M氏は腹痛【ふくつう】で体調不良の中、出張しました。タクシーで得意先の会社に到着し、精算【せいさん】が終わった時、薬を自宅に置き忘れてきたことに気がつきました。
慌【あわ】ててタクシーの運転手に「この辺に薬局はありますか」と尋ねると、「車で5分ほどの所にありますよ」と答えました。そして、即座に「顔色が悪そうですね。すぐに向かいましょう」と言い、車を走らせたのです。
M氏が薬を購入【こうにゅう】し車へ戻ると、運転手は「薬を買うことができてよかったですね」と言葉をかけ、元の場所まで送り届けてくれたのでした。
お礼を言って支払いをしようとするM氏に、運転手は「お役に立てて良かったです。お大事にしてくださいね」と優しく言い、お金を受け取らなかったのです。
困った時の誠実無比【せいじつむひ】な助けこそ、ありがたいものはありません。仕事を超越【ちょうえつ】した真心【まごころ】からの働きやサービスは、人を感動させ、幸せにします。
自分本位の考えではなく、お客様を喜ばせ、その喜びが自分の喜びとなる働きを目指していきたいものです。
今日の心がけ◆真心のこもった働きをします
Yさんが勤める会社では、健康管理の一環として、年度初めに各人【かくじん】が目標とする体重を設定します。一年間、体重管理に努め、年度末には体重を測定します。
しかし、「帳尻【ちょうじり】を合わせればいいだろう」と油断していたYさん。体重測定の2週間前の体重は、設定値を7キロもオーバーしていました。
Yさんは、「このままではまずい」と一念発起し、その日から、食事制限や運動に徹し、測定の日にギリギリ間に合わせて、設定した体重まで落としたのです。Yさんが奮起【ふんき】した要因は、「立てた目標は必ず達成する」という思いでした。
目標を達成した満足感はあったものの、「日頃の生活を節制していれば、このように慌ただしく、無理な生活を送らなくても済んだはずだ」と反省もしました。
壁にぶつかった時や苦しい時に、何かを達成するという目標があれば、行動の大きな原動力となります。
業務目標だけでなく、個人の目標を立てて、逆境に負けない強い気持ちで、日々の仕事に当たりたいものです。
今日の心がけ◆目標を掲【かか】げます
集中的な豪雨のあった翌朝のことです。出勤途中のMさんは、無残にも道端に投げ捨てられた何本ものビニール傘を目の当たりにしました。どの傘も骨が折れて使い物にならない状態でした。
骨が折れてしまったビニール傘なので、二度と使えないことは誰が見ても明白です。<これらの傘を使った人たちは、物に感謝ができているのだろうか>と、Mさんは悲しい気持ちになりました。
Mさんは所属する勉強会の中で、「物は生きている。純情の発露【はつろ】である愛によって、物はつくられ、その人のために活用される」と学んできたからです。
その言葉を思い出し、<傘は豪雨の中でも、人のために骨が折れるまで必死に雨から守ってくれた。必要がなくなったからと、このような所に捨ててしまってごめんなさい>との思いで、道端の傘を回収したのでした。
物に囲まれ、物に支えられて生かされているのが私たちです。もの言えぬ物だけに、「ありがとう」と感謝の心で使用していくことが大切なのです。
今日の心がけ◆物にも感謝の心を向けます
私たち職場人は、毎日の業務の中で様々【さまざま】なミスを経験します。
ミスをしてしまった時に必要なのは、同じミスをしない環境や状況を整えることです。「後悔先に立たず」といわれますが、その後悔を将来に活【い】かすのです。
その方策【ほうさく】として「ミスをした1時間前、あるいは1日前という過去に戻れるとしたら、どのような行動をとるべきか」を考えることは、非常に有効です。
会議の前に慌【あわ】てて資料をまとめた結果、抜けてしまったページがあったケースを想定してみましょう。1日前であれば、資料を出し渋【しぶ】る関係者に催促【さいそく】をする。一時間前なら、別の仕事と並行【へいこう】せず集中的に取りかかる。他にもあるはずです。
人は「学ぶ動物」です。現在や未来に向けての学びはもちろんですが、過去を振り返って「どうすべきだったか」を立ち止まって考えることは、自【おの】ずと現在・未来の仕事につながっていきます。
