「ものづくりは人が最大の財産だ」という六花亭【ろっかてい】製菓社長の小田豊【おだゆたか】氏は、全従業員の名前と顔がほぼわかるといいます。
氏は従業員1300人の顔と名前を履歴書【りれきしょ】等【とう】に目を通すことで一致させ、「〇〇さん、おはよう」と挨拶し、社内で安心感を共有できる工夫をしています。
同社では日刊の社内新聞を20年以上無休で発行し、氏はその編集長も務めます。そのために、全従業員が仕事で感じたことや提案、私生活の話題などをつづった「一日一情報」のメール約700通を、毎朝チェックしています。
氏は従業員からの情報を「宝の山」と捉【とら】えます。従業員が何を考え、悩み、望んでいるのか、またお客様の声はどうかなどをつかむことができるといいます。
こうした日々の積み重ねが、社長と従業員、さらには従業員同士の絆【きずな】を太くし、社内に一体感が生み出されているのです。
「従業員は家族」との考えが氏の根底【こんてい】にはあります。仕事をする者同士が名前をしっかりと覚え、絆を深めたいものです。
今日の心がけ◆名前を覚えて絆を深めます
人の脳の信号から意図【いと】を読み取ってロボットを操【あやつ】る「ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)」という技術が開発され、進みたい方向を頭の中で思うだけで操縦できる「電動車いす」が完成しました。
頭で思うだけで、95%以上の精度で前進や旋回【せんかい】が可能なこの車いすは、その速度と認識精度の高さでは世界最高水準とのことです。
機械の操作が「省略化」されることは利便性の向上であり、それが福祉関係に活【い】かされることは喜ばしいことです。しかし、たとえば言葉などは、逆に省略が過ぎるとマイナスが生じる部分でしょう。
特に直接お客様に接する仕事で、サービスや商品内容の説明を求められる場合などは、より正確な言葉の扱いが必要です。
明瞭・簡潔に話そうとすること自体は悪いことではありません。問題は、簡潔に話そうとするあまりに「省略化」が過ぎ、重要な部分が抜け落ちてしまうことです。まずは、正確な言葉遣いを心がけたいものです。
今日の心がけ◆はっきりと正確に話します
先ごろ定年退職を迎えたS氏の隣家【りんか】で、家の壁の塗装作業が始まりました。
業者が挨拶に回って来て、「ご迷惑をおかけしないように最善の努力をしますので、どうぞよろしくお願いします」とタオルを置いていきました。
翌日、業者が足場を組みにきたものの、次の日から二日間にわたって姿が見えません。<雨が降っているわけでもないのに、いったいどうしたのだろう>と、他人事【ひとごと】ながらS氏は気になってしかたがありません。
ようやく四日目から塗装作業がスタートしたため、S氏は責任者に話しかけてみました。「おととい、昨日と作業をされませんでしたが、何か都合の悪いことがあったのですか?」という問いに、責任者は恐縮【きょうしゅく】した様子で答えました。
「二日間とも、朝から東風が吹いていたんです。このまま作業を進めると、お宅様にペンキの臭いが及ぶことがわかっていましたので取りやめました」
業者の挨拶は、単なる社交辞令だと思っていたS氏。近隣に対しても気遣う姿勢に感服し、人に会うたびこの話をしているそうです。
今日の心がけ◆周囲への気遣いを実行します
Nさんは帰宅途中に、夕食の材料を買うためスーパーに立ち寄りました。夕方の込み合う時間帯ということもあって、店内はとても混雑していました。
レジ精算の順番がなかなか進まずイライラしていると、前にいる小学校低学年の女の子が、財布の中のお金を一所懸命に数えているのに気づきました。
レジの前まで来ると、女の子は改めてお金を数えつつ、間違えないようにていねいに取り出しています。お金を出してお釣りを受け取ると、今度はレシートと見比べながら戻ってきたお金の数を確認しています。
