Kさんは、教育関係の備品を扱う会社の営業マンです。長年のお得意様で、地元の父兄に評判の高い幼稚園の担当となり、初めて訪問をしました。
先生たちの明るい挨拶で出迎えられたKさん。玄関で革靴【かわぐつ】を脱いでいた際、片方の靴紐が切れかかっていることに気がつきました。Kさんは、<知られては恥ずかしい>と思い、急いで靴を隅に置きスリッパに履き替えました。
ところが、備品注文の打ち合わせを終えたKさんが、靴を履こうとすると、切れかかっていたはずの靴紐が、元の状態になっていたのです。
Kさんは、「もしや」と思い、園長先生に尋ねてみました。すると、「勝手なことをして申し訳ありません。切れかかっていたので替えさせていただきました」と爽【さわ】やかな声が返ってきたのです。
Kさんはその気遣いに感服し、この幼稚園が地域で評判が高い理由の一面を垣間見た気がしました。社会に支持される組織や団体は、形だけでなく、人としての温かな魅力も兼ね備えているのだと感じたのです。
今日の心がけ◆魅力ある人になります
小学生時代から大の読書好きで、現在は公立図書館の館長をしているIさん。ここ数年、子供から大人まで来館者数が激減していることが気がかりでした。
ある日、帰宅途中の電車内の様子を見回しました。すると、新聞や本を読んでいる人たちは、ほとんどいないのです。対照的に、携帯電話や携帯ゲームを操作している人たちの多さに、Iさんは驚かされたのでした。
活字離れの原因には、親が読まないから子供も読まない、生活のスタイルに余裕がない、インターネット等のメディアが発達した、などが挙げられます。
Iさんは、今年が「国民読書年」ということで、地元の小中学校へ出前授業の講師として出向くことになり、「読書のおもしろさ」を伝える機会を得ました。
後日、生徒からIさんに感謝の手紙が届きました。「体の中に眠っていた感動が目覚めました」などの言葉に、Iさんは講演が実を結びつつあることを実感しました。
読書に学び、知識の向上を図れるよう研鑽【けんさん】したいものです。
今日の心がけ◆読書の習慣をつけます
人の一生は、行きの切符のみを持ち、帰りの切符を持つことはない、ひたすら片道の旅を続けているようなものです。
一年を365日で考えると、例えば85歳まで生きられるとしたら、生涯時間は74万4千6百時間の片道旅行となります。
買い物をすると、お金を使ったという実感があります。しかし、時間は使ったという実感がないまま過ぎることが多いでしょう。
充実した片道旅行をするには、時間の性質を知ることです。
1有限である
2他人に譲渡することができない
3元に戻せない、などが挙げられます。
そうした性質を知らずに、時間を浪費してしまう場合があります。後悔を引きずったまま、マイナス感情で旅することがその一つで、それは肝心な「今」という時間を取り逃すことになるのです。
「今」を見失ったままでは、浪費だけの旅となります。有限である貴重な時間に感謝し、「今」を精一杯に生きながら充実した片道旅行を続けていきましょう。
今日の心がけ◆今という時間を有意識にします
会社には、目標とする達成数字があります。しかし、何よりも大切なのは、創業者の熱き思いのこもった経営理念を理解することでしょう。
作家の故・池宮彰一郎【いけみやしょういちろう】氏は、「人の命は、いつか終わる、どれほど惜【お】しんでも必ず終わる。百年、人が記憶し、語り継ぐは、何を志【こころざし】、惜しき命を費【つい】やして遂【と】げんとしたか、その行跡しかないのだ」と著書の中で記しています。
会社の経営理念は、池宮氏のいう「行跡」と置き換えることができます。創業者の経営理念は、会社を構成するすべての人々の共通の土台であり、道標【みちしるべ】となっています。
こうした理念は、日々の朝礼で唱和しているところも多いでしょう。しかし、ただ声に出して唱和するだけでは、社員も会社にも成長はありません。