二度目の後悔、三度目の後悔とならないよう、一度の失敗やミスを最初で最後の教訓として活かしていきたいものです。
今日の心がけ◆後悔を事後に役立てます
電車通勤をしているM氏は、以前は満員電車に揺【ゆ】られて会社に着く頃には、ぐったりと疲れきっていました。
日本のビジネスマンは、通勤などの移動に使う時間が多く、平均通勤時間は往復でおよそ2時間というデータもあります。もし、この2時間を有効に使えたならば、仕事が大いにはかどることは間違いありません。
M氏は、早めに家を出てラッシュを避けることにしました。すると、いつものラッシュ時と違い、頭が柔軟に働くことがわかりました。そして、新聞や雑誌等による情報収集の時間に充【あ】てられるようになったのです。
出勤時間を早めたことによって、M氏は心にゆとりが生まれました。電車で座れない時などは、以前は<なぜ座れないんだ>と座ることに執着【しゅうちゃく】していましたが、今では<今日は元気だから大丈夫>と、前向きに考えられるようになりました。
心に余裕がある時は、色々な気づきを得ることができ、自分を変える機会が生まれます。物事を大らかに受け止められる環境を、自ら築【きず】いていきたいものです。
今日の心がけ◆物事を大らかに受け止めます
Nさんは生後6カ月になる子供を連れて飛行機に乗りました。子供と乗る初めての飛行機だったため、<機内で泣いたらどうしよう>と不安でいっぱいでした。
飛行機が離陸して、しばらくすると不安が的中しました。子供がぐずり出したのです。周りの人たちに迷惑がかかると思い、おもちゃなどで何とか泣きやませようとしますが、まったく泣きやみません。
飛行機が上昇中でシートベルト着用サインが点灯していたため、客室乗務員を呼ぶこともできず、困り果てて途方【とほう】にくれていました。
すると、隣に座っていた女性が、子供をあやしてくれたのです。すぐに子供の機嫌【きげん】は良くなり、満面の笑顔になりました。
「本当に助かりました」とお礼を言うNさんに、「お互い様だから気にしないで。私で助けになるのなら協力しますよ」との言葉が返ってきたのです。
これまで困った人がいても、なかなか声をかけられないでいたNさん。<困った人がいたら、自分も進んで声をかけよう>と心に決めたのでした。
今日の心がけ◆困っている人には声をかけます
青少年の健全な成長をサポートする、財団法人ユースワーカー能力開発協会。設立40周年を迎えた20009年、「若者力大賞」を創設しました。
<確【かく】たる志とチャレンジ精神をもって時代を切り拓【ひら】き、多くの人に夢と感動を与えた若者>や<若者の可能性を引き出した指導者や団体>を表彰するものです。
「若者の活力は未来を創る原動力であり、社会全体で育てていく責任がある。教えられた者が次に教えていくという世代のリレーが、この協会の歩んできた道である」と、同協会の三村明夫【みむらあきお】会長は語ります。
職場では、上司や先輩たちが部下や後輩を育成します。そして技術や知識を教えられた人が、今度は教える立場となるのです。教えるという行為は、教える立場の人が、その内容を再確認することであり、新たな学びともなるのです。
教えることは容易ではありません。しかし、「教え、教えられる」という行為の積み重ねで、お互いの絆【きずな】が深まり、連帯力も強くなっていくのです。
次代の大いなる繁栄に向けて、技術と知識と夢を伝え続けていきましょう。
今日の心がけ◆良いものは進んで伝えていきます
消毒業を営むF氏は、20年程前に、アメリカの環境衛生業の会社を視察しました。当時の日本では、「3K」のイメージが強かったのに対して、アメリカでは、清潔なユニフォームで社員が使命感を持って働く姿に驚いたといいます。
仕事をするということは、社会に参画【さんかく】し、自分自身のよりよい人生を築き上げていくことだといえるでしょう。どのような仕事にも<社会の役に立っている>という自覚と使命感から、その仕事への尊さを感じることが重要です。