おそらく家で、「お金は大切なものだ」ということを教えられているのだろうと、その行動からNさんは想像しました。
お釣りを受け取っても、ポケットに無造作に入れ、レシートなどはろくに確認もせずに捨てていたNさん。女の子の行為に深く感じ入りました。
人が生きていく上で、お金という存在は不可欠です。欠かすことができないものだからこそ大切に扱っていきたいものです。
今日の心がけ◆お金を大切に扱います
西洋と東洋の医学を融合【ゆうごう】させ、副作用のない根治療法【こんちりょうほう】を視野に新薬を開発する薬剤師のYさん。高校時代の理科の授業が、薬学の世界へ背中を押しました。
Yさんは幼少期から皮膚の病があり、薬剤師の母は副作用の強いステロイドに頼らず、漢方による長期的な体質改善の処方を施【ほどこ】しました。そんな母に感謝はしていたものの、日々つきあってきた薬には嫌気【いやけ】を感じていました。
ある日、「一枚の紙の中に雲や太陽が見えますか」というテーマの授業がありました。理科の先生は、「紙の原料は樹木で、樹木は水によって育ちます。その水は雨がもたらし、雨を降らせるのは雲で、雲をつくるのは太陽です」と説きました。
Yさんは「人間も含めて、生あるものは、色々な関わりをもって生きている」ことに感動し、<自分も母や薬のおかげで生かされている>と気づいたのです。
授業の中で「祖先からの命の連鎖【れんさ】によって生かされている」との先生のメッセージに、さらに心打たれたYさん。<自分も両親に感謝し、薬を必要とする子供たちの助けとなりたい>という使命感が高まったのでした。
今日の心がけ◆生かされていることに感謝します
中国に「過【あやま】ちては則【すなわ】ち改むるに憚【はばか】ること勿【なか】れ」という格言があります。
「自分が誤っていると悟【さと】ったならば、躊躇【ちゅうちょ】なく即座に改めるべきである。体面や思惑によって、改めることを恐れてはならない」という意味です。
人は失敗した時、なんとか弁解しようとしたり、取り繕【つくろ】うような行動を取ってしまいがちです。また自分の欠点に気づいても、それを正そうとはせず、小さな面子【めんつ】にこだわり、自説を曲げないなどの頑固さを見せてしまいます。
失敗や過ちがあった場合、周囲に知られないよう隠して処理しようとするのも人の性【さが】です。しかし、このような態度は、結局は自分の器を小さくし、人間関係がスムーズに運ばない要因にもなってしまいます。
しかし、間違いのない人生はありません。「間違った時が絶好の改善のチャンス」と考えましょう。率直に非を認め、自己研鑽【じこけんさん】に積極的に取り組むのです。
失敗した時にこそ、その人物の度量が窺【うか】がい知れます。改むることを憚らない態度に、周囲は強い信頼や期待を寄せるものなのです。
今日の心がけ◆素直に改めます
「野球は大好きだけれどサッカーは興味がない」というAさん。たまにサッカーの試合をテレビ観戦しても、その面白さがわかりませんでした。
ある時、職場の同僚からサッカーの練習をしようとの誘いがありました。そこで、<汗を流す程度に運動でもしようか>との思いで参加することにしました。
実際に練習に参加するようになると、意外にも楽しく、テレビのサッカー中継を見ても、その面白さが理解できるようになりました。さらに少人数で行なうフットサルの試合にも参加し、観戦もプレーも両方楽しめるようになりました。
それと共に、メンバー同士によるカバー、試合展開を予測しながらの瞬時の判断力、視野を広く持ってのプレーなど、仕事の中でも応用がきくことがたくさんあることがわかりました。
実際に行なうことで、その良さが初めてわかると実感したAさん。何事にも「学び」が潜【ひそ】んでいることを知り、苦手なことに進んで挑戦するようになったのです。未知の物事を知るには、まずやってみることが一番の近道と知りましょう。
今日の心がけ◆苦手なことに挑戦しまします