自社の経営理念の意味を噛み締め、その実現に向けて情熱を注ぐことが大切です。企業人は創業者の「行跡」を継承しながら働くことが使命なのです。
共有意識をしっかり持って、日々の働きに徹しましょう。
今日の心がけ◆志ある働きに徹します
自動車事故の要因に、運転者が<歩行者は飛び出してこないだろう><対向車は来ないだろう>と思い込む「だろう運転」があります。
歩行者や自転車を運転する側が、<車が止まってくれるだろう><こちらに気づいているだろう>と思い込むと、同様の事故が起こりえます。これらは、「大丈夫だろう」という楽観的な予測によるものといえます。
似たようなケースは、仕事の上でも当てはまります。例えば、<書類に目を通してくれただろう><この件については伝わっているだろう>など、希望的・楽観的な判断が、思わぬミスを招いてしまうのです。
依頼した側は、こちらの意図が正しく伝わったかどうかを確認して、間違いのないようにすることが大切です。受けた側も、不安な事柄【ことがら】をうやむやにせずに、念を押して確認することで、「思い込み」によるミスは防げるものです。
業務と向き合う上で、「だろう」は厳禁です。相手が「気づいていないかもしれない」という慎重な姿勢が大切なのです。
今日の心がけ◆正しく伝わる工夫をします
ここ数年、自分磨きのための「朝活」がブームとなっています。これは、文字通り、朝起きてから出社するまでの時間を有効に使って活動することです。
早朝に英会話のレッスンに通っているMさんは、「以前は夕方にレッスンの予約を入れていましたが、仕事の都合でキャンセルすることも度々でした。早朝レッスンは自分でスケジュール調整できるので、休まずに通えます」と言います。
そして、「朝活」を始めてから、早起きの習慣が確立し、仕事や生活にもメリハリができたと、その効果を実感てしいます。
朝は、一日のスタートです。朝起きてすぐに行動するか、ぎりぎりまで寝ていて消極的な気持ちで行動するのかでは、その日の充実感は確実に違ってきます。朝の心模様が、一日の生活姿勢を決定づけるともいえるでしょう。
「朝活」を通して消極的な自分を排し、積極的な自分に変えて、自分磨きをしてみてはいかがでしょう。プラスの心持ちで仕事に取り組めば、成果は自ずと上がってくるものです。
今日の心がけ◆朝の時間を有効に活かします
地方で暮らす主婦のT子さんは、家事をすることに、生きがいを感じています。ところが、5年前まで東京で暮らしていた頃は、仕事の傍【かたわ】ら家事をするのが苦痛で仕方ありませんでした。
共働きだったT子さんは、アイロンがけや浴室掃除をしている時、<夫も私も仕事を持っているのに、なぜ自分だけが家事もこなさなければならないのか>と不平不満を感じ、日々の家事にストレスが溜【た】まるばかりでした。
夫の転勤に伴い、仕事を辞めて専業主婦となったT子さん。やがて引越し先では、辛い時には励まし合える、主婦友達もできました。
T子さんは「夫に感謝の気持ちを込めて家事をするようになりました。するといつの間にか、苦痛だった家事が楽しくなっていました」と言います。
現在はパート勤めのT子さんにとって、家事は生活の一部です。「以前は、感謝の気持ちが足りなかったのかもしれません」とT子さんは振り返ります。
今日一日、誰かの喜ぶ顔を思い浮かべながら、仕事をしてみましょう
今日の心がけ◆誰かが喜ぶような働きをします
女優の音無美紀子【おとなしみきこ】さんは、辛く長い闘病生活を乗り越えて、今は仕事に復帰し、舞台やドラマなどで活躍しています。
「何もできず、眠れない日が続いた」と語る音無さんが立ち直ったのは、ささいなきっかけからでした。
「夏休みなのに絵日記に書くことがない」と言う子供と一緒に、重い気持ちで焼いた目玉焼きが、きれいなまん丸にできたのです。涙がポロポロ出てきて、「私も元気になれるかもしれない」と自分に希望が持てるようになったのでした。
