわずか数分の道のりでしたが、汗だくでホテルのフロントに到着しました。
汗を拭きながら手続きを終えると、フロント係の女性から「K様、ただいま部屋の確認をしておりますので、少々お待ちください」と告げられました。
早くチェックインをしてシャワーを浴びたいと思っていると、先ほどの女性が事務所から戻って来ました。そして、「冷たいウーロン茶です。よろしかったらお召し上がりください」と、Kさんにカップを渡したのです。
そのカップには、「K様への力水です」という文字が、手書きで黒々と書かれていました。Kさんは思ってもいなかった心づかいが嬉しく、その後、出張時にはこのホテルを定宿【じょうやど】にしました。
普通に仕事をしていれば、普通の仕事しかできません。Kさんは、相手の様子を敏感に察知し、対応をすることの大切さを学んだのです。
ひと味違った工夫を編み出すために、心と頭を鋭敏にさせていきましょう。
今日の心がけ◆ちょっとした心づかいを大切にしましょう
長寿の教育学者として知られ、今も現役で活躍する曻地三郎【しょうちさぶろう】さんは御年【おんとし】103歳。その健康法は、毎日の習慣にあるといいます。
3歳の時、母親に教えられた習慣が「食事を一口30回かむこと」でした。消化不良や食べ過ぎを未然に防ぎ、現在まで一貫して習慣化しているそうです。
その他に、「棒を使った5分間の体操」や、背筋を曲げないために、「硬いマットで寝る」、さらに「寒水摩擦【かんすいまさつ】」や「新聞を四紙見る」などを挙げています。
「健康法に王道はありません。体に良い平凡な生活習慣を、コツコツと続けることです」と語る曻地さん。国内のみならず世界各地で精力的な講演活動を続けています。その体力の元が、日々の習慣の蓄積【ちくせき】にあるのです。
私たちも改めて、自分の健康法について考えてみたいものです。自分に合った健康法を選んだならば、継続してやってみることが何より大切です。一週間程度で終わってしまっては、<自分はダメだ>と、むしろ心の不健康につながります。
コツコツと地道に続けることが、心と体の健康に通じると心したいものです。
今日の心がけ◆健康のための習慣づけをしましょう
「苦しい」と感じた時、それでもなお前を向いて進むための秘訣は、明確な夢や目標を持つことです。
秋元綱介【あきもとこうすけ】氏は、46歳から筋力トレーニングを始め、63歳の時に、ボディービル世界大会・60歳以上の部で初優勝。その後、4連覇を成し遂げました。
「トレーニングは苦しいけれど、理想の肉体を築き上げる夢が捨てられなくて」と秋元氏は言います。75歳になった今も、理想の肉体を目指してトレーニングを続けています。
その強さの秘訣は「夢とは、果たすものではなく追い続けるもの。夢をあきらめた時から老化は始まる」という持論があるからです。氏の限りない思いが、行動を起こさせるのです。
掲げた目標や夢を「必ず成し遂げる」という強い意志は、物事を推進する大きな原動力となります。苦しくとも一度決めた目標や夢をあきらめずに追い続けることで、物事は成長・発展していくのです。
今日の心がけ◆明確な目標を掲げましょう
長期出張の多いCさんが会社に戻ると、いつも机の上が書類で山のようになっています。その処理を後回しにする日々が、しばらく続いていました。
ある日Cさんは、一緒に出張した上司から助言を受けました。「君の先輩は、出張がない時はいつも早く出勤しているぞ。君も出張がない時には、先輩よりも早く出てくるように心がけたほうがいい」と言うのです。
Cさんは、<たまに帰ってきた時ぐらい、ゆっくりしたい>と思っていました。しかし、<やるのは今しかない>と決心して、早朝の出勤を始め、仕事の段取りをするようになりました。
一ヵ月ほど続けていると、ある変化が起こりました。人と会う時や仕事を進める時に、スムーズに事が運ぶのです。また、今までは失敗すると落ち込む時間が長かったのが、即座に気持ちを前向きに切り替えられるようになりました。
時間がないことを理由に、物事を悲観的に捉【とら】えてきたCさん。決心して取り組んだ時から、環境が変わっていったのです。
今日の心がけ◆時間を有効に使いましょう
食品メーカーに勤務して9年のA子さん。受注【じゅちゅう】係長として3年が経ち、仕事にも充実感を覚えています。しかし秋が近づくと、憂鬱【ゆううつ】な気分に襲われていました。
目玉商品の注文が殺到する秋口は、受注責任者として3ヵ月間、後輩をはじめ大勢の社員を指揮していかなくてはなりません。動きが鈍【にぶ】く、勘違いも多く、ミスを報告しないメンバーに、つい言葉を荒げてしまうのでした。
しだいに自分が嫌になり、体調を崩すというパターンを、毎年繰り返してきたのです。彼女は思い切って、ビジネスでは大先輩の父親に相談しました。
すると次の言葉が返ってきました。「自分だけの責任を果たすことに熱中すると、それは美しく見えるが利己主義だ。お客様の役に立ち、社会に貢献してこその責任だろう?お客様の立場になれば、同僚には思いやり、仕事には真心が込められる。改善や成功への知恵は、そういう時にしか出ないものだよ」
目から鱗【うろこ】が落ちたA子さん。受注した商品をおいしく食べてくださるお客様のイメージを脳裏に焼き付け、今日も張り切って繁忙【はんぼう】期の仕事をこなしています。
今日の心がけ◆お客様の喜びをわが喜びとしましょう
企業はお客様に対して、より良い商品やサービスの提供に向け、最大限の努力を重ねています。そのために、念入りに準備した当初の企画や段取りを、途中で変更する場合もあります。
準備にかけた時間や経費などを考えれば、白紙に戻してやり直すにはリスクも伴【ともな】います。通信販売大手「ジャパネットたかた」の高田明【たかたあきら】社長は、生放送のテレビ通販番組で紹介する商品の変更を、本番十分前でも実施します。
例えば、布団乾燥機【ふとんかんそうき】を紹介する日が快晴だった場合、デジタルカメラに差し替えます。そして、「みなさーん、こんないい天気の日は公園にでも行って、お子さんの写真を撮りましょう」とデジカメをプッシュするのです。
高田社長が変更と判断すれば、スタッフが一丸となって動きます。その判断基準は、お客様のために「今、最も紹介すべき商品」を選ぶということです。
何かを変えることによって、<もっと良くなる>と判断したならば、先に延ばしては機を逃してしまいます。喜んですぐ仕事に向き合うことが必要です。
今日の心がけ◆臨機応変に対処しましょう
人の役に立つことをすると満足感が得られ、気持ちは前向きになります。精神的にも肉体的にもグンと力が出て、仕事への取り組みも積極的になります。
「一日に一つだけ、役に立つことをしよう」と心に決めると、普段、気づかないことにも気づくようになり、それを実行する場面が現われます。
ゴミを拾おうと意識していると、道端だけでなく社内にもゴミが落ちていることに気づいたり、電車内でお年寄りに席を譲ろうと思っていると、立っている高齢者の姿が目にとまったりします。
人の役に立つとは、大きなことではなくても、身の回りにたくさんあります。相手の話をよく聞く、失敗した人を責めない、「ありがとう」と声をかける、水や電気を無駄に使わないなどです。
いろいろやろうと欲張らずに、「一つだけ」と決めて取りかかれば、負担なくできるものです。多くの人が、一日に一つ良い行ないをすれば、私たちの職場や社会は、もっと過ごしやすくなることでしょう。
今日の心がけ◆一日に一つ良いことをしましょう