シチズン平和時計で最も優れた技能を持つスーパーマイスターの橋場悦子【はしばえつこ】氏。高級腕時計「カンパノラ」の限定モデルを世に送った喜びをこう語ります。
「日本が誇る新旧の技と美の粋【すい】を集めた一品を手がけられ、作業中は緊張と同時にワクワクしました。時計は作り手にも楽しさを与えてくれます」
極小【きょくしょう】の部品を慎重に組み立てて腕時計を作り上げるには、相当な緊張が強いられるはずです。それをワクワクしながらこなし、楽しさを感じながら完成させたという氏の言葉には、職場人が目指すべき仕事の本質が語られています。
意義を自覚し誇りを持って働くのと、嫌々ながらに働くのでは、自【おの】ずと大きな差が出ます。心の差は出来映えの差となり、お客様にもハッキリ伝わるでしょう。
「つくり手の心が込められていない時計を、誰が欲しいと思うでしょうか」とも語る橋場氏。技術と心を両立させてこそ、一流品が完成するのです。
目の前の仕事に意義を見いだせば、心を込めて働くことができます。自分はなぜこの職場にいるのかを確認し、仕事に己の魂を注入していきましょう。
今日の心がけ◆仕事に心を込めます
英文学者でお茶の水女子大学名誉教授の外山滋比古【とやましげひこ】氏は、思考を生み出す上で大切なのは「寝させる」ことだと言います。
氏は、「長い間、心の中であたためられていたものには、不思議な力がある。寝させていたテーマは、目をさますとたいへんな活動をする」と言うのです。
<いいアイデアだ>と思っても、一晩たって見直してみると、それほどのことはなかったということがあります。
逆に一定の期間、寝させることによって新たな気づきやアイデアが生まれ、さらにより良いものに結びついたというケースもあります。大事なことは、物事を仕上げるためには、それを熟成させる時間を持つということでしょう。
中には、すぐには報われない企画・計画もあります。そんな場合でも、結論を急がず、焦らず取り組んでいけば、やがて日の目を見る時機が来るものです。
一つのことが仕上がったからといって安心せず、しばらく「寝させる」ことを習慣化したいものです。そうした中から確実な仕事が生まれるのです。
今日の心がけ◆念には念を入れます
私たちは仕事によって報酬を得る、その道のプロフェッショナルです。IT企業のI氏は、「プロとは、自らの職務に専門的な知識・技能を有し、強い自負心・探究心のもと社会的責任を全うすること」と定義します。
氏は企業経営に関して「問題を解決することの繰り返しが経営です。その先には感動がある。感動がなければ、自己満足で終わってしまう。そして、感動の先に社会貢献がある」と考えます。この土台がプロ意識だというのです。
広く社会で役に立つものでなければ、本当のプロの仕事とはいえません。私たちは自社が存在する意味、自分が受け持つ仕事の意味を、よく理解する必要があるでしょう。
そうした理解が、社会的責任の自覚も同時に生んでいくのです。それは自らに与えられた仕事の影響・責任・貢献がどこにあるのかを知ることでもあります。
一人ひとりが社会的責任を自覚し、仕事のプロに徹することで、人や社会や地域に貢献することができると心得ましょう。
今日の心がけ◆社会的責任を自覚します
新聞を読みながら食事をしていたK氏は、ある投稿記事に目を留めました。
「作物には口先だけのウソやごまかしは通用せず、誠実さが求められます。出荷までこつこつと手作業です。豊作だと驚くほどの安価【あんか】になり、値崩れを防ぐために自ら出荷調整をしたり、出荷をあきらめたりする時もあります」
そこで、スーパーで買ってきたおにぎりの包装を、K氏はしげしげと眺【なが】めてみました。そのラベルには栄養素として「蛋白質【たんぱくしつ】」「脂質【ししつ】」「炭水化物」「ナトリウム」のパーセントが記され、原材料として「塩飯【しおめし】」「胡麻【ごま】入り昆布佃煮【つくだに】」「のり」などの名も細かく明記されていました。