音無さんが、<ささいなきっかけ>と語れるまでの道のりは、想像を絶する闘いがありました。事の大小にかかわらず、誰しも気が塞【ふさ】ぐことはあるでしょうが、最後は自身の力で、一歩前に踏み出さなくてはならないものです。
きっかけは人それぞれですが、元気が欲しい時には、いつもより大きな声で挨拶や返事をしたり、手足を伸ばして颯爽【さっそう】と歩くなどもいいかもしれません。
辛い時には、自分だけで頑張り過ぎないことも大切です。
今日の心がけ◆一歩前に出てみます
静岡に住むAさんは、東京の製薬会社の研究所まで遠距離通勤しています。最近は、新薬の完成が間近ということもあり、24時間体制で研究動向をチェックしなければならず、研究室での寝泊りが続いていました。
娘が7歳の誕生日を迎える日、研究所の仲間の配慮もあり、Aさんは夜8時で仕事を終えることになりました。仲間の心遣いに感謝し、娘の誕生日プレゼントを買って地下鉄に乗ると、しばらくして車内アナウンスが流れました。
「先を走る電車に車両故障が発生したため、この電車は停車しています。復旧の見込みは立っていないとの情報が入りました」というのです。
地上に出たAさんは、タクシーをつかまえようとしましたが、乗り場は長蛇の列でした。諦めて研究室に戻ろうとも思いましたが、<娘に今日中にプレゼントを渡したい>という願いから、東京駅まで4キロの道のりを走り続けました。
無事に、新幹線に乗り自宅に到着すると、ドアを開けて妻と娘が笑顔で迎えてくれました。<家族のために家に帰れることは幸せだ>と実感したAさんでした。
今日の心がけ◆家族の笑顔を大切にします
レストランのホール係りのYさんは、支配人に呼び止められました。
振り返ると、並んで立っていたのは、Yさんが入社したばかりの頃、よく来店していた婦人です。ところがYさんは、顔は覚えているものの、名前がどうしても思い出せません。
それを察した支配人は、「I様が、あなたの笑顔と挨拶がとても爽やかだったのを思い出して、来店してくださいました」と助け舟を出してくれたのです。
そのお陰で、すぐさまYさんは「I様、その節はお世話になりました」と、お客様の名前を出して、挨拶ができたのでした。婦人はとても喜び、「Yさん、お元気そうですね」と告げて、テーブルに戻っていきました。
Yさんが、支配人に助けてくれたお礼を言うと、「私も忘れやすいほうなので、お客様の名前や特徴などをノートに書き取っています。それを繰り返し読み上げて覚えるようにしているのですよ」とアドバイスをしてくれました。
支配人の努力に感服したYさんは、早速ノートに綴【つづ】るようにしたのです。
今日の心がけ◆小さな努力の積み重ねをします
会社を永続的に発展させるためには、全社員が一枚岩となり、目標に向かってイキイキと働けるかどうかにかかっています。
仮に過去の成功体験に準じて進んだとしても、上手【うま】くいく時とうまくいかない時があります。
上手くいかない場合は、「会社や社員の間にはびこる古い習慣や体質を、今ここで変革しないと取り返しがつかなくなる」という危機感を持ち、社員の意識や働き方がより良く変わっていくことが重要なのです。
それには、自己中心・自社中心の考え方を捨て去り、「何かの役に立ちたい。人を助けたい」という意識が欠かせません。お客様や社会を中心に置いてモチベーションを上げ、会社の業績を高めていくのです。
お客様の求めているものを提供し続けるためにも、社員一人ひとりの持っている無限の可能性を引き出したいものです。可能性の抽出がさらなる可能性を呼び、いつしかその会社は磐石【ばんじゃく】の態勢【たいせい】を誇【ほこ】るようになるでしょう。
今日の心がけ◆可能性を現実のものとします
職場は様々な人たちとの共同生活の場です。先輩と後輩、上司と部下の間などで、指示や助言をされた時、素直に受け容れられずに、「傷つけられた」と感じ、人間関係がギクシャクする場合があります。
他人に注意を促【うなが】す際は、欠点や弱点だけを指摘するのではなく、肯定的な表現を用いて伝えるようにすると効果的です。