『納棺夫日記【のうかんふにっき】』の著書・青木新門【あおきしんもん】氏も、納棺の仕事から「仕事の尊さ」を見いだした一人です。
青木氏は以前付き合っていた女性の父親を納棺していた時、その女性が氏の額【ひたい】の汗をぬぐいつつ、目にいっぱい涙をためていた姿から「ありがとう」というメッセージを読み取り、納棺夫という仕事が尊いものだと実感しました。
私たちは仕事の意義を自覚し、使命感を持って職務に取り組んでいるでしょうか。日々の業務の中で「仕事への尊さ」を実感していきましょう。
今日の心がけ◆仕事の尊さを知ります
<私はあの人よりできる>と他人と自分を比べることで、今の自分に満足し、安心する人がいます。実はこの時、心のどこかで「今の自分に自信が持てない」という、マイナスな心が存在しているのです。
今の自分に自信が持てれば、他人と比べる必要はありません。自分に自信がないから、他人と比べ、少しでも<私はできる>と言い聞かせてしまうのです。
では、他人と比べず、自分に自信を持つためには、どうすればよいのでしょうか。まずは今の自分を見つめ直し、良いところも、悪いところも受け止めることです。そして、自分自身に「どうなりたいのか」と問いかけるのです。
自己への問いかけは進む道を見いだすきっかけになります。<私はこうなりたい>と思ったら、次に「何をすべきか」を考え、進んでいくのです。そうすることで、自分の成長の度合いがわかり、「本物の自信」が持てるようになるのです。
人と比べて得る「偽【いつわ】りの自信」より、自分の進んできた道から得た「本物の自信」を育み、謙虚な心を忘れずに、新たな道を築いていきましょう。
今日の心がけ◆自分をまっすぐ見つめます
昭和40年代初頭、Kさんが中学校2年生の頃の話です。ある日、Kさんは、泥だらけになって泣きながら家に帰りました。父親が理由を尋ねると、クラスの数人のグループに田んぼでいじめを受けたと答えました。
父親は、「グループの大将を殴【なぐ】ってこい」と言いました。Kさんは「いじめに対して暴力でやり返すような真似はできない」と言い返しました。
「数人がかりでお前をいじめた行為は卑怯【ひきょう】な行為だ。でも一対一で大将に喧嘩を挑むのは、けっして卑怯な行為とはいえない。例え怪我をさせたとしても、父親の私がすべて責任を取る。お前は何も心配するな」と父親は態度を変えません。
大将に喧嘩を挑【いど】んだものの勝つことはできませんでしたが、その後いじめはなくなりました。Kさんは、「責任を取る」という父親の言葉に勇気を得たのです。
現在、建設会社の社長となったKさんは、「責任は全部私が取るから」と言って、部下を激励【げきれい】するのが決め台詞【ぜりふ】となっています。私たちも職場において、自己の責任の上で誰かを守るという姿勢を貫【つらぬ】いていきたいものです。
今日の心がけ◆責任感を持ちます
コーヒーには独特【どくとく】の苦味【にがみ】や酸味があります。苦手な人は砂糖などを入れて、甘くして飲んだりするでしょう。
ところが化学的に分析すると、苦味成分や酸味成分は砂糖を入れても変わらないというのです。味の抑制【よくせい】効果により、甘く感じられるそうです。反対に、スイカに塩をかけると、さらに甘く感じるのは味の相乗効果です。
これらを仕事に置き換えてみると、どうでしょうか。私たちは、様々な特性を持ち合わせながら働いています。
事務処理に長けている人もいれば、コミュニケーション能力に秀【ひい】でた人もいます。また、人前でも緊張しない人、企画力に溢【あふ】れる人など、各人【かくじん】それぞれです。
苦手な仕事に消極的に取り組むよりも、得意分野でお互いの能力をさらに高め合い、不得意分野では補【おぎな】い合い、総合力で仕事に当たりたいものです。
業務の相乗効果を発揮することで、1プラス1の仕事が、3にも4にもなれるように意識して、日々の仕事に取り組んでいきましょう。
今日の心がけ◆助け合い高め合います
地球環境への配慮【はいりょ】から、様々【さまざま】な取り組みが行なわれるようになりました。