ラベルを見ながら、<原材料を作る人あり、加工する人あり、運ぶ人あり、そして売る店があり。だからこそ今、自分が食べることができ、栄養を得ることができるんだ>と実感しました。K氏は食事のありがたさを、強く噛【か】み締【し】めたのです。
大自然の恵みと多くの人々の働きが、一つの食事には込められています。私たちに生きる力を与えてくれる日々の食事に、深い感謝の念を持ちたいものです。
今日の心がけ◆感謝して食事をします
企業や店舗を創業する際には、そこに明確な意志があります。時代がどんなに移り変わっても、その企業の存在価値の基本となる意志に変わりはありません。
昭和30年代のある日、小さなおでん屋内で、お客様の一人から「夏はどうするのですか。暑くてたまらないでしょう」との問いかけがありました。
当時の女性店主は、つつましやかに微笑【びしょう】しながら「夏もおでんですよ。うちは、おでん屋ですから」と答えたといいます。お客様たちはこの言葉に感激し、連日おでん屋に通い、夏は汗まみれになっておでんを食べ、酒を飲んだそうです。
かつての日本は、こうした「商いの精神」がお店を支えていました。しかし今日ではどうでしょう。自社の都合や損得を優先させて、「お客様が求めているものは何か」という部分を軽視するような風潮はないでしょうか。
「おでん屋ですから」というさりげない言葉に、何を為すべきかという強い意志が表われています。創業時の純粋な企業理念を忘れ、御都合主義【ごつごうしゅぎ】で営業すれば、お客様は離れていきます。ぐらつくことのない確固たる姿勢を堅持しましょう。
今日の心がけ◆創業理念に立ち返ります
日本のジャズシーンの第一線で活躍する、サックスプレーヤーの坂田明【さかたあきら】さん。ミジンコ研究の第一人者として、水産学の分野でも活躍しています。
広島県呉市で生まれた坂田さんは、船乗りを目指し、海員免許を取得するために広島大学水畜産学部(現・生物生産学部)へ進学しました。ところが、免許を取るためのコースがなくなり、目標を見失って二年間留年をしてしまいました。
そんなある日、坂田さんはサックス奏者として名高いジョン・コルトレーンの公演を聴きに行きました。2時間の激しいステージ後も、楽屋でサックスを演奏し続ける姿を見た坂田さんは、彼の真摯【しんし】な取り組みに感銘を受けました。
この出会いが坂田さんの転機でした。挫折から立ち直るきっかけは人それぞれですが、その一つに人との出会いがあります。自分の殻に閉じこもってばかりでは、出会いのチャンスにも恵まれません。
うまく事が運ばない時こそ、人や物との新たなる出会いがインパクトとなり得ます。そのためにも、まずは行動してみる。それが前進のための第一歩なのです。
今日の心がけ◆うまくいかない時こそ行動します
Sさんは、駄々【だだ】をこねてオモチャをねだっている男の子が、母親から「いくつも持っているでしょう」と大きな声で叱られている場面に遭遇【そうぐう】しました。
このような光景を見た時、<人前で騒いでみっともない>、あるいは<叱られてかわいそう>と感じたりするでしょう。
しかしこの時、Sさんは「男の子はオモチャが欲しいのではなく、母親からの愛情を求めているのではないか。母親はそのことをわかりつつも、愛情表現で叱っているのでは」と視点を変えてみました。
すると、二人の様子が素敵な親子愛のシーンに感じられたのでした。
私たちは、固定観念だけで、相手の行動や状況を判断してしまいがちです。頑【かたく】なな判断は、新しいチャンスを掴【つか】み損ねたり、感動や感激の場をいたずらに逃すことにもなり得ます。
職場においても、いつもとは少し視点を変えて周囲を見渡してみましょう。今まで見ることのできなかった、素敵なシーンに出合えるかもしれません。
今日の心がけ◆視点を変えて物事を見ます