例えば、直接的に「後ろ手を組むと偉そうだ」と言われれば腹が立ちます。しかし「手は前で組むと美しく見えます」と促されると、受け手の印象は変わります。
否定的な言動だけでは、意見の本質よりも否定された印象が強く残ります。「ここがいいね」と意見にプラスの言葉を添えると、受け容れられやすいでしょう。
夫の美点を言い続けて夫婦の関係が修復したり、苦手な人の優れた面を伝え続けて、人間関係が良好になったなど、プラスの言葉の力は計りしれません。
他人の長所を知ることで、自分の長所も再発見できます。相手を褒めるための、新しい言葉や表現を増やしながら、人間関係を円滑なものにしていきましょう。
今日の心がけ◆他人の長所発見に努めます
整理整頓がいい加減なSさんは、必要な時に必要な書類が取り出せず、引き出しやファイルを開けたり閉じたりして、慌【あわ】てふためくのが常です。
ある日、見かねた上司から、ある逸話【いつわ】を教えられました。それは、戦国時代の武将・北条氏康【ほうじょううじやす】が、息子の氏政【うじまさ】が飯に汁を二度かけて、汁の量を調整するのを見て、「北条家は私の代で終わるだろう」と予見したという話です。
氏康は、「毎朝夕行なっている事柄さえ、見積もることができない者に、一国一城を守るのは不可能である」と、氏政の器量の乏【とぼ】しさを嘆【なげ】いたのでした。
人の器量は、身近なところで測れるといいますが、何気ない日常生活の所作にこそ、その人物像が浮かび上がってきます。周囲を見れば、身辺の整理が行き届いた人ほど、人の信用を勝ち得ていることがわかるでしょう。
自分のいい加減さが、周りの目にどう映っているかを省【かえり】みたSさんは、以後、明瞭【めいりょう】なファイリングや引き出しの整理整頓など、足元の実践を決して疎【おろそ】かにはしまいと心に誓ったのでした。
今日の心がけ◆整理整頓を徹底します
病院に活気があると言えば、皆さんはどう感じるでしょうか。Aさんの通うリハビリ専門の病院では、外来の患者が来院すると、病院のスタッフ誰しもが元気のよい挨拶をします。
「おはようございます」の言葉の後に、笑顔と一緒に「今日は調子よさそうですね」や「外は寒かったでしょう」などの言葉があるのです。そのような言葉が響く中で、「お帰りなさい」の挨拶にAさんはとても驚いたそうです。
私たちの心情では、「早くよくなりたい」「病院通いをいつまで続ければいいのだ」と思いがちです。ところが、Aさんをはじめ外来の患者は、「ホッとして安心できる。我が家にいるようだ」という感想が多いのです。
治療のリハビリルームは、患者と療法士の明るい会話が行き交い、あちこちで笑い声が生じています。明るい心地で安心して治療ができる環境のため、患者の回復も早いようです。
相手を思いやる言葉を大いに使って、雰囲気のよい職場にしたいものです。
今日の心がけ◆温かい言葉を添えてみます
印刷会社に勤務するKさんは、取引先で、Bさんという人当たりの良い担当者と出会いました。話しをするほどに、KさんはBさんへの好感を深めました。
取引きを終えて会社に戻り、同僚にBさんの話をすると、「ドタキャンのBさんね」と冷ややかに言い返されてしまい、Kさんは戸惑ってしまいました。
上司にBさんのことを話すと、やはり「ドタキャンの・・・」という同じ反応が返ってきたのです。Kさんの部署では、取引先のBさんは「ドタキャンの・・・」という通り名で呼ばれていることがわかってきたのです。
実は5年前に、Bさんの会社と取引きする中で、土壇場【どたんば】になって担当のBさんが休職したため、まとまりかけた契約が破棄【はき】されたことがあったのです。
休職の理由は、階段で転倒し骨折したためだということが、後になってわかったのですが、Kさんの会社ではBさんの信用は回復されないままでした。
Kさんは、Bさんの事情に同情しつつも、一度失った信頼を取り戻すことの難しさを痛感し、引き締まった思いで業務に取り組んでいます。