例えば、物を捨てずにリサイクルしたり、資源となるゴミを分別【ぶんべつ】するなど、ゴミを減らす運動があります。ゴミの減量化は、ゴミを焼却する際に発生するダイオキシンや二酸化炭素の排出を抑【おさ】え、地球温暖化を防ぐのに有効です。
地球環境を守るためには、企業と個人の両者が協力し合っていかなければ効果は上がりません。企業が「エコ割引」というプランを提示し、その条件を満たしたお客様が、割引を受けられるサービスもあるようです。
飲食業界では、割り箸の提供をやめて、洗って再利用する箸に替えた店舗も増えてきました。Sホテルのレストランでは、MY箸(自分用の箸)を持参すると、割引で食事ができる「エコ割引」を実施して人気を呼んでいます。
エコ活動に対して一定の優遇【ゆうぐう】・優待【ゆうたい】が付加される制度は、今後さらに増えていくでしょう。エコ意識高揚のきっかけとして、その有効性は大いに期待できます。
美しく住みよい地球を残すため、身近でできるエコ対策を始めてみましょう。
今日の心がけ◆身近でできるエコ対策をします
営業を担当して2年目のAさん。朝礼では一番声が出ていると評判でした。
Aさんの部署の朝礼では、「社訓」「信条」「営業の心得」の唱和を行ないますが、Aさんはいつも朝礼用のカードを見ながら唱和してきました。
ある日、Aさんは朝礼のリーダー担当となりました。進行者から名前を呼ばれ、定位置についた瞬間、Aさんはハッとしました。カードが手元にないのです。そのため最初の言葉が思い出せず、Aさんはその場に立ち尽くしてしまいました。
スムーズに進行していた朝礼は中断され、結局、Aさんの担当箇所は省略されることとなり、その後の朝礼はキレのないものとなったのです。
朝礼への準備不足以前に、Aさんは一年間同じ語句を斉唱【せいしょう】していながら、朝礼用のカードを読むだけで、社訓や信条をまったく心得ていなかったのです。
「社訓」「信条」などを読み上げるのは簡単です。しかし、指針をどのように業務に反映させるかを考えながら唱和することが重要であるといえるでしょう。その日を境に、Aさんは朝礼用のカードなしで臨【のぞ】む決意をしたのでした。
今日の心がけ◆朝礼の意義を心得ます
朝礼の前に、自主的に社内外の清掃を行なう企業が多くあります。入社1年目のAさんが勤務する事業所も毎朝、全社員が清掃活動に取り組んでいます。
清掃終了後、Aさんが先輩たちに「毎日これだけ清掃をすると、心が清々【すがすが】しくなるものですね。徹底して隅々【すみずみ】まで清掃に取り組んでいます」と得意気に語りました。
その言葉を聞いた先輩の一人が立ち上がり、事務所に掲【かか】げてある社是の額の上を、指先でなぞりました。するとそこには、埃がいっぱい付いてきたのです。その埃を見たAさんは、先ほど得意気に語った自分が恥ずかしくなったのでした。
清掃をする場所は多岐【たき】に渡ります。目に見えるところは、しっかりと行なうものの、ふだん目の届かないところは手を抜きがちです。机の下、椅子の軸、ロッカーの上など、普段、見過ごしてしまう箇所【かしょ】も美しくしたいものです。
日本では、古くから店内を美しく磨き、店先に水を打ってからお客様を迎えることが、商売の常道【じょうどう】でした。隅々まで清掃をして、お客様を迎え入れましょう。
今日の心がけ◆隅々まで清掃します
「働く」ということは、何かに働きかける行為であるといえます。人と人、人と物などが新しい関係性【かんけいせい】を築き上げていくのです。「働く」という行為を通して、人と人とが手を取り合った時、そこに「喜び」が生まれます。
「喜び」を持ってイキイキと働く人は、会社においても家庭においても輝きがあります。この輝きが周囲にも影響を与え、喜びの輪は広がっていくのです。
倫理研究所の創設者・丸山敏雄【まるやまとしお】は著書の中で「幸福のただ一つの正道【せいどう】は、家庭の人々を喜ばせ、職場の人々を喜ばせ、社会を喜ばせ、すべての物を喜ばせる生活である」と述べています。
賃金【ちんぎん】を得るためだけに働くのであれば、そこに喜びはないでしょう。むしろ、やらされて働くといった強制【きょうせい】から、不平不満だけが残ってしまいます。