近年、路上喫煙を禁止する条例を出す自治体が多くありますが、煙草【たばこ】の吸殻のポイ捨てや空き缶の放り投げを、いまだに目にすることがあります。
東京の下町で会社を経営するO社長は、毎朝、街の清掃に取り組んでいます。
ある日、出勤途中のBさんが清掃中のO氏に「ごくろうさまです」と声をかけようとした時、O氏がゴミにある言葉をつぶやいていることに驚きました。O氏はゴミを拾いながら、「ありがとう、ありがとう」と言っているのです。
Bさんは「どうして、ありがとうなのですか?」と聞くと、「以前は体調が悪かったのですが、毎朝清掃をするようになってから体調がよくなり、ゴミを見るとありがたく思えるのです」と言います。Bさんはハッとしました。
ポイ捨て行為などには責め心を抱いてしまいがちですが、それさえも感謝の心に変えて清掃に励むO氏に、Bさんは深く感動したのでした。
人の行為を責めるばかりではなく、O氏のように感謝の心で温かく包みこみながら、自己の成長を図っていきたいものです。
今日の心がけ◆責め心を持たず感謝の心で接します
活力朝礼の進行者は、朝礼がスムーズに進むよう、様々な役割を担【にな】います。
誰よりも早く会場設営をし、他の役割の人たちと、リハーサルや段取り確認をするなどの事前準備があります。本番では、進行の速度、朝礼後の後始末など、役目は多岐にわたります。
それらの作業を、最小限の動きで最大限の効果が得られるように、工夫や努力をしていく姿勢が、自身の仕事を改善していく上にも役立ちます。
また朝礼スタート時、開口一番の進行者の力強くハッキリとした発声は、後に続く人たちの活力を引き出す大切な要素なのです。
参加者の中には、仕事が思うようにいかず落ち込みがちな人や、出がけに家族と喧嘩【けんか】をして、気分が晴れないままに出社した人もいるかもしれません。
そのような人たちに強烈な「やる気」の元を与え、一人残らず完全燃焼できるように気を注入していくことが、朝礼における進行者の重要な使命であると心しましょう。
今日の心がけ◆活気のある進行をします
Aさんが帰宅途中、電車に乗っていた時のことです。優先席に音楽プレイヤーを聞きながら座っている若者がいました。しかしその前には、背を曲げた高齢の女性が手すりを握りしめていたのです。
若者は席を譲るどころか、目を閉じたまま音楽に没頭しています。その様子を見ていたAさんは、<どうして席を譲らないのだろう>と思うと同時に、若者に声をかける勇気もない自分に苛立ちを感じていました。
電車は次の駅に到着し、若者は席を立って電車を降りて行きました。その様子を眺めていたAさんは、若者の片足が義足であると気づいたのです。
<席を譲るべきだ>と責め心でいたAさんは、複雑な思いを感じました。そして、人を見た目で即断することに恐さを覚えました。
それからのAさんは、相手の話をよく聞き、ただ一点だけを見て判断することのないように心がけるようになりました。
人や物事を一点のみで判断せず、複合的な見方に留意したいものです。
今日の心がけ◆複合的な判断をします
浮き沈みの激しい芸能界で、50年以上も第一線で活躍する伊東四郎【いとうしろう】さんは、次男の孝明【たかあき】さんが芸能界に入る時に、
1スタッフと仲良くしない、
2リハーサルでは台本を持たない、
3時間を厳守する、という三つの約束をかわしました。
1の「スタッフと仲良くしない」に関しては、「芸能界は大勢のスタッフのお陰で成功する。そのような尊敬すべき人たちと、馴れ馴れしくするのは失礼である」と伊東さんは強調します。
2の「リハーサルでは台本を持たない」ことは、「台本を見ながらリハーサルに臨めば、監督の目線と番組全体のイメージがわからなくなる」との理由です。
台本が手元にあると、相手役とも台詞のやり取りや間の取り方がわからなくなるという欠点があるのです。3の「時間厳守」は、社会人としての基本です。