今日の心がけ◆信頼を失わないようにします
晴れて結婚式を迎えた宮崎県在住のMさんは、人生の節目にあたり、いろいろな思い出を振り返っていました。
家計が厳しい中、関東の大学進学を許可してくれた父、自分が病気の時も家族の太陽であり続けてくれた母。そんな両親への感謝の手紙を、披露宴で「お父さんお母さん、生んでくれてありがとう」と涙ながらに読み上げたのでした。
Mさんは両親以外にも、今日まで自分を支えてくれた親戚、恩師、友人、同僚に、何度も何度も「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えました。本当に多くの人に支えられてきたことを噛み締める結婚式となったのでした。
私たちは、自分ひとりの力では決して生きてはいけません。しかし、日頃どれだけ周囲に対して、感謝の気持ちを持っているでしょうか。自分のわがままや勝手な都合で、周りに腹を立てていることはないでしょうか。
あらゆる恩の中で生きているのが私たちです。「生かされている」という意識を持って、周囲の人、物、環境に感謝の気持ちを向けましょう。
今日の心がけ◆生かされている意識を持ちます
心療内科医の海原純子【うみはらじゅんこ】氏は、以下のエピソードを綴【つづ】っています。
講演で日本へ来たアメリカ人の大学教授が、新幹線のグリーン車で配られる紙のおしぼりに感動し、お土産【みやげ】として持ち帰りました。いわく、「日本ってすごく清潔だよね。すごい」というものです。
海原氏は海外から日本に帰ると、様々な場面での清潔さにホッとするそうです。また、<きちんとしたサービスのホテル、時間どおりに運行される交通機関>など、日本では当たり前のことが、海外ではそうでない場合が多いと指摘します。
「他国の芝生」は青く見えるものです。逆に自国の良さは、意外に気づきにくいものです。翻【ひるがえ】って、自社の良さはいかがでしょうか。<挨拶【あいさつ】がいい。皆が協力的。アットホームで仲が良い>などいろいろあるでしょう。
どの会社にも、長所と短所はあるものです。他社の良い点に学ぶことは大切ですが、「我が社はダメだ」とマイナスに見てばかりでは、進展【しんてん】がありません。軌道修正しつつ、自社の良さを再認識し、より磨きをかけていきたいものです。
今日の心がけ◆自社の良さに磨きをかけます
仕事を進めていく中で、職場の仲間との信頼関係は重要です。
例えば、信頼できない上司の指示を、素直に受けられるでしょうか。あるいは、信頼できない部下に、大事な仕事を任せられるでしょうか。信頼できない仲間とは、一緒に頑張ろうという気持ちが高まらないものです。
信頼関係を築くには、自分自身の言行一致の働きが大切です。しかしこれだけでは、職場全体に信頼の輪は広がりません。もう一つ大切なのは、相手を信頼するように努めることです。
自分の都合を中心に考えたり、相手の欠点だけを見ていると、その人の本質が見えずに、認められなくなるものです。
相手の良いところに目を向けて、まず自分が近づいていけば、信頼への扉は少しずつ開いていくでしょう。
何らかの縁によって、同じ職場で働く仲間なのですから、強い絆が結べないはずがありません。
今日の心がけ◆自分から声をかけます
健康な体を維持するため、快眠【かいみん】は大切な要素です。
しかし、夜型生活の進行や、不況などの不安から精神的なストレスを抱え、不眠を訴える人は、年々増加する傾向にあります。
不眠による心身への悪影響は、周知の通りです。加えて、生活習慣病の発生につながるメタボリックシンドロームとの関係も、明らかになってきました。
不眠症になると、通常起きている時に活発に働く交感【こうかん】神経が、そのままの状態で夜間も働きます。
その結果、インスリンの働きが低下して血糖値が高まり、食欲を抑えるホルモンの分泌【ぶんぴつ】が抑【おさ】えられ、食欲を高めるホルモンが増えて食べ過ぎとなるのです。