仕事や家庭で喜びを感じるためには、その働きによって人を喜ばせることから始まります。多くの人に喜んでほしいという心の働きは、自分自身の喜びへとつながり、使命感を持って仕事に取り組む姿勢へと通じているのです。
今日の心がけ◆仕事に喜びを感じます
会社帰りのラッシュ時の電車内で、Yさんの隣に、松葉杖をついた一人の女性が座れずに立っていました。
出入りの激しいドアの近くにいた女性は、一駅【ひとえき】ごとにホームに出ては戻り、周りの人たちに「すみません」と謝っています。その姿を見ても、何もしてあげられないでいたYさんでした。
立っているだけでも大変なはずなのに、穏やかな表情で謝り続けている女性の姿に、Yさんは胸が痛みました。それと共に<座っている人はなぜ気づかないんだ>と責【せ】め心になっていたのです。
やがて乗客がドッと降り、Yさんの前の席が空いたため、「こちらにどうぞ」と、声をかけました。しかし、力のない声かけになってしまい、その女性が気づかないうちに、別の人が席に座ってしまったのです。
それ以来、<気づいたことはすぐに行動に移そう>と決めたYさん。職場においては、お客様に対し、先を読んだ声かけと行動を心がけています。
今日の心がけ◆気づいたら行動に移します
Mさんは、職場の先輩とお酒を飲む機会が増えたことを悩んでいました。先輩が酔うと、延々【えんえん】と愚痴【ぐち】とお説教を一方的に聞かされるからです。
その時いつもMさんは、先輩の話に嫌悪感【けんおかん】を持ちながら、聞くふりをしています。最近では、<先輩の話に耐えるだけの自分がむなしい>という思いから、会社を辞めたいとさえ思い始めていました。
<今度こそは断わろう>と思ってはいても、飲みに誘われると、強く断わる勇気が持てないでいたMさん。ある日、<よし、今日はとことん聞かせていただこう>と意を決し、その日は先輩の話を本気で聞くことにしたのです。
ところが、いつものお説教はすぐに終わり、Mさんが日頃抱えていた悩みを親身【しんみ】に聞いてくれるのです。話が進む中で、先輩が職場での自分を心配してくれていて、お酒の席で激励したかったという意図もわかったのでした。
その日は、二人とも本音で語り合うことができ、先輩・後輩の絆【きずな】が生まれました。時には、人の話をただただ聞くことも大切だと感じたMさんでした。
今日の心がけ◆お互いの意図を確認し合います
業務の中で、相手を注意したり反対意見を提示【ていじ】するなど、言いにくい事柄【ことがら】を口にしなければならないという状況があるでしょう。
相手が間違っていたとしても、ストレートに言葉で表わすと、「その後の関係が気まずくなるのでは」と躊躇【ちゅうちょ】したりするものです。しかし黙っていては、仕事が先に進まなかったり、お互いの為にならない場合もあります。
反対意見を上手く伝えるには、一方的に相手を責める言い方をしないというのが大事です。また、自分が受ける側になる場合もあるでしょう。その際には、注意された点だけを冷静に受け止めて、それ以外では嫌な感情を持たないことです。
話し方研究所の福田健【ふくだたけし】会長は、相手の事情を想像する余裕を持つことが大切と説【と】きます。例えば、<書類が届かない場合、相手が忘れているとは決めつけず、郵便事情や天候、交通状況など、書類が送れない事情がある>と考えてみます。
発言の前に一【ひと】呼吸置いて、相手の状況を斟酌【しんしゃく】する余裕を持ち、責め過ぎずに意見を述べ合いたいものです。
今日の心がけ◆言い方を工夫します
職場での新しい試みには乗らない、お膳立【ぜんだ】てされていない仕事には加わろうとしないなど、自ら積極的に動かない場合はありませんか。
結果がすぐに出ない業務、成功が約束されていない仕事は、障害もあり、時間や労力もかかります。
しかし、レールの敷【し】かれている道をただ歩むよりは、不便なところにこそ、成長を促【うなが】す要素が秘められています。その難問を克服した時に、能率の向上や自身の大きな成長があるのです。