三点に共通するのは、必要に応じた緊張感を維持することの大切さです。「いざ」という時に実力通りの力を発揮するためにも、日頃から緊張感を保つ姿勢を習慣化したいものです。
今日の心がけ◆緊張感をもって仕事に臨みます
ニューヨーク観光をしていたAさんが、エンパイア・ステート・ビルディングを訪れた際、土産【みやげ】売り場近くにあるコインの圧延機【あつえんき】に目を留めました。
1セントコインをつぶして、ビルのデザインを刻印してくれるというもので、Aさんも一つ作ることにしました。すると、一緒にいた友人が「日本では、自国の硬貨でこういう商売をすると違法なんだよ」と教えてくれたのです。
帰国後、Aさんがさっそく調べたところ、たしかに日本で硬貨を故意に傷つけると、貨幣損傷等取締法【かへいそんしょうとうとりしまりほう】により「1年以下の懲役、または20万円以下の罰金」に処せられることがわかりました。
お金というものは神聖な存在です。お金を抜きにして私たちの生活は成り立ちませんし、企業活動においてもお金がベースになります。金額の大小にかかわらず、お金に対する畏敬【いけい】の念は人として失なってはならないものです。
「一円を笑うものは一円に泣く」という諺【ことわざ】があるように、<わずかなお金でも大切に扱う>という、感謝の念を忘れずにいたいものです。
今日の心がけ◆一円をも尊重します
がんを克服し、日本の百名山の登山を続けていた久留宮康之【くるみややすゆき】さん。今年の6月に百山目の筑波山【つくばさん】に登り、全山の登頂を達成しました。
久留宮さんは、40数年前に職場の同僚らと登山を楽しむ中で百名山を知り、全山登頂を目標に二十七山まで登りました。
しかし、平成3年に直腸がんを宣告され、手術は成功したものの人工肛門の装着とがん再発の恐れから、「登山はもう無理だ」と暗い気持ちが続いていました。
平成8年、周囲から「また、新しい山に登って」と励まされ、主治医からも「同じ境遇の人を勇気づけてください」と言われ、心を燃え立たせました。
人工肛門による精神的・肉体的な負担はあったものの、平成13年から登山を再開。山頂で迎えた日の出の美しさに感動と意欲を取り戻し、持ち前の頑張りを継続させ、ついに百名山登頂の夢を実現させたのでした。
「多くの人の支えで、ここまで来ることができました」と感謝の心を忘れず、夢に向かって努力を続けた久留宮さんの存在は、私たちに勇気を与えてくれます。
今日の心がけ◆感動を追い求めます
「いつか使えるかもしれない」と、いろいろな物を家に溜【た】め込む人がいます。しかしそれによって、「身の回りが片付かない」と嘆【なげ】く場合もあるのです。
「物をとっておきたい」という様々な理由が錯綜【さくそう】し、処分・不処分の決断ができない人は多くいるでしょう。収納アドバイザーの本多弘美【ほんだひろみ】氏は、「判断は五秒でできます」と片付けのポイントを指摘します。
まず、「いるもの」「いらないもの」「迷うもの」の三つに分けて考えます。五秒で「いる」「いらない」が判断できなければ、「迷うもの」に入れます。片付けが苦手な人は、迷ったまま時間をムダにする人が多いというのです。
「いらない」と決めたものは処分し、「迷うもの」は検討します。どうして迷うのか自分に問いかけてみると、判断がスムーズにいくようです。いつ使うのか、何に使うのかを具体的に思い浮かべます。思い浮かばなければ処分の対象です。
物が整理されれば、気持ちも整理されます。仕事や家事が忙しくても快適に暮らすスキルを身につけ、日々の業務に活かしていきたいものです。
今日の心がけ◆片付け上手になります
全国の倫理法人会が昨年度に行なった倫理経営講演会では、「朝礼が企業を変える」がテーマの一つでした。これを契機【けいき】に「活力朝礼」を導入した企業も多くあったようです。
しかし、活力朝礼の効用は理解していても、いざ朝礼の導入に踏み切れない職場もあるようです。それは、夫婦二人とか自分一人など、少数で事業を営【いとな】んでいる職場に多く見受けられます。