睡眠不足を解消するには、早寝早起きなどの基本的生活習慣を見直すと共に、悩みの元を探【さぐ】って改善しなければなりません。
日中、明るく元気に過ごすことが、夜間の安眠に通じます。世にストレスは尽きませんが、明るく朗らかに物事を捉【とら】えていきたいものです。
今日の心がけ◆朗らかに過ごします
四季がある日本には、「衣替【ころもが】え」の習慣があります。その際に気をつけたいのは、他人に不快な印象を与えないように、相応【そうおう】な服装を心がけることです。
職場に適した服装と、それに伴う清潔感は、当人の印象をアップさせます。逆に、不快な格好は印象に残りやすいもので、その悪いイメージを覆【くつがえ】すのは簡単なことではありません。
ある会社で、社内のエコスタイルについてアンケートをとったところ、「動くのが楽になった」との好意的な回答が多くありました。一方で「軽装とラフのはき違えによる規律や雰囲気の乱れ」を危惧【きぐ】する声もありました。
自分自身の内面の動きや変化というものは、装いに現われてくるものです。衣替えは、自分を見つめ直すチャンスでもあります。
身だしなみを整え、「元気に挨拶をして行動を起こす」など、心機一転して、イメージチェンジを図ってみてはいかがでしょうか。
そのような小さな風が、職場に大きな変化を生むのです。
今日の心がけ◆良きイメージチェンジを図ります
現代人は、便利な社会に染まっているといわれます。その結果、小さくまとまってしまったという見方もあります。
小さくまとまるとは、大胆さや豪胆【ごうたん】さが少なくなったとも取れるでしょう。これが、諸種【しょしゅ】の問題を引き起こす引き金にもなります。
漢方では「梅核気【ばいかくき】」という名で知られる症状があります。「ヒステリー球」とも呼ばれ、喉の辺【あた】りに異物があるように感じます。しかし病気とはいえ、検査をしても何かが見つかるわけではないのです。
Yさんもヒステリー球を経験した一人でした。突然、喉に違和感があり、呼吸困難になりました。それから2年間悩まされたのです。
上司に「病は気から」と言われ、心のありようを指摘されました。例えば朝礼の際には、省エネ的な声の出し方をし、業務中も小さくまとまって大胆な行動とは無縁でした。気づかぬうちに自分でストレスを溜【た】め込んでいたのです。
Yさんは今、何事も出し惜しみをせず、大胆さを旨【むね】として生活しています。
今日の心がけ◆大胆さを持ちます
社会人ジャズバンドでサックスを担当して2年目のEさん。ライブ終了後の楽屋内で聞こえてくる会話が、演奏後の達成感を打ち消してしまいました。
楽屋内では、その日参加できなかったメンバーの悪口を先輩の一人が延々【えんえん】と語るのです。Eさんはそうした仲間の悪口を聞くのが堪【た】えがたくなりました。ある日、Eさんは「失礼します」と退室しようとしました。
バンドリーダーのN先輩が「何か用でもあるのか」と聞きました。Eさんは、「この場にいたくないだけです」と答えたところ、N先輩の顔つきが変わり、「お前はバンドの和を乱すのか」と怒鳴り、楽屋内は重苦しい空気になりました。
間に入ったIさんが「N先輩、Eは仲間の悪口を聞きたくないだけです。毒を吐いて先輩は気を晴らしているのかもしれませんが、自分が悪人だとメンバーに示しているようなものですよ」と止めに入ったのでした。
Eは、誰かが仲間の悪口を言っても決して話に乗らなかった。間違っているのは自分だと反省したN先輩は、Eさんやメンバーに心から謝罪しました。
今日の心がけ◆他人の悪口はやめます
ホテル勤務のTさんは、上司より、人事担当者としての面接の心構えを指導されました。上司は「面接に先立って、成績証明書は開封しない」と話します。
意外に思ったTさんがさらに聞いていると、「控え室でお茶を出す。その時の学生の態度ですべてを見抜き、合否を判定する」とのことでした。十中八九【じっちゅうはっく】間違いはないと、自信に満ちた口調でした。
続いて、入社後に大切なことは