人目に触れる業務は、改善点が見つかりやすいものですが、人目に触れないところこそ改める余地がありそうです。作業の工程や費やす時間等、効率化を図れるところはないか、今一度確かめることが必要です。
業務でのムリ・ムダ・ムラを見直すために、まず私生活のちょっとしたムリ・ムダ・ムラを見つけましょう。それらを少しずつ改善していけば、仕事にも気づきが得られるようになり、成果に結びつくはずです。
今日の心がけ◆一つの改善から始めます
Aさんは、職場で掃除をしている最中に、誤って掃除機を壊してしまいました。許容範囲外の大きなものを、掃除機で吸い込んでしまったのです。
Aさんは、すぐ上司に「掃除機が壊れました」と報告をしました。すると上司から、「その言い方は良くないぞ」と注意を受けました。どういう意味なのかわからずにいると、上司はAさんにこう告げました。
「掃除機を購入してまだ日も浅い。勝手に壊れることはないだろう。君が故意にやったのではないということはわかっている。であるのなら、なおさら物のせいにするような、無責任な発言をしてはいけないよ」
そう言われてAさんは、日頃からミスをしないように気をつけるあまり、意識的に責任を回避する言動を取っていた自分に気がついたのです。
責任を持つことを恐れていては、良い仕事はできません。失敗をしないよう意識をすることは大切ですが、もしも失敗をした場合は非を認め、素直に対処しましょう。自分の言動に責任を持って臨んでいきたいものです。
今日の心がけ◆自分の言動に責任を持ちます
自社の新商品発表会で、プレゼンテーションの担当になっていたM氏。しかし、会場となるホテルに、配布資料が到着していないことがわかりました。
急いで会社に確認をすると、担当者が資料到着予定日を、発送日と勘違いしていたとのことでした。今から配送しても間に合わないため、M氏のノートパソコンにEメールで資料のデータを送ってもらうことにしました。
ホテルマンに、それまでの経緯【けいい】を説明し、データの印刷をさせてもらえないかと尋ねてみました。すると、事務所へ案内され「こちらのプリンターと用紙をお使いください」と対応してくれたのです。
ホテルマンの迅速【じんそく】な対応によって事なきを得たM氏は、無事にプレゼンを終えることができました。「適切な対応ができるスタッフがいるな」と、お客様本位で仕事に取り組んでくれた姿勢に、心打たれたM氏でした。
お客様への対応一つで、その会社の印象は変わっていきます。私たちも社を代表する一員であるとの自覚を持って、お客様と接していきたいものです。
今日の心がけ◆お客様本位の対応をします
健康食品販売の営業をしているG君。彼の一番の営業ツールは電話です。同僚が朝から外に飛び出していくのを尻目に、一人居残って電話を方方【ほうぼう】に掛けまくっています。
ある程度の感触があると、G君独自の電話マニュアルを手元に置き、商品の売り込みを始めるのです。当初はその売り込みは成功していましたが、現在では話を切り出す前に、電話を切られることが大半となってしまいました。
なぜ電話で済ませるのかという問いに、G君は「わざわざ出向いても、無駄足になるかもしれないし、電話のほうが疲れずに楽ですから」と答えます。
疲れない仕事法は確かに楽ですが、果たして仕事として楽しいものでしょうか。仕事を単にこなすだけでは、「働く喜び」は得られません。そして何よりも、怠惰【たいだ】な心構えでは、お客さまの心はつかめません。
喜びに満ちた働きは、疲れを感じないものです。疲れない働き方を追い求めるより、仕事をする楽しさや喜びを、自分の中にしっかりと醸成【じょうせい】していきましょう。
今日の心がけ◆仕事の醍醐味【だいごみ】を体験します
日々の生活や仕事の中で、自分が発したり耳にした言葉が、「その言葉通りになった」という経験をした人はいることでしょう。
私たちが発したり耳にする言葉には、明るい言葉、楽観的な言葉、ほめる言葉、陰気な言葉、悲観的な言葉、攻撃的な言葉、けなす言葉など、いろいろなものがあります。
明るく朗らかな言葉を発し続けていると、自分も周囲も明るく朗らかになります。陰気でゆううつな言葉を発し続けると、自分も周囲もその通りの雰囲気ができあがってしまうのです。