同講演会において、代表企業が行なった調和のとれた朝礼実演は一つのモデルですが、少人数で行なうことは決して無理なことではありません。
たとえ一人であっても時間を定め、始業宣言を高らかに行ないます。本誌も声に出して読み上げましょう。経営理念や社訓も堂々と唱えましょう。これで、事業主と仕事場とが調和した立派な朝礼が成立します。
一人でも集団の朝礼でも、「今日も精一杯働きます!」という朝の朗らかな宣言が、一日の仕事の源泉となるのです。
今日の心がけ◆状況に応じた朝礼を行ないます
私たちは、様々なルールに則【のっと】って生活をし、仕事をしています。ルールを破ると周囲の人に迷惑がかかるばかりか、会社全体にも悪影響を及ぼします。
ルールを安易【あんい】に破る人は、他人に迷惑をかけるだけでなく、自分をも不幸に陥【おとしい】れているという認識がないものです。
「網【あみ】の結び目は、一つほつれただけで使えなくなる。約束は一度破れば信用を落とすのに十分であり、一人が破れば自他共に傷つく」という言葉があります。約束やルールを破れば、自分も他人も同時に傷つけてしまうのです。
約束を守らなくともよいとなれば、無責任になります。また、その場を取り繕【つくろ】うために嘘をつくことがクセになります。これが自分を傷つけるということです。
ルールを守らない仕事をすれば、達成前に崩れていきます。これにより、相手に迷惑をかけるだけでなく、会社の信用も失われるのです。
社会で一度失った信用は、並大抵の努力では取り戻すことができません。日々の職務において、小さな事柄にも妥協しない姿勢が大切になってくるのです。
今日の心がけ◆ルールをしっかり守ります
ビジネス書や自己啓発書【じこけいはつしょ】などに共通する成功の秘訣に、「気づくと同時に行なう」があります。
しかし、成功の秘訣を書物などで知り、頭では理解していても、それを実際に行動に移せている人は少ないようです。
例えば、「朝、目覚めたらすぐ起きる」「電話が鳴ったらすぐに出る」「手紙やメールの返信はすぐにする」「先手で挨拶をする」などにより、自己変革ができるとわかっていても、実行に移せないでいるのです。
素早い行動が功【こう】を奏【そう】するのは、気づきと実行の間に、不要な心配や憂【うれ】い、思慮分別【しりょふんべつ】を差し挟【はさ】まないからです。一直線に取り組んだ分、物事がスムーズに運ぶだけでなく、よりよい情報をキャッチする能力を高めることにもなるのです。
わかっていながら実行に移せない人に、明るい未来はありません。果敢【かかん】にチャレンジする姿勢を持ち、即行【そっこう】の生活が習慣化した時、自己が立てた目標に近づくことができるのです。
今日の心がけ◆気づいたら実行します
お客様への接客力を最重要視するA料亭の女将は、「接客の極意は、三匹の『タイ』を育てあげることです」と言います。その「タイ」とは、「認められタイ」「褒【ほ】められタイ」「お役にたちタイ」という三匹の「タイ」です。
私たちには、「他人より目立ちたい」という自己顕示欲【じこけんじよく】があります。上司や同僚に「認められタイ」という自己顕示欲はその一例ですが、それだけで満足していては、自己の接客能力の向上はありません。
さらに「褒められタイ」との思いで、与えられた仕事に取り組んでいくことで、様々な気づきや接客能力も向上し、お客様に満足を提供できるのです。
これら二匹の「タイ」が育てば、必然的に「お役にたちタイ」という心が育ってきます。心の中に三匹の「タイ」が揃うことが接客力には重要なのです。
自らの利害はさておき、お客様に「喜んでいただきタイ」「元気になっていただきタイ」「活力をあたえタイ」など、心の中の「タイ」をたくさん育てることが本物の接客態度となり、お客様との絆【きずな】が強く結ばれていくのです。
今日の心がけ◆接客態度を磨きます