1明るい返事・笑顔の挨拶ができる
2仲間と協調して仕事ができる、の二点であると熱く語ったのです。
このような意見は多くの人間と接し、人を観る目が深く養われている人事担当者だけに、傾聴【けいちょう】に値する内容といえます。
確かに、学業成績は人を判断する一つの材料にはなりますが、それ以上に、物腰の柔らかさや場に応じた態度は、仕事をしていく上で不可欠なものです。
人間性の有無は、いざという時に出ます。普段からマナーや人との接し方に留意【りゅうい】し、「当たり前なことがスムーズにできる社会人」を目指していきましょう。
今日の心がけ◆当たり前のことをこなします
韓国の農村で働く老夫婦の生き様を撮ったドキュメンタリー映画『牛【うし】の鈴音【すずおと】』に登場するのは、農夫と妻、そして一頭のやせ細った老牛だけです。
この映画に魅了【みりょう】された俳優の菅原文太【すがわらぶんた】さんは、主人公の農夫の印象を「人として本物がいると感じた」と言っています。そして「なぜ働くかなんて理屈はない。俺たちの父や祖父がそうだったように、ただ懸命なことが尊【とうと】い」と語っています。
世の中には、「お金のためだけに働いている」という人も少なくないでしょう。しかし、お金のために働いてはいても、知識や体力、忍耐力や責任感など、仕事を続けることで身につくものは多くあります。
意識するしないにかかわらず、懸命に働くことは一定の恵みを私たちに与えてくれます。日々の職場生活の中で、たとえ苦しいことに出合ったとしても、そこから得るものは後で振り返ってみた時に必ずやあるはずです。
働きとは人を成長させてくれるものであり、目の前に為【な】すべき仕事があることは、何ものにも代【か】えがたい恵みなのです。
今日の心がけ◆仕事への感謝の念を深めます
誰でも自分の顔を直接見ることができないように、団体・企業の「顔」も、その中に浸【ひた】りきっている社員には容易に見えないものです。
T社長は、ある企業が主催するフォーラムに参加しました。そこには、受付から案内、来場者の応接まで、キビキビと動いている社員の姿がありました。
すべての動きが折り目正しく洗練されており、何より皆が引き締まった「いい顔」をしているのに眼を見張りました。<日頃からその集団に身を置く中で、自然に培【つちか】われた顔なのだろう>と思うと、T社長は感動すら覚えたそうです。
自社の社員たちも、それなりの「顔」をしているとT社長は思ってきましたが、上には上があることを思い知らされたといいます。
職場にしろ家庭にしろ、互いに切磋琢磨【せっさたくま】し、良い点を学び合う環境に身を置いてこそ、「いい顔」はつくられていきます。
一人ひとりが「いい顔」になれる職場を目指し、自らも率先【そっせん】して行動しようとT社長は改めて誓【ちか】ったのです。
今日の心がけ◆他人の良いところを見習います
Mさんは、自動車ディーラーの営業マンです。
同社では、お客様が購入した車を納車する際に、花束【はなたば】を渡し、車の前で記念写真を撮るサービスをしています。
「写真を額に入れてお届けをする時に、お客様の笑顔にもう一度触れることができます。営業マン冥利【みょうり】に尽きます」とMさんは言います。
大安のある日、定年退職した男性が妻と2人で、店まで車を引き取りに来ました。写真を撮ろうとすると、Mさんも一緒に入るよう頼まれました。Mさんは多くのお客様の写真を撮ってきましたが、このような経験は初めてでした。
「今まで乗ってきた車を最後の車にしようと思ってきましたが、あなたが勧【すす】めてくれたおかげで、もう一度新車に乗る喜びを得ることができます。これからは妻と二人で、のんびりとドライブを楽しみます」とお客様は目を細めました。
後日Mさんは、夫妻の間には挟【はさ】まれて恥ずかしそうに微笑【ほほえ】む自分の写真を見ながら、
<今回はお客様に喜ばされた>と、胸にこみ上げるものを感じたのです。
今日の心がけ◆お客様と喜び合える仕事をします