「言葉は生きている」といいます。日々発せられる言葉は、その人の思想や感情や意志が込められており、その息吹が言葉となって、周囲の行動を動かしていくのです。
「仕事は楽しい」「人生は愉快だ」「あなたは素晴らしい」「私たちの会社はよい会社だ」などのプラスの言葉が、日々飛び交うような職場にしていきましょう。
今日の心がけ◆プラスの言葉を発します
日本製品の品質の良さは、丁寧なものづくりにあるといえるのではないでしょうか。例えば、日本では昔から目に見えない部分をも大切にしてきました。建築では土台や屋根裏、着物や背広では裏地にまでも気を配る仕事をしてきたのです。
表裏一体という言葉があるように、目に見える部分と目に見えない部分とは、密接な関係にあります。人間で例えるならば、嬉しい心や悲しい心が肉体に反映する「心身一如」の関係は、切り離すことができないのと同じです。
これらは、日々の生活時間という概念にも当てはまります。仕事において、勤務時間が「表」であれば、プライベートな時間が「裏」となります。
裏にあたるプライベートな時間の自己管理が「表」にあたる仕事に影響します。例えば、スポーツにおいても、私生活の自己管理が試合結果に反映するのです。
プライベートの時間をどのように使うかは個人の自由です。しかし、仕事において、目に見える形で充分な成果を上げるためにも、家庭生活や休日を充実した時間にしていくことが重要となってくるのです。
今日の心がけ◆自己管理を徹底します
Kさんの職場で、「食べ過ぎをやめよう」という機運が高まってきました。女性社員の一人から、「発展途上国では8億人以上が慢性的な栄養不足に陥【おちい】っているという記事を読んだ」という報告が朝礼であったからです。
日本では毎日多くの食べ物が、食べきれずに捨てられています。食料自給率が低い我が国は、大半の食料を外国からの輸入に頼っています。しかし、年間5800万トンもの輸入に対して、3分の1を廃棄【はいき】しているのです。
そうした事実を知ったKさんは「暴飲暴食をやめよう」と、その機運に乗ることにしました。そして、必要以上に食料品を買い込んでは、無理やり食べていた今までを反省。健康のためにも、食品の適量の買い出しと摂取【せっしゅ】を心がけました。
世界的な食料枯渇【こかつ】が予測される今日、日本は食料危機の危険性が高い国だといわれています。そうした認識を深めて、食生活を見直す必要があるでしょう。
私たちも「暴飲暴食をしない」「食材は使い切る」「料理を作り過ぎない」など、日々の食生活を見直し、「食」への感謝を深めていきたいものです。
今日の心がけ◆日々の食生活を見直します
文庫本サイズの超小型ワープロが、人気を呼んでいます。
このワープロは、文字入力とデータを保存するだけの単機能で、メールもインターネットもできません。選択肢が一つしかない簡易さが、かえってユーザーに受け入れられているようです。
日進月歩【にっしんげっぽ】で高性能、多機能化している家電製品は、新しい技術や便利さを提供してくれます。人は、より優れたものを追及するものです。
その一方で、複雑な機能よりも必要最小限の機能でよいと思う人もいます。テキスト入力機能に特化【とっか】した超小型ワープロは、一点の作業のみに重点をおいた商品です。ユーザーの隠れた声に応えた商品といえるでしょう。
ユーザーが何を求め、何を必要としているのかを常に考え、新たな波を敏感にキャッチしていくことは大切です。
自社の製品を愛し、自分たちが提供できることは何かを知り、様々な意見を集約しながら商品を編み出していきたいものです。
今日の心がけ◆隠れたニーズを発掘します
業務上の報告や連絡、会議での発言は無難【ぶなん】にこなしても、業務外でのちょっとした会話で、どう対応したらよいか困ることがあります。
それほど親しくない取引先から「そのうち食事に行きましょう」と誘われた際、それが単なる社交辞令【しゃこうじれい】なのか、本気なのか、判断に迷う時はないでしょうか。
誘いを受けたため、日程を提案したら、社交辞令だったということもあるでしょう。逆に話題を変えて話をそらしたら、じつは取引先が新たなビジネスを相談する場を設定しようとしていたというケースもあります。
誘いを受けたならば、「ぜひご一緒させてください」と受け入れて、相手に様々な話題やテーマを投げかけてみましょう。食事やお酒の好みを聞くなどして、相手がどのような話に興味を示すかを知ることも重要なのです。
お互いの親密度【しんみつど】が増せば、具体的な会話へと発展していきます。何気ない会話からも、コミュニケーションは深まるものです。思わぬところに潜【ひそ】んでいるビジネスチャンスを、見逃さないようにしたいものです。
今日の心がけ◆何気ない会話を大切にします
子供の頃からの夢である、「自転車で世界一周」を成し遂げた中西大輔【なかにしだいすけ】さん。昨年10月、日本アドベンチャー・サイクリストクラブの第4回「地球ペダリアン大賞」を受賞しました。
中西さんは1998年に日本を出発。十一年をかけて、130ヵ国を訪れ、地球約4周分に相当する15万1849キロを走り抜きました。
旅の途中では、病気になったり危険な場面に幾度【いくど】も遭遇【そうぐう】しましたが、世界各地の素晴らしい風景と、多くの人々との出会いがありました。
中西さんは自転車を通して、世界中の人と交流し、講演を行なって、平和と友好の活動をしてきたのです。
中西さんのような自転車旅行は、誰でもが体験できるものではありません。しかし、夢に向かって一途【いちず】に取り組む姿勢は、私たちも見習うべきものです。
夢は大きなものである必要はありません。小さな夢を実現させることの積み重ねが、私たちに自信を伝え、人生を広く豊かにしてくれるのです。
今日の心がけ◆夢を持って挑戦します
出張が多い部署に移動となり、家を空けることが多くなったDさん。引越しをしたばかりの我が家の片付けが、思うようにはかどらずにいました。
Dさんは、久しぶりに2日続けて休みが取れたため、荷物の片付けをすることにしました。すると、大きな本棚【ほんだな】や見覚えのないダンボール箱など、引越しの際にはなかった荷物があったのです。
妻に尋【たず】ねると、「以前使っていた本棚は、壊れていたため買い替えました。あなたに聞いたら、『いいよ』と言われたので」との答えでした。Dさんは仕事の忙しさに紛【まぎ】れて、妻から購入の相談を受けたことさえ記憶になかったのです。
妻は、仕事に翻走【ほんそう】するDさんの代わりに、大よその片付けを済ませ、必要な家財を買い揃えてくれていたのでした。そのお陰で、予定していた作業をスムーズに終えることができました。
Dさんは、家庭を振り返るゆとりがなかった自分を反省し、「家族の協力があるからこそ、仕事に打ち込むことができるのだ」と、妻への感謝を深めたのです。
今日の心がけ◆家族の協力に感謝します
天平宝字【てんぴょうほうじ】2年(758年)6月、42歳の大伴家持【おおとものやかもち】は、国守【こくしゅ】として因幡【いなば】の国に赴任【ふにん】しました。朝廷内部の政変【せいへん】によって,地方へ左遷【させん】されたのでした。
赴任から半年が過ぎ、元旦を迎えた雪降る日のことでした。元旦には国庁【こくちょう】に国や郡の役人である国司や郡司を招き、正月を祝う宴が開かれます。元旦の雪は吉兆【きっちょう】といわれ縁起の良いものです。家持は新年を祝って短歌【たんか】を詠【よ】みました。
新しき 年の始めの 初春の 今日降る雪の いや重【し】け吉事【よごと】
「元旦の今日、吉兆である雪がどんどん積もり重なっていくように、国中に良いことがいよいよ重なりますように」という意味です。
<言葉には「言霊」が宿っており、良い言葉を口に出せば良いことが起こり、悪い言葉を口にすれば悪いことを呼ぶ>と、日本人は考えてきました。家持は、左遷という逆境の中でも、良い言葉でこの歌を詠みあげたのです。
今日は一年の始まりです。今年の目標は、掲【かか】げましたか。良い言葉を口にして、気持ちを新たに、前に向かって進んでいきましょう。
今日の心がけ◆新年の願いを口